第12話「俄なる『明月余情』」では1777(安永6)年の様子が描かれた。

俄祭りというアイデアを若木屋与八に横取りされた大文字屋市兵衛は、敵がい心をあらわにし、若木屋陣営に対抗するため「宝暦の色男」の異名を持つ平沢常富をブレーンに迎え祭りの主導権を取り返そうと画策する。そして蔦重は、平賀源内(安田顕)から平沢常富こそが戯作者・朋誠堂喜三二と知らされると常富に青本の執筆を依頼するが、鱗形屋との板挟みにあった常富に蔦重は距離を置かれてしまう。30日間におよぶ俄祭りを舞台に、さまざまな人物の思惑が交差し、そしてそれぞれのドラマが生まれた。

注目度トップ3以外の見どころとしては、前回のラストでは部下を怒鳴り散らしていた松平定信(寺田心)が、こともあろうに青本に夢中になっているシーンが挙げられる。家臣に本の内容を解説されている定信はこれまでに見たことのない笑顔を見せていた。

SNSでは、「遊郭言葉も勉学と思って夢中になる松平定信って、ほんとに勤勉なんだな」「前回は貶してた青本にのめり込んでる松平定信が思ったよりチョロかわいい」と、定信のまさかの手のひら返しにコメントが集まった。

そして、エレキテルを熱く宣伝する平賀源内のシーンも印象に残った。前回ではプロトタイプを披露していたが、すでに量産化にこぎつけ販売のフェイズに入っていた。さすがのスピード感である。エレキテルは静電気を発生させる摩擦起電器のことで、電気応用治療器や見世物として使われていた。史実では、源内は1770(明和7)年に破損したエレキテルを古道具屋もしくはオランダ通詞の西善三郎から入手したと伝わっている。

また、なりふり構わず平沢常富に蔦重に協力しないように一家総出で懇願する鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)の姿も印象に残った。少しふざけているようにも見えたが、結果オーライと言ったところだろうか。

俄祭りの開催に人一倍気合いが入っていた次郎兵衛にも注目が集まっている。ウキウキで大荷物を抱え、演目の開会を宣言したり、市兵衛率いる雀踊りに参加したりと八面六臂の大活躍だった。SNSでは、「今日も次郎兵衛義兄さんがかわいかった!」「芸能大好きな次郎兵衛義兄さん、イキイキしていたな」と、次郎兵衛兄さんの人気は週ごとに高まりつつあるようだ。

きょう30日に放送される第13話「お江戸揺るがす座頭金」では、鱗形屋が再び偽板の罪で捕らえられる。また、江戸城では座頭金の実態の調査を田沼意次(渡辺謙)が長谷川平蔵(中村隼人)に命じる。

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