モデルデビューから15周年を迎え、35歳にして初写真集『jealousy(ジェラシー)』(3,520円 A4/128ページ 講談社)を発売した野崎萌香は言う。「ジェラシーは自分の中で変わるきっかけになる」と。10キロの減量を成功させて撮影に臨んだこの写真集を通して、彼女が同世代の人たちに伝えたいこととは。
自分の世界が広がった15年間
芸能活動を始めたのは18歳の時。スカウトがきっかけだった。その翌年には、東京ガールズコレクションの「第7回ミスTGC」で準グランプリを受賞し、ファッション誌『non-no』(集英社)の専属モデルになった。
「『non-no』の専属モデルには、『Seventeen』(集英社)から活躍してる子もいて。そんな方たちと、まだ素人同然の自分がいきなり一緒に撮影しないといけないこともありました。でも、逆境も楽しむことができてたんですよね。どんな経験も無駄じゃないし、全部の環境が自分にパワーをくれました」
同誌専属モデルとして人気を獲得していくなか、TVCMへの出演が相次いだ。デビュー当時から希望していた演技の仕事にも挑戦。休みは3カ月に1回ほどの多忙なスケジュールをこなす10代・20代を駆け抜け、デビュー15周年を迎えた。
「この仕事をしていたから出会えた人がたくさんいます。私は私だけど、感覚的なものや価値観、考え方とか、その人たちから教えてもらったことで私は構成されてる。それが今になってよく分かるんです。このお仕事をしていて本当に良かったな、自分の世界が広がった15年間だったなって思います」
ジェラシーをポジティブに捉える思考法
15年を振り返ると、つらいことや悲しいこともあった。けれど、だからこそ気づけたこともある。そんな自身の芸能生活は「滝行に似てる」という。
「一度、滝行をやってみたことがあるんです。大学で宗教学を勉強していたので、興味があって。冬に滝行をすると、最初は寒いってことしか考えられないんですけど、途中から自分の体の芯があったかいってことに気づけるんですよ。同じ状況にいても感覚が変わる瞬間がある。そういう瞬間をたくさん感じることができた15年でした」
デビュー15周年の節目に発売した初写真集のタイトルは、『jealousy(ジェラシー)』。ネガティブな感情として捉えられがちな嫉妬も、考え方次第で自分を奮い立たせる原動力になるというメッセージが込められている。
「小学生の時、逆上がりができなくて、祖父が練習に付き合ってくれていたんですけど、ある時、私が練習している隣で、ぐるんぐるん逆上がりをしてる子がいて。その子のことを祖父が褒めるのを聞いて、すごく悲しくなったんです。私はこんなに練習してもできないのに……って。それで火がついて、もっと頑張ることができたんですよね。逆上がりもできるようになりましたし、ジェラシーって自分の中で変わるきっかけになるんだと思いました」
芸能活動をするなかでも、嫉妬を抱くタイミングはあったが、黒い感情のままにはしておかない。
「素敵な人ばかりなので、そういう体験の連続ですね。でも、素敵な人には素敵な理由があるから、もっと知りたいと思うというか。その人のファンになって、自分の好きな人が増えれば、私の人生も楽しくなるじゃないですか。好きな人とはもっと仲良くなれるし、通じるものもある。好きが増えていく瞬間だというふうに思います」