現在放送中のTBS系日曜劇場『御上先生』(毎週日曜21:00~)で次元賢太役を好演している俳優の窪塚愛流(21)が、20歳の1年を収めた『窪塚愛流 1st 写真集 Lila』(小学館)を3月5日に発売した。窪塚にインタビューし、1st写真集が自身にとってどんな1冊になったのか、さらに、俳優業への思いや、同書にも登場する家族への思いも聞いた。

  • 窪塚愛流

    窪塚愛流 撮影:加藤千雅

――1st写真集を発売される今のお気持ちをお聞かせください。

光栄です。写真集を出していただくなんて一切考えていなかったので、すごくうれしいですし、ありがたいなと思っています。20歳のメモリアルであり、そして2024年は僕の人生にとって一番濃く、体感で3カ月ぐらいに感じる濃厚な1年であり…これまでの思い出の地を辿っているので自分の人生の小説みたいな写真集になっていると思います。等身大の飾っていない自分も撮っていただきたかったので、私服でも撮影をしています。自分の理想の写真集にしたいという思いを皆さんが大事にして作ってくださったので、想像以上に素敵で大切な1冊になりました。

――生まれ育った横須賀や地元の大阪で撮影されましたが、馴染みのある場所での撮影はいかがでしたか?

ちょっとうるっときて感動的でした。大切な方々や場所を巡っての撮影で、そこには愛があふれていて思いがこみ上げてきました。何事もより大事にしたいという思いが強くなりました。これまでいろんな場所や人と出会ってきましたが、原点に戻って1st写真集で大事な場所を刻んでもらえたことは感慨深いですし、これからも頑張ろうと、改めて背中を押されたというか、この写真集が自分のより良い未来につながる新たな分岐点になり、幸せだなと思います。

  • 窪塚愛流 (C)小学館 写真/Great the kabukicho

――2024年がご自身の人生で一番濃い1年になったとのことですが、特に大きな経験になった出来事を教えてください。

初舞台となった『ボクの穴、彼の穴。W』が一番肝になった出来事で、写真集でもそこが分岐点になっている気がします。舞台前後で写真を見比べると舞台前は少し幼さが残っているように感じて…自分にとって震えるぐらいビビった経験を駆け抜けたからこそ、初めて俳優として胸を張れて自信を持てたことが大きかったのだと思います。今まで考えたこともない、さまざまなことを考えて限界を超えたような。舞台が終わった後は、自分でも変化を感じるほど。そのときは経験したことがないことの連続で過酷でしたが、今となっては一生の財産だなと思います。

――人が変わったようとのことですが、どのように変わったと思いますか?

役との向き合い方や視点の置き方などあらゆることが変わって、自分はここまでストイックにできるんだと思うほど、役のことを深く考えるようになりました。篠原悠伸さんとの二人芝居、且つ舞台に出ずっぱりの会話劇。今までの芝居のアプローチが通用しなかったり、役に入りすぎて抜けなくなってしまったり、そんな経験を経て、作品のこともお芝居のことも俯瞰で考えられるようになった気がします。例えば、今出演中の『御上先生』では、カメラで撮っているところだけではなく、教室全体や学校の隅々まで感じてお芝居をするようになりました。

――『御上先生』は、東大卒のエリート文科省官僚の御上孝(松坂桃李)が隣徳学院3年2組の担任教師になり、令和の時代を生きる高校生を導きながら権力に立ち向かっていく物語で、窪塚さんは、明るく雄弁な愛されキャラ・次元賢太を演じられています。本作への出演はどんな経験になっていますか?

今までは、セリフを言いながらどう動いたらいいのか、すごく考えて演じていたのですが、今回は、セリフだけを覚えて、その場で感じたように動くという。その場の空気感と相手のお芝居と向き合って、僕が演じる次元がどういうエッセンスを加えられるか、自分に課しています。瞬発力を大切に演じて、いつも撮影は挑戦です。

  • 窪塚愛流

――昨年の舞台で大きな変化があり、そして『御上先生』でも充実した日々を送られていますが、今の俳優業への思いを改めてお聞かせください。

舞台を乗り越えて自信が芽生えたとはいえ、自分はまだまだ、やっと始まったばかりという感じです。僕じゃないとダメだと思ってもらえるような、僕にしかない、僕だけのお芝居があるはずなので、それを見つけたいです。

――これから自分だけの芝居を見つけたいとのことですが、今の時点で、自分らしさとして大切にしていきたいと考えていることがありましたら教えてください。

周りとは違う視点で考えようとするところかなと思いますが、まだ探している途中なので、発想を止めず、自分で自分にブレーキをかけず、僕だけのお芝居を見つけていけたら。お芝居をしていると、「こういう芝居をするんだ」「こういう引き出しがあるんだ」と発見が面白いので、自分もずっと進化をし続けて、誰も想像できないお芝居を目指していけたらと思います。