開業資金を用意するため、金融機関から融資を受けたいと思う方も多いでしょう。創業融資サポートとは、融資の申し込みを支援してくれるサービスで、審査が不安な方には心強いサービスです。この記事では創業融資サポートのサービス内容、相談の流れ、サービス選びのポイントを解説します。

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創業融資サポートとは融資の申請を支援するサービス

創業で多くの資金が必要なとき、金融機関に融資を申し込むことが一般的です。創業融資サポートとは、融資の申し込みや申請をサポートするサービスのことをいいます。

創業融資サポートの対象範囲は以下のとおりです。

  • 銀行
  • 信用金庫
  • 日本政策金融公庫
  • 信用保証協会
  • ノンバンク

上記のなかで、日本政策金融公庫や保証協会は融資の金利が低いのが魅力的ですが、審査も厳しい傾向です。融資の申し込みで不安を感じている方、融資額の交渉を依頼したい方が、創業融資サポートを利用するケースが多いです。

創業融資サポートで相談する流れ

創業融資サポートでは、主に以下の流れで相談者のサポートを進めていきます。

状況の相談

まずは相談者の事業や融資の希望などを、サポートサービスに相談します。事業の内容、自己資金の有無、希望の融資額、個人の信用情報の状況などです。

ヒアリング結果によって、融資を受けられる可能性があるかを判断します。

融資制度の紹介を受ける

相談者の条件に合致する融資制度を紹介してもらいます。一般的には日本政策金融公庫の制度が多いですが、その他に適している融資制度があれば、サポートサービスから提案を受けることが可能です。

融資以外の資金調達方法を相談できることもあり、補助金や助成金に関してアドバイスがもらえる可能性もあります。

書類の準備・作成のサポート

申請する融資制度が決まれば、手続きの流れや必要書類の準備に関しての説明を受けられます。ここから本格的に書類の準備が始まり、経営計画が定まっていないと書類作成が難しくなるため、あらかじめ考えておきましょう。

事業計画書の作成サポート

事業計画書とは、金融機関に対して、事業の概要・経営者の思い・今後の見通しなどを説明する資料です。金融機関が融資をするか判断するためのメインの資料となるため、非常に重要です。

創業融資サポートは、どのような事業計画書を作成すると審査に通過しやすいかのノウハウがあるため、相談者が作成した内容の修正・追加を助言してくれます。

金融機関の面談の対策・練習

ほとんどの創業融資制度では、書類の審査だけでなく、金融機関との面談も実施されます。面談でも金融機関の担当者の信頼を得ないと、融資を引き出すことはできません。

創業融資サポートでは、書類の作成だけでなく、面談に関するレクチャー・対策・練習を行います。

創業融資の制度は主に3種類

創業融資を受けられる制度は、以下の3種類です。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は、政府系の金融機関で、中小企業や個人事業主などを対象に、各種の融資制度を提供しています。新たに創業する人が利用できる「創業融資」は、無担保・保証人なしで利用できるため、多くの方に利用されています。

自治体の制度融資

地域経済の活性化を目的として、各自治体が制度融資を実施しています。特色は自治体によってさまざまで、金利の補助、保証料の一部負担などがあります。

民間の創業融資

民間の金融機関でも創業融資を行っています。審査は厳しいですが、しっかりとした事業計画書を用意し、面談でも適切に受け答えができれば、高額の融資を受けられる可能性があります。

創業融資サポートを利用するメリット

創業融資サポートを利用することには、以下のようなメリットがあります。

  • 融資を引き出せる可能性が高まる
  • 専門家にサポートしてもらえる
  • 事業に集中できる

融資を引き出せる可能性が高まる

創業融資の支援サービスを利用することで、融資の審査に通過しやすくなるのは大きなメリットです。日本政策金融公庫の場合、一度審査落ちすると半年間は再申請ができなくなります。

銀行などでも一度審査落ちになると、2回目以降の審査が厳格になるとされています。専門業者に申請をサポートしてもらうメリットは大いにあるでしょう。

専門家にサポートしてもらえる

融資を引き出しやすくなることに加え、税金や法律など専門家の助言を受けられるのもメリットです。事業計画や資金計画の問題点を指摘してもらえて、計画の改善につながります。

事業に集中できる

忙しい経営者にとって、申請の手間を省けるのは大きなメリットです。とくに創業時期はやることが多く、自分の事業に専念したい方も多いでしょう。

創業融資サポートに依頼をすれば、自分ですべて行うよりもスムーズに準備ができます。また、経営者の要望や状況に応じて、複数の資金調達方法も教えてもらえるため、資金調達方法の幅も広がります。

創業融資サポートのデメリット

融資の申請や審査に不安がある方にとって、創業融資サポートは心強いサービスです。しかし、以下の点には注意が必要です。

手数料がかかる

創業融資サポートも営利事業として行われているため、手数料を支払う必要があります。手数料は業者によって異なりますが、融資額の3%〜5%程度に設定されているケースが多いです。

成功報酬型を採用しているサービスも多く、その場合は審査に落ちると手数料を支払う必要はなくなります。

一方、申請に必要な書類を自分で作成し、自分で申請すれば、他者へ支払う費用は発生しません。自分でできると判断した方は、サポートに依頼せずに、費用を抑えるのもよいでしょう。

悪質な業者とトラブルになる恐れがある

創業融資サポートを利用する場合、悪質な業者が含まれる恐れも考慮しなくてはなりません。悪質業者は、融資を受けたいけれど一人では心細い方の弱みに付け込んできます。

具体的には、事前に説明のなかった着手金や手数料をあとで請求されたり、成功報酬が非常に高額だったりするなどのトラブル事例があります。

悪質業者のリスクを避けるには、複数の業者を比較検討し、慎重に選ぶことが大切です。

創業融資サポートを比較するポイント

サービスを選ぶ際には、複数の業者に関して以下4つのポイントを比較しましょう。

  • 料金
  • 口コミ・評価
  • 実績・業歴
  • 応対の品質

料金

「出資法」により、金銭の貸借を仲介する業者が受け取る報酬は、手数料を着手金と合わせて5%以内と定められています。業者を選ぶ際には、手数料がすべてコミで5%以下であるかをまず確認しましょう。

5%を超える報酬を設定している場合、違法業者であるため、選ぶのはやめましょう。

口コミ・評価

実際に利用した方の口コミや評価も、貴重な情報です。口コミをみることで、実際に融資を受けられたのか、金額は十分だったのか、ある程度把握できます。

ネガティブな情報は、サポートサービスにおける問題点を提示していることもあり、慎重に判断することが必要です。

実績・業歴

業歴が長く、融資制度に関する知識・経験・ノウハウが十分にある業者のほうが、適切なアドバイスをもらえて、実際に融資を受けられる可能性が高いです。

とくに重要なのが、日本政策金融公庫に関する実績で、無担保・無保証で利用できるため、民間の創業融資よりも有利です。日本政策金融公庫の融資に関する実績が十分かどうかを確認しましょう。

応対の品質

創業融資サポートで問い合わせをする場合、ホームページのコンタクトフォームやメールを利用するケースが多いでしょう。問い合わせをしたときの応対の品質も、業者選びのポイントです。

返信が遅すぎないか、メッセージの内容がわかりやすいか、適切な内容かを確認しましょう。

融資の審査に対策する方法

ここからは、融資の審査への対策で重要なポイントを解説します。自分で申請する方はもちろん、創業融資サポートを利用する方も頭に入れておくことをおすすめします。

事業計画書を丁寧に作成する

事業計画書は、審査において厳しくチェックされる書類です。事業計画が甘かったり不十分だったりすると、審査担当者は「借入金を返済できなくなる可能性が高い」と判断し、審査落ちのリスクが大きくなります。

事業計画書は、事業が成功しそう、返済が問題なくできそうと思わせる内容でなくてはなりません。売上や利益を上げられる予想を立てて、根拠を丁寧に説明する必要があります。

自己資金を十分に用意する

審査では自己資金を貯めているかもチェックされ、自己資金を用意している通帳を提出するよう求められます。その理由は、創業を本気でやる気があるか、金銭管理に問題がないかを判断するためです。

自己資金がまったくないと、審査で不利になる可能性が高まります。融資制度では自己資金に関する要件を設定していることもあるため、事前に確認しましょう。

創業者自身の経歴・能力・資質をアピールする

融資の審査では、創業者のこれまでのキャリア・スキル・人柄などもチェックされます。

事業計画書では、これまでの経験や能力を丁寧に説明し、事業を成功させられるとアピールすることが大切です。また、起業家・経営者としての資質も問われます。

事業に関する知識があるかをチェックするため、面談では突っ込んだ質問をされることも。面談ではどのような質問が来ても落ち着いて冷静に対応することが重要です。

信用情報に傷を付けない

起業家個人の信用情報も、審査ではチェックされます。クレジットカードやローンの返済を期日どおりに行っているか、滞納していないか、金融機関が信用情報を閲覧すればすぐにわかります。

信用情報に傷を付けないよう、クレジットカードやカードローンなどは適切に利用しましょう。