フジテレビの一連の報道を受けて設置された第三者委員会は31日、調査報告書を公表。40年以上にわたり取締役を務めた日枝久氏を中心とする体制についても、批判が及んだ。

  • フジテレビ本社=東京・台場

第三者委員会による社員アンケートでは、「日枝久氏がフジテレビグループの人事権を掌握していると感じる」と回答した人が82%に達した。

調査報告書では日枝氏について、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスの代表取締役会長と代表取締役社長というトップ人事を決めており、それよりも下層の人事は会長と社長が決めていたが、中には会長と社長が日枝氏にお伺いを立てている状況も見受けられたとした。

その上で、フジ・メディア・ホールディングスとフジテレビの役員の指名のあり方について、「代表取締役会長又は日枝氏のブラックボックス化した透明性と公平性を欠いたものとなっている。社内役員のほとんどが制作現場出身で、その中には取締役としての適性や役割の自覚に懸念がある者がいた状態である。取締役に昇格後の役員研修もほとんどなされていない」と指摘。

社外取締役についても、「日枝氏の知己の人物を選任することが続いた結果、日枝氏の知っている人物に偏っている。これらの指名の実態が、当委員会のアンケート調査に表れているとおり、社員のやる気を失わせ、組織全体の活力を低下させているリスクが発生していると評価される」とした。

このことは、中居正広氏と女性のトラブル発生に直接結びつくものではないが、「本事案をめぐる取締役の拙劣な対応の一要因であったことは否定しがたい」と言及した。

なお、日枝氏の他社の社外取締役分を含む報酬総額は、2018年、21年、22年を除き、フジ・メディア・ホールディングス代表取締役会長・社長、フジテレビ代表取締役会長・社長の報酬総額を上回っており、その他の年でも2番目の金額だったという。