Warisは2025年2月27日 、3月8日の「国際女性デー」を前に、「女性管理職に関する調査~経験者と未経験者の両視点から探る~」の結果を発表した。同調査は2025年1月15日~1月31日、管理職経験のある女性/管理職経験のない女性292名を対象にインターネットで実施した。

  • 女性管理職に関する調査~経験者と未経験者の両視点から探る~

管理職 経験者に「苦労していることや課題」について尋ねてみると以下のような結果になった。

1位「精神的なプレッシャーが大きい」、2位「ワークライフバランスが取りづらい」、3位「男性中心のコミュニケーションや組織風土」。

  • 【管理職 経験者限定】苦労していることや課題

「管理職になりたいか」を問う設問では、「はい」「どちらかというとはい」と答えた人が53%、「いいえ」「どちらかというといいえ」と答えた人が47%という結果になった。

「はい」「どちらかというとはい」の理由は以下の通り。

経験やスキルを磨きたい、仕事内容に興味ややりがいを感じる、より高い給与や報酬を得るため、裁量を広げたいから、自身のキャリアビジョンの実現のため など。

「いいえ」「どちらかというといいえ」の理由は以下の通り。

労働時間や仕事量への不安があるから、自分の能力・経験が不足していると感じるから、ワークライフバランスへの懸念があるから、管理職に興味がない など。

  • 管理職になりたいと思うか

「
女性管理職を増やすために有効だと考えることはなにか」と尋ねたところ、1位「柔軟な働き方の実現」、2位「子育て・介護などライフと仕事の両立支援」、3位「夫やパートナーの家事・育児協力」、4位「業務経験、キャリア開発機会の男女格差是正」、5位「家事・育児は女性がするもの」などの性役割意識のような社会通念・風潮がなくなる(緩和する)ことということが明らかになった。

  • 女性管理職を増やすために有効だと考えることはなにか

「女性管理職比率の公表義務化は女性管理職比率増に有効か」という設問に対しては 「有効だと思う」(59.6%)、「有効だとは思わない」(25.0%)、「わからない」(15.4%)という結果になった。

「有効だと思う」理由として女性が企業選びの参考にすることで競争が生まれる、外圧・法的規制が変革を促す、企業の意識改革のきっかけになる、女性比率の高い企業が増えればそれが「当たり前」になる などが挙げられた。

また「有効だとは思わない」理由としては形式的な対応・形骸化の懸念、育児などとの両立の困難さといった課題の本質的な解決にはならない、管理職は適任者がなるべき などが挙げられた。

  • 女性管理職比率の公表義務化は女性管理職比率増に有効か

「男女の賃金差異公表義務の対象範囲拡大は女性管理職比率増に有効か」を尋ねると、以下のような結果になった。

「有効だと思う」(59.6%)、「有効だとは思わない」(24.0%)、「わからない」(16.4%)

「有効だと思う」理由としては、数値で事実を可視化することで企業の対応が促され女性の管理職登用も進む、女性が公平な賃金を得られることが明確になれば管理職を目指す意欲が高まる、外圧・法的規制による強制力となる などが挙げられた。

また、「有効だとは思わない」理由として賃金差の要因が複雑で直接的な影響は薄い、管理職比率の増加に直結しない、数字合わせや形骸化の懸念、性別ではなく個々の成果などに応じた賃金体系が望ましい などの声が集まった。

  • 男女の賃金差異公表義務の対象範囲拡大は女性管理職比率増に有効か

管理職として大変だったことと、その乗り越え方について以下のようなコメントが寄せられた。

管理職として大変だったこととして、「ワークライフバランスと育児・介護の両立」「ジェンダーバイアス・職場文化の課題」「キャリアの障壁とロールモデル不在」「マネジメントにおける困難と人間関係の葛藤」「自分のメンタルヘルスとの向き合い」などに関する回答が目立った。

「子供が生まれた時、子供に病気が見つかり長期の入院手術を繰り返した時、前倒しのキャリアでよかったと心から思いました。何があっても自分の価値は変わらないと信じ続ける気持ちの強さも大事でした」(50代/代表取締役)

「当時の担当役員が『他の女性の見本になってほしい』と2人の子供がいた私を推薦してくれた。『なぜ残業もしないのに推薦されるんだ』と限られた推薦枠から外れた男性社員から陰口を叩かれ、また一般社員の女性からも『異質な人』的な冷めた視線も感じた。雑音はシャットアウトするスタンスで、評価してくれる人達も一定数いたので、そちらに意識を向けてやり過ごしました。」(50代/課長)

「プレッシャーによる自律神経不調で、2回ぐらい倒れて心療内科に通いました 20代だったのでそこからキャリアをワークライフバランス重視に方向転換できたのはよかった」(40代/プロデューサー)

また“女性×働く”について自由に書いてもらったが、「多様な働き方の普及」「男女平等なキャリア支援」「ロールモデルの創出」「評価基準の多様化」「男性の家庭進出」「キャリア教育の強化」「多様な生き方を認める文化と社会全体のマインド改革 」など働き方の柔軟性や多様なキャリア形成を求める声が多く寄せられた。一部を紹介する。

「家族が健康で仕事も順調な時は両立も苦に感じないが、ひとたびバランスが崩れると途端にその負担が女性にかかる社会のありように疑問を持っている。私は昨年春までフルタイムで勤務していたが子供達の不登校をきっかけに自分の体調悪化や仕事の調整がうまく行かなくなり現在休職している。」(40代/管理職未経験)

「入社時は、むしろ女性の方が優秀ではないかと感じることが多いにも関わらず、数年たつと企業で昇進していける力(業務知識・経験もですがモチベーション?姿勢?といった考え方・視野の広さ部分も)を身に着けているのは男性、という印象。何がこの差を生んでいるのでしょうか。努力の方向性が違うのかなと思ったりします。」(40代/管理職未経験)

「地方にいても活躍できる、または自分のキャリアの選択肢がもてる社会が来たら良いです。企業にとっても、人材活用や多様性でプラス面が多いと思います。また、フリーランスの使い方をわかっていない企業が多いので、もう少し外部人材を取り入れる選択肢が企業にも広まるといいです。」(40代/部長) 
「本来の理想は女性、男性という区別がなくなることだと思う。出産、育児、介護などのライフイベントがある時に、女性の役割がどうしても増えてしまう現状がある。出産と授乳以外は男性でもできる仕事なので、家族が助け合ってライフイベントと仕事を両立させられる環境を国や企業側が用意すべきである。」(60代/取締役)