東京大学では「赤門」を次世代に引き継ぐため、昨秋より『ひらけ! 赤門プロジェクト』を展開している。目標金額は10億円だという。一方、このタイミングでPayPayではQRコードを使った寄付に対応した。これにより街頭募金や施設内の寄付でPayPayが利用できる。そこで3月下旬、東大構内にも寄付金を募るPayPayのQRコードが設置された。PayPayの寄付金で東大の赤門、復活なるか!? 現地で関係者に話を聞いた。
■PayPayで寄附が可能に
PayPayでは2024年8月より、企業がPayPayの法人向けビジネスアカウントを作り、WEBサイトで寄付を募ることができるようになった。同年11月には国立大学法人および学校法人のWEBサイトの寄付に対応、12月にはお賽銭にも対応した。ただ、これまでは寄付団体や大学などのWEBサイトで個人情報など必須事項を入力する必要があった。
同社は3月24日に、さらなるビジネスアカウントの利用範囲拡大を発表。今後は、寄付団体、財団法人、国立大学法人、学校法人の施設内における寄付、および街頭募金、イベントなどでPayPayのコードを読み込み、金額を入力するだけで簡単に寄付できるようになる。利用できるのは、本人確認(eKYC)が完了しているユーザー。なお関係者によれば、PayPay利用者のうち本人確認が完了しているユーザーは3,300万人に上るとのこと(2025年1月現在)。
PayPayの関係者は「気軽にPayPayで寄付できる環境が整うことで、幅広い年齢層の人々がいつでも気軽に寄付できるようになります。事業者にとっては、現金を集金する、銀行に振り込む、といった手間がなくなり、かつ盗難などのリスクも軽減できます」とアピールする。
東京大学 大学院の松田陽准教授は「東京大学が150周年を迎える2027年に、赤門は200周年を迎えます。そこで2024年10月から『ひらけ! 赤門プロジェクト』がスタートしました。赤門を逞しくするための補強・修復工事を行います」と説明する。
そもそも赤門は、文政10年(1827年)に第11代将軍 徳川家斉の21女の溶姫が加賀藩 前田家に輿入れしたときに建てられたもの。これまで東京大学を象徴する存在として愛されてきたが、耐震性に問題があることが判明したことから2021年に閉鎖し、人の通行を禁止している。
「1枚の重さが2.5~3.5kgほどある瓦が4,000~5,000枚ほど乗っています。さらには太い木材、土なども乗っていますので、屋根の重さはざっと計算しても30トンくらいはあります。それを支える柱は6本です。かれこれ200年間、持ちこたえてきましたが、さすがに耐震性に問題が出てきました。国の重要文化財指定を受けておりますので、特殊な工法で建て直す必要があります」(松田准教授)
ちなみに東大正門から安田講堂に向かう道は御影石などで綺麗に整備されているのに対し、赤門の周りは(車両が通りやすいように)アスファルトで舗装されており、残念ながら風情がない。また赤門の隣りにあるUTCC(東京大学コミュニケーションセンター)はキャンパス内で最も古い建物のひとつで、こちらも補強・修復工事を必要としている。大学では『ひらけ! 赤門プロジェクト』で、こうした周辺環境の改修も同時に行いたい考え。関係者によれば、寄付金は2025年3月現在で5,000万円超まで集まったという。
松田准教授は「国内のキャッシュレス市場で高いシェアを誇るPayPayですから、幅広い方に寄付いただける期待があります。これまでWEBサイトからのお申し込み、書面によるお申し込みに対応してきましたが、支援のチャンネルを追加することができました。実際に赤門を目の当たりにして、素敵な文化財だと思っていただけた気持ちを寄付につないでもらえたら。PayPayには、そんな側面でも大きなメリットを感じています」と話した。