2月12日に行われたフジテレビ番組審議会の議事録概要が24日、公開された。

  • フジテレビ本社=東京・台場

納得感を得させるための努力はどれだけやったのか

清水賢治社長は開会にあたり、「フジテレビの信頼回復、この事案に関する説明責任をきっちり果たすこと、再生策を示してスタートすること。やるべきことを、スピード感を持ってやってまいります」と挨拶。その後、中居正広氏と女性とのトラブルを巡る一連の問題について、局側からこれまでの経緯と対応が報告された。

これを受け、委員からは厳しい意見が寄せられた。主な意見は、以下の通り。

「大切な番組作りにも歯を食いしばって力を注いでほしい。柱になるのは、この状況だからこそ革新的なタイムテーブルを組むこと、そして持ち味を大切にすること」

「CM収入が減るが、制作会社にしわ寄せが行かないよう、フジテレビの体力を制作会社にできるだけ振り向けていただきたい」

「フジテレビがどれだけこれを機に番組を変えていくかというのは大きな分岐点。これをきっかけに制作現場の人、一人一人が、テレビは社会で必要とされるためには何が必要なんだろう、これが何の役に立つんだろう、だれが喜んでくれるんだろうと改めて自問自答して番組を作り始めた時に、どこか少しでも変わるところが出てくるのではないか」

「1年半もの間、看板番組の看板スターとして使ったということについて、本当にフジテレビは自分でどれだけ反省しているのかというのが分からない。使い続けるという神経がおかしい。視聴者に対する裏切り。騙しで、非常におかしい

「聞いている人たちに納得感を得させるための努力はどれだけやったのか。それに対して、“あれは定例会見の前倒し”だとか、“カメラを撮っちゃ駄目よ”とか、“この中に入っていないグループは入っちゃ駄目”とか、そういうことしか考えない。どれだけの納得を得られる説明をできるかというのを考えるべき。当たり前のこと。何かおかしくないか。世の中の人に考え方を分かってもらうためにどうしたら良いかというのは二の次三の次になっていないか」

「地方の系列局は今度のことで、ものすごい打撃を受けている。どうか系列局の状態についてもぜひ一緒にお考えいただき、グループの長として系列局を支えていってほしい」

「新しいフジテレビを作っていかなくてはいけなくて、それには若い人たちのイノベーティブな考え方、企画力、実行力がどうしても必要。若い人と一緒に刷新を作っていってもらいたい。フジテレビの人権は変わってきたと世の中で認めてもらうことが再生への第一歩」

人権侵害の可能性がある事案という認識が極めて低かった

こうした意見を受け、局側からは以下のコメントが上がった。

「労働組合の組成人数が増えたということも社員の危機感の表れ。労働組合とはより濃厚な会話をしていきたい」

「社内で発覚した時にどういう問題意識を持ったのか、コンプライアンス意識の不足、人権侵害の可能性に対する危機感の薄さというものが、当時その報告を受けた者の中にあったところが、今回の一番の問題点だと思っている」

「報道の独立性は、報道機関である以上、当然持つべき機能です。傷ついてしまった信頼を、対外的にもより明確に表明していかなければなりません」

「人権侵害の可能性がある事案という認識が極めて低かったと思っている。その時点で通常のコンプライアンス体制の事案でのルートで処理すべきだった。それが、人権侵害を許さないという方針を出している会社としてあるべき姿だった。中居氏側への対応を含めて、その認識がきちんとあれば、番組を継続することはなかったと思う」

「この数年、“フジテレビは傲慢だよ”という言葉を随分に聞くようになった。1980年代、90年代、番組が当たり、全能感みたいなものが芽生えてしまった。よくネットに、“フジテレビは外圧でしか変われない”と書かれているが、物の考え方を1980年代から2020年代にアップデートしなくてはいけない」

フジテレビ番組審議会の委員は、但木敬一氏(委員長)、岡室美奈子氏(副委員長)、井上由美子氏、小山薫堂氏、最相葉月氏、齋藤孝氏、舞の海秀平氏、三浦瑠麗氏。