日本内航総連は、3月26日、韓国海運組合との懇談会を東京・平河町の海運クラブにて実施した。13年ぶりに行われる懇談会では、両国の船員不足問題やカボタージュ制度について話し合いが行われた。
会の冒頭で、日本内航海運組合総連合会の栗林宏𠮷会長(栗林商船社長)より挨拶が行われた。
「韓国海運組合の訪問を心から感謝いたします。現在のわれわれの最大の課題は、安全で安定的な輸送を担う船員の確保。日本では全産業的に労働力不足で、特に船員は労働環境の特殊性や認知度の低さという構造的な課題もあります」と栗林氏。
政府と連携して船員確保に向けた支援活動や広報活動を行っているが、船員問題以外にも景気低迷による貨物の減少や環境対応など、内航海運業界は様々な課題に直面している。「懇談を通じ、各国での対応や共通認識など意見交換を行いたい。お互いの国の内航海運業界にとって、有意義なものとなることを願っております。」と締めくくった。
韓国海運組合 会長 文忠棹(Moon Choong Do)氏も、「あたたかい歓迎に感謝申し上げます。これまで韓国海運組合と内航総連は相互交流を通じて日韓の産業発展のために友好的な関係を維持してきました。日韓の内航産業に対する相互理解の幅をさらに広げ、今後さらなる発展した交流体制を作っていくことを期待しております」と挨拶を行った。
船員不足の問題は日本の内航海運業界において深刻な課題だが、最近は高齢船員の退職に合わせ、若年船員の確保を行っている。一方、韓国はさらに高齢化が問題になっている実情が報告された。
もうひとつの議題として、「カボタージュ規制」についても意見交換が行われた。内航海運は自国船に限るというカボタージュ制度は、国家の安全保障や国民経済の安定にとって欠かせないルールとして海岸線を有するほとんどの国で実施されている。韓国ではこの制度を比較的緩めているが、日本は海洋基本計画でカボタージュ制度を維持することが明記されており、例外は限定的だという。
最後に、両国の定期的な交流の提案も行われた。同じ課題を抱える国同士、今後の交流に注目したい。