女優の黒木華が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、6日・13日に2週連続で放送される『上京物語2025~二十歳のふたり 駆け出した夢~』。東京・下町の有名店で一流パン職人を目指す2人の二十歳を追った作品だ。

自身も上京した経験を持つだけに、見知らぬ土地でもがく若者たちにかつての自分を重ねたという黒木。その中で、モチベーションになったという両親や師匠の存在の大きさを語ってくれた――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した黒木華

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した黒木華

入社4カ月がたっても早起きに慣れず…

東京の下町にある「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」のオーナーシェフ・井上克哉さん(56)は、国内外のコンテストで数々の受賞を誇り、世界大会でも優勝したパン職人。そんなスゴ腕が作る本格的なパンがリーズナブルに味わえる店として、連日、開店前から行列ができるほどの人気となっている。

2024年春、そんな有名店の門を叩いたのが、愛知から上京してきた原さん(20)。小学生の頃からパン職人になることを目指してきた彼女は、店が販売する150種類ほどのパンを入社前に覚えてくるほどやる気に満ちていた。午前5時始業の職場で、誰よりも早く出勤し、仕事を覚える姿勢には先輩たちも一目置くほど。入社3カ月で新作メニューの開発も任されるようになった。

もう1人の新人は、愛媛から上京してきた福山さん(20)。「将来は地元でパン店を開きたい」と親の反対を押し切り、東京に来たものの、入社4カ月がたっても早起きに慣れず、遅刻ギリギリ。パン作りの基本となる仕込み作業も満足にこなせずにいた。

日に日に広がっていく1年目の2人の差。そんな中、井上シェフの勧めで、原さんが全国のパン職人がしのぎを削るコンクールへ挑戦、予選を勝ち抜き、全国大会へ出場することになった。そのことを聞いた福山さんの決断は…。

  • 福山さん(左)と原さん (C)フジテレビ

2人のコントラストに胸を締め付けられる

かつて関西から上京してきた黒木は「知らない土地で一人で頑張ることの大変さ、つらさはよく分かります」と共感。「私も、上京したばかりの頃は“これからどうなっていくのだろう”と不安でホームシックにもなりました」というだけに、「慣れないことばかりの中で頑張っていこうと目標がきちんとある原さんと、夢が大きくなりすぎて現実についていけない福山さんのコントラストにグッときました」と胸が締めつけられたようだ。

「初舞台で共演したアンサンブル(=演劇で役名のない役者たち)の仲間たちから、学ぶことや刺激をもらうことはたくさんありましたが、原さんと福山さんのような関係ではなかったです」と、黒木にとって今回の番組が追う2人のような同期、ライバルのような存在はいなかったのだそう。

それでも、「東京に出てきて仕事としてお芝居をするという日々が始まると、自分に足りてない部分や、お芝居が上手な方がたくさんいることに気づいて、世界が一気に広がった感じがしました」とプレッシャーを感じながら打ち込んでいた。