昨年配信されたNetflixシリーズ『極悪女王』でプロレスラーの長与千種を熱演し、絶賛の声が相次いだ唐田えりか。4月5日に放送されるNHKの土曜ドラマ『地震のあとで』(総合 毎週土曜22:00~22:45 ※全4話)の第1話では、岡田将生演じる主人公・小村が出会う不思議な雰囲気の女性・シマオを演じている。唐田にインタビューし、『極悪女王』が自身に与えた変化、そして『地震のあとで』が自身にとってどんな経験になったのか話を聞いた。

  • 唐田えりか

    唐田えりか 撮影:加藤千雅

本作は、1995年に発生した阪神・淡路大震災の後、村上春樹氏が著した連作短編を原作に、“地震のあと”の4つの物語を描くドラマ。第1話「UFOが釧路に降りる」は、1995年の東京で阪神・淡路大震災のニュース映像を見続けていた小村未名(橋本愛)が突然家を出ていき、夫の小村(岡田将生)が妻の行方も分からないまま、後輩に依頼された「届け物」をするため釧路へ赴き、そこで出会った女性たちに奇妙な旅へと導かれていくというストーリー。

唐田は、小村が釧路で出会い、小村を不可解な言葉で誘っていくシマオを演じた。村上氏の『ノルウェイの森』が小説の中で一番好きだという唐田は、「村上春樹さんならではの世界観がとても好きで、役者人生の中でいつか演じたいという思いがあったので、率直にあの世界観に入れることのうれしさを感じました」とオファーを受けたときの喜びを語る。

演じたシマオについては「今回の作品の中でも特に村上春樹さんのキャラクターというような本当によくわからない存在」だと感じたという。

「あまりにも真っすぐだからこその不気味さや不思議さがあるなと。でも、岡田さん演じる小村などはどこか不安定なまま存在しているイメージですが、シマオは不安定ではない印象を受けて。小村と同じような経験を1回したからこそ、小村がこれからどういう動きをするのか見据えているように感じて、ちゃんと地に足をつけて小村を惑わしていくというか、中に入り込んでいくような芝居をイメージして演じました」

役と自身の共通点を尋ねると、「私は思ったことしか言ってないんですけど、それがたまにわからないと言われることがあって、ちょっとよくわからない不気味さがもしかしたら似ているのかなと。シマオは小村に思ったことをそのままぶつけていて、そういうところが似ているのかもしれません」と答えた。

  • 第1話「UFOが釧路に降りる」場面写真 (C)NHK

女優デビュー10年に驚き「恐ろしいなというぐらい早かった」

唐田は2014年に芸能活動を開始し、2015年にフジテレビ系ドラマ『恋仲』で女優デビュー。今年で10年の節目となる。

「10年経ったというのは驚きというか、恐ろしいなというぐらい早かったです。これからも自分が面白いなと思うものや、自分が豊かになるなと思うものなど、失敗を恐れずにいろんな作品に関わっていきたいなと。何でも頑張ってやりたいという気持ちで、やる気に満ちています」

昨年配信されたNetflixシリーズ『極悪女王』で、プロレスラーの長与千種を熱演した唐田。肉体改造で体重を10キロ増量させ、プロレス練習にも励んで難易度の高い技もほぼ吹き替えなしで演じ、髪切りデスマッチのシーンでは丸刈りに。再現度の高さと女優魂に絶賛の声が続出した。

唐田は『極悪女王』が大きな転機になったと言い、「出会ってなかったらどうなっていたんだろうと思ってしまうぐらい、自分の中でとても大きな作品に。出会ってなかったらと考えるのが怖いです」と語る。

そして、「『極悪女王』で私はお芝居がしたいんだと改めて感じ、これからも女優として前向きに頑張っていきたいという思いになりました」と女優業への思いを再確認できたという。

「キャストのみんなとの出会いや白石(和彌)監督との出会いも自分にとってすごく大きなものになっていて、そういう巡り合わせを作ってもらえた現場だったので、本当にありがたかったなと。皆さんに背中を押してもらい、頑張らなきゃなというか、頑張る理由ができたなと思っています」