ジャンルの垣根を越えたマジシャンの賞レース『国民的マジックの祭典! 世界が認めた日本人マジシャンNo.1決定戦SP』(フジテレビ系、23日21:00~)。出場者は日本最高峰のマジシャンとあって、約5時間にも及んだ収録のスタジオには驚きの声がとどろき続け、時には悲鳴が上がる場面もあった。
10人のマジシャンを審査するのは、マジック界のオリンピック「FISM」で日本人プロ初の審査を務めたDr.レオン、「FISM」日本人唯一の優勝経験者・緒川集人、「FISM」現役審査員の桂川新平、2014年ベスト・クロースアップ・マジシャン受賞のKiLa、そしてマジック界の生ける伝説・プリンセス天功の5人。
お笑い賞レースに比べて厳しくも的確なコメントで大会に緊張感を生み出し、最近はフジテレビ系お昼の生バラエティ『ぽかぽか』でも活躍する天才マジシャン・KiLaに話を聞いた――。
違うジャンルのマジシャンを公平に競わせるために
――収録が終わったところですが、まずは今回のご感想からお聞かせください。
今回の10人の出場者は完全なるプロなんですよ。まずこれが珍しいなと思いました。こういう大会って、どうしてもコンテストを主に活動の拠点にされて、マジックでお金を稼いでいるわけではないという方も混じってくるんですけど、今回は全員がプロというレベルの人で、それをマジシャンが審査をするという形が非常に画期的だなと思いました。
――収録では、審査することについて、「自分がパフォーマンスするより酷でした」とおっしゃっていました。
使うテクニックもみんな違いますし、使わないテクニックがあると点数が低くなっちゃうこともあるので基準を自分で設定するしかなくて。そこが本当に難しかったですね。
――ご自分で基準を設定されていたのですか?
全然違うジャンルのマジシャンを公平に競わせるためですね。今回は、「テクニック」「演技構成」「オリジナリティ」「インパクト」という4つの採点項目がありましたが、「テクニック」の中でも指先の技術や、言葉での相手のコントロールなど細分化して、どの出場者もどこかでちゃんと点数を稼げるようにしたんです。これが理想的なジャッジの仕方かは分かりませんが。
――それでも責任を持って審査をするにあたって、できる限りの準備をされたということですね。
はい、自分なりにやってみたつもりです。
一般視聴者との乖離を回避「非常に気をつかいました」
――審査員同士で会話されているシーンもお見かけしたのですが、どんなことをお話しされていたのですか?
「あれって、こういうことだよね」とか「あそこって評価していいのかな」といった、僕らにしか分からない裏側の確認作業ですね。それを聞いて点数をすり合わせるということは、一切なかったです。
――ということは、基本的に仕掛けを理解した上で見られているんですね。
もちろんそうです。自分が知らない分野の要素が入ってなければ、出演者によってはどうしても展開が全部追えちゃうから、「もうちょっと騙してほしかったな」という心理が働いたりしちゃうんです。そうすると、一般視聴者の方と僕らとの審査基準、点数の乖離が出てくる可能性があるので、できるだけそれをなくそうと思いながら点数をつけていました。
――そこも含めての審査の難しさだったんですね。
コンテストなんですけどコンテストじゃないんです。正確には「コンテスト番組」なので、視聴者ありきで考えたときに納得感がいかないジャッジをするわけにはいかないので、そこは非常に気をつかいました。