ソニー生命保険は3月13日、「子どもの教育資金に関する調査」の結果を発表した。調査は2025年1月28日~1月29日、大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1,000名を対象にインターネットで行われた。

「子どもの学力や学歴は教育費をいくらかけるかで決まる」と感じる親は64%

大学生以下の子どもがいる20歳以上の男女1,000名(全回答者)に、子どもの教育や教育費に関する内容について、自身の考えや状況がどの程度あてはまるか聞いた。

「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」では、「非常にあてはまる」が19.1%、「ややあてはまる」が44.8%で、合計した「あてはまる(計)」は63.9%となった。子どもの学力や学歴は、教育費の多寡によって左右されると思う人が多いようだ。

「老後の備えより子どもの教育費にお金を回したい」では「あてはまる(計)」は61.1%、「早期の知育や英才教育は子どもの将来のために重要だ」では「あてはまる(計)」は65.6%、「スポーツや芸術の習い事よりも学習塾に教育費をかけたい」では「あてはまる(計)」は43.0%だった。

  • 自身の考えや状況にどの程度あてはまるか

子どもの教育費の負担を重いと感じるか

全回答者(1,000名)に、自身の考えや状況に、「子どもの教育費の負担を重いと感じる」がどの程度あてはまるか聞いたところ、「非常にあてはまる」が26.9%、「ややあてはまる」が37.6%で、合計した「あてはまる(計)」は64.5%となった。

子どもの就学段階別にみると、「あてはまる(計)」と回答した親の割合は就学段階が上がるほど高くなり、大学生等(予備校生・浪人生・大学生・短期大学生・専門学校生、以下同様)の親では77.4%となった。

過去の調査結果と比較すると、子どもの教育費の負担を重いと感じる親の割合は、2024年67.4%→2025年64.5%と微減した。

  • 自身の考えや状況にどの程度あてはまるか

子どもの将来について、教育資金に不安を感じるか

全回答者(1,000名)に、子どもの将来について、教育資金に不安を感じるか聞いたところ、「不安を感じる」は81.6%、「不安を感じない」は18.4%と、親の大多数が不安を抱いていることがわかった。

子どもの就学段階別にみると、「不安を感じる」と回答した親の割合は、小学生の親(86.7%)と中高生の親(86.1%)で特に高くなった。

子どもの教育資金に不安を感じる親(816名)に、不安を感じる理由を聞いたところ、「物価の上昇」(55.5%)が最も高くなった。相次ぐ値上げを受け、教育費の増加を懸念する親が多いようだ。次いで高くなったのは、「教育資金がどのくらい必要となるかわからない」(32.5%)、「収入の維持や増加に自信がない」(29.7%)、「社会保険料の負担増」(27.1%)、「病気やケガで収入が途絶えるリスク」(23.2%)だった。

  • 子どもの将来について、教育資金に不安を感じるか

小学生から社会人になるまでに必要な教育資金

未就学児の親(248名)に、子どもが小学生から社会人になるまでに、教育資金はいくらくらい必要だと思うか聞いたところ、「1,000万円~1,400万円位」(29.4%)や「2,000万円~2,400万円位」(25.8%)に回答が集まり、平均予想金額は1,489万円となった。昨年の調査結果と比較すると、「3,000万円以上」は2024年8.1%→2025年11.3%と、3.2ポイント上昇した。

平均予想金額を過去の調査結果と比較すると、直近1年間では2024年1,439万円→2025年1,489万円と50万円の上昇となり、2021年から4年連続で上昇し、調査開始以来の最高額を更新する結果となった。必要な教育資金の額を3,000万円以上と見積もる人が増加したことが、平均予想金額の上昇につながったと考えられる。

  • 子どもが小学生から社会人になるまでに必要だと思う教育資金

学校外教育費の平均支出金額は16,172円

全回答者(1,000名)に、スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習のそれぞれに1ヶ月あたりいくらくらい支出しているか聞き、それぞれの平均支出金額を合計したところ、16,172円/月となった。

昨年の調査結果と比較すると、平均支出金額の合計は2024年17,593円→2025年16,172円と、2022年以降の上昇傾向から一転し1,421円の減少となった。

子どもの就学段階別に平均支出金額の合計をみると、未就学児の親では9,201円/月、小学生の親では18,530円/月、中高生の親では25,282円/月、大学生等の親では11,603円/月となった。

平均支出金額の合計を昨年の調査結果と比較すると、すべての就学段階において減少しており、特に大学生等の親では2024年16,453円→2025年11,603円と4,850円減少した。

  • 学校以外での教育費の平均支出金額

子どもが行っている学校外教育の個数

全回答者(1,000名)に、スポーツや芸術などの習い事、家庭学習、教室学習(学校外教育)をいくつ行っているか聞いたところ、「0個(行っていない)」(45.3%)に多くの回答が集まったほか、「1個」(17.4%)や「2個」(15.7%)、「3個」(13.3%)などにも回答が集まり、平均個数は1.3個となった。

子どもの就学段階別にみると、平均個数は小学生(2.0個)が最も多くなった。

  • 子どもがスポーツや芸術などの習い事や家庭学習、教室学習(学校外教育)をいくつ行っているか

子どもがスポーツや芸術などの習い事を行っているか

子どもがスポーツや芸術などの習い事(水泳やダンス教室、ピアノ教室、運動系部活、文化系部活など)を行っているか聞いたところ、「行っている」は39.0%、「行っていない」は61.0%となった。

子どもの就学段階別にみると、「行っている」と回答した親の割合は、小学生(66.5%)では半数を超えた。

子どもがスポーツや芸術などの習い事を行っている人(390名)に、子どもがスポーツや芸術などの習い事をいくつ行っているか聞いたところ、「1個」(68.2%)に回答が集まり、平均個数は1.4個となった。

子どもがスポーツや芸術などの習い事を行っている人(390名)に、子どもが習い事をしている理由を聞いたところ、「本人の希望」(74.6%)が突出して高くなった。子ども自身の"習いたい"という意思を尊重している親が多いようだ。次いで高くなったのは、「将来に活かせる」(22.3%)、「親の希望」(14.6%)、「学校の授業で活かせる」(10.0%)、「友達が習っている」(9.2%)だった。

子どもの就学段階別にみると、未就学児の親では「将来に活かせる」(31.3%)と「親の希望」(20.8%)、中高生の親では「本人の希望」(83.8%)、大学生等の親では「兄弟姉妹が習っている」(16.7%)が全体と比べて5ポイント以上高くなった。

  • 子どもがスポーツや芸術などの習い事を行っているか

子どもが家庭学習を行っているか

全回答者(1,000名)に、子どもが家庭学習(通信教育など)を行っているか聞いたところ、「行っている」は28.4%、「行っていない」は71.6%となった。

子どもの就学段階別にみると、「行っている」と回答した親の割合は、小学生(38.7%)が最も高く、中高生(33.3%)が続いた。

子どもが家庭学習を行っている人(284名)に、子どもが家庭学習をいくつ行っているか聞いたところ、「1個」(91.5%)に回答が集中し、平均個数は1.1個となった。

全回答者(1,000名)に、子どもが教室学習(学習塾、英会話、そろばん教室、プログラミング教室など)を行っているか聞いたところ、「行っている」は35.3%、「行っていない」は64.7%だった。

子どもの就学段階別にみると、「行っている」と回答した親の割合は、中高生(52.4%)が最も高くなり、小学生(48.8%)が続いた。

子どもが教室学習を行っている人(353名)に、子どもが教室学習をいくつ行っているか聞いたところ、「1個」(85.6%)に回答が集まり、平均個数は1.2個となった。

  • 子どもが家庭学習を行っているか

子どもの進学費用のための備え

高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(756名)に、子どもの進学費用のための備えとして、一人あたり月々いくらくらい支出をしているか(学資保険への支出と、学資保険以外の子どもの進学費用のための積立への支出の合計額)聞いたところ、「0円」(29.9%)に最も多くの回答が集まったほか、「10,000円~14,999円」(13.8%)や「20,000円~29,999円」(17.5%)、「30,000円以上」(23.1%)にも回答が集まり、平均は20,039円/月だった。

世帯年収別にみると、平均支出額は世帯年収が上がるにつれ多くなる傾向がみられ、世帯年収が1,000万円以上の人では32,605円/月だった。

  • 子どもの進学費用のための備えとして、一人あたり月々いくらくらい支出をしているか

平均支出金額を過去の調査結果と比較すると、2024年16,942円→2025年20,039円と、3,097円増加し、調査開始以来の最高額となった。

  • 子どもの進学費用のための備えとしての平均支出金額

子どもの進学費用のための積立をしていない理由

"学資保険"と"学資保険以外の子どもの進学費用のための積立"の支出がいずれも0円の人(227名)に、"学資保険"と"学資保険以外の子どもの進学費用のための積立"をしていない理由を聞いたところ、「経済的な余裕がない」(29.1%)と「学資保険や子どもの進学費用の積立に関する情報・知識が足りない」(25.1%)が特に高くなった。経済的な理由のほか、積立による進学費用の準備方法がわからないなど、情報不足が原因となっているケースがあるようだ。次いで高くなったのは、「投資など別の方法で準備している」(15.4%)、「既に進学費用の準備ができている」(12.3%)、「子どもの進学までには時間的な余裕がある」(6.6%)だった。

  • "学資保険"と"学資保険以外の子どもの進学費用のための積立"をしていない理由

子どもを大学等へ進学させるための教育資金の準備方法

高校生以下の子どもの親(748名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備しているか聞いたところ、「銀行預金」(54.3%)が最も高くなり、「学資保険」(38.4%)、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠等)」(24.1%)、「財形貯蓄」(13.4%)、「(学資保険以外の)生命保険」(10.0%)が続いた。

世帯年収別にみると、世帯年収が1,000万円以上の人では「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠等)」が38.1%と、他の層と比べて特に高くなった。

  • 子どもを大学等へ進学させるための教育資金を準備している方法

他方、大学生等の親(予備校生・浪人生を含まない)(244名)に、大学等への進学のための教育資金を、どのような方法で準備してきたか聞いたところ、「銀行預金」(61.5%)が最も高くなり、「学資保険」(38.5%)、「奨学金」(17.2%)、「財形貯蓄」(10.2%)、「資産運用(株式投資、投資信託、NISAつみたて投資枠等)」(9.8%)が続いた。

高校生以下の子どもの親の結果と比較すると、「奨学金」は高校生以下の子どもの親では8位だったのに対し、大学生等の親では3位と、順位に大きな違いがみられた。

  • 子どもを大学等へ進学させるための教育資金を準備してきた方法

大学等の学費や奨学金について

高校生以下の子どもの親、または予備校生・浪人生の親(756名)に大学等の学費(入学金・授業料)や奨学金に関する意識について質問した。「大学等の学費は高すぎると思う」では「非常にそう思う」が44.6%、「ややそう思う」が40.9%で、合計した「そう思う(計)」は85.4%、「大学等の学費を無償化してほしい」では「そう思う(計)」は81.7%となった。

進学費用の支援制度の1つとして奨学金がある。奨学金には返済が不要な給付型奨学金と、返済が必要な貸与型奨学金があり、さらに貸与型奨学金には無利子で借りるものと有利子で借りるものがある。

「子どもが貸与型奨学金を利用した場合、返済時に支援したいと思う」では「そう思う(計)」は78.7%となった。

  • 大学等の学費(入学金・授業料)や奨学金に関する意識

児童手当の所得制限撤廃について

高校生以下の子どもの親で世帯年収が1,000万円以上の人(155名)に、2024年10月から行われている「児童手当の所得制限撤廃(以前に設定されていた所得制限が撤廃)」によって家計がどのくらい助かっているか聞いたところ、「非常に助かっている」が27.7%、「やや助かっている」が47.1%で、合計した「助かっている(計)」は74.8%となり、「全く助かっていない」が7.1%、「あまり助かっていない」が18.1%で、合計した「助かっていない(計)」は25.2%となった。

高校生の親(127名)に、「児童手当の高校生年代までの延長(中学生までだった支給対象が18歳までに)」によって家計がどのくらい助かっているか聞いたところ、「助かっている(計)」は74.8%、「助かっていない(計)」は25.2%となった。高校生の親の多くが、児童手当の18歳までへの延長によって家計負担が軽減されたと実感しているようだ。

  • 2024年10月から行われている児童手当の拡充によって、家計がどのくらい助かっているか

児童手当の多子加算について

子どもが3人以上いる親(120名)に、「児童手当の多子加算(第3子以降の手当が大幅に増額され月額3万円に)」によって家計がどのくらい助かっているか聞いたところ、「助かっている(計)」は78.3%、「助かっていない(計)」は21.7%となった。

全回答者(1,000名)に、2025年度から行われる「多子世帯の大学無償化(3人以上の子どもを扶養する世帯では大学の入学金・授業料が減免され実質無償化)」によって家計がどのくらい助かると思うか聞いたところ、「助かると思う(計)」は62.5%、「助かると思わない(計)」は37.5%となった。

子どもが3人以上いる親(120名)についてみると、「助かると思う(計)」は82.5%と、全体(62.5%)と比べて20.0ポイント高くなった。

  • 2024年10月から行われている児童手当の拡充によって、家計がどのくらい助かっているか

子どもに目指してほしい"理想の大人"

全回答者(1,000名)に、自分の子どもに目指してほしい"理想の大人"のイメージに合う有名人について聞いたところ、1位「大谷翔平さん」、2位「芦田愛菜さん」、3位「所ジョージさん」となった。「大谷翔平さん」は2024年調査に引き続き2年連続の1位となった。

選んだ理由をみると、1位の「大谷翔平さん」については「自分の道を自分で切り開いているから」や「人一倍努力し、しっかり結果を出すから」、2位の「芦田愛菜さん」については「頭が良くて物事の捉え方が素敵だから」、3位の「所ジョージさん」については「好きなことをして生計を立てられているから」といった回答が挙げられた。

  • 子どもに目指してほしい"理想の大人"のイメージに合う有名人

自分の子どもに就いてほしい職業

最後に、全回答者(1,000名)に、自分の子どもに就いてほしい職業を聞いた。男子の親では、1位「公務員・官僚」、2位「会社員」、3位「医師」、4位「エンジニア」「スポーツ選手」となった。選んだ理由をみると、1位の「公務員・官僚」については「堅実だから」、2位の「会社員」については「福利厚生がしっかりしているところを選べるから」、3位の「医師」については「人に喜ばれる仕事だから」といった回答が挙げられた。

女子の親では、1位「公務員・官僚」、2位「看護師」、3位「医師」、4位「医療関係職(医師、看護師など除く)」「会社員」「薬剤師」となった。選んだ理由をみると、1位の「公務員・官僚」については「男女のキャリアアップの差が比較的少ないから」、2位の「看護師」については「結婚してからも様々な土地で就職先が見つかるから」、3位の「医師」については「やりがいがある仕事だから」といった回答が挙げられた。

  • 自分の子どもに就いてほしい職業