アメリカン・エキスプレスは3月4日、中小企業・個人事業主のオーナー向け法人カード「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード」を発表した。同時に新規申し込みの受付も開始した。年会費は49,500円。
アメックスの日本代表/社長の須藤靖洋氏は、中小企業・個人事業主が課題として抱える「自信を持ってお勧めできるカードに刷新。事業のさらなる成長に向けていっそうアクセルを踏んでほしい。力強いパートナーとなれるように伴走していく」とアピールする。
成長する企業間決済に向けてゴールド・カードを刷新
アメリカン・エキスプレスでは現在、個人向けカードに加えて法人向けカードへの取り組みを強化している。特に建設、農業、IT、医療、漁業などの分野に力を入れており、法人カードの利用を推進することに加え、企業間決済のキャッシュレス化のため、法人向けの加盟店開拓も強化している。
年20%程度の伸び率で法人ビジネスが増加しているとのことで、現在は個人向けと同等のビジネス規模まで成長。遅れがちの日本の法人分野におけるキャッシュレス化を推進することで、さらなるビジネス拡大を狙う。
もともと同社は、カード発行事業の部門と企業間決済の加盟店開拓部隊が1つの会社内にある点が特徴だと須藤氏。カード利用者がどういった決済を行っているか、加盟店がどういった業界をターゲットにしているかといった双方のニーズを把握し、業界のキャッシュレス化を推進しているという。
個人向けの加盟店開拓ではJCBとの協業によって進めているが、企業間決済における加盟店開拓はアメックスが行っており、ニーズに応じて拡大を続けていて、特に農業を推進しているほか、医療業界での成長率が高まっているそうだ。
そうした状況下で、カードの機能を強化することで利用者の拡大をさらに図るとして、従来のアメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードを刷新する。
最大の特徴は、初めてというホワイトカラーの追加カードを最大99枚まで、無料で発行できるという点。これまで、従業員が立て替え払いなどをしていて経費精算が面倒だったという状況が続いていたが、従業員に配布してカード利用を一本化することで効率化が図れるとしている。
弥生会計やfreeeといったクラウド会計ソフトとデータ連携できるため、企業のオーナーも従業員も、使った経費を簡単に管理できる点もメリット。利用限度額をカードごとに設定でき、支払い状況を可視化できるなど、「ガバナンスとキャッシュフローマネジメントが可能になる」という。
こうした経費管理は中小企業・個人事業主の大きな課題となっており、本業に注力したいという声に応えるサービスにした。
さらにポイントプログラムである「メンバーシップ・リワード」も適用される。銀行振込や現金払い、手形が多い企業間決済で、「経費管理の重要性が増している」と須藤氏。カード利用に一本化することでポイントがたまりやすくなり、ポイントを支払いに充当するなどして、経費をセーブできると話す。
メンバーシップ・リワードは通常100円の利用につき1ポイント。さらに月額3,300円のメンバーシップ・リワード・プラスに登録すると、一部業界で仕入れ先としても利用できる約20の加盟店でポイントアップするため、より効率的二ポイントを貯められる。
さらに「ビジネス・フリー・ステイ・ギフト」も提供。これは、カードの利用金額に応じて1泊2名分の無料宿泊券を、年間最大2泊分プレゼントするというもの。カード利用額が合計300万円以上で1泊2名分、500万円以上でさらに1泊2名分となる。
東急のサブスクリプションサービスであるTsugiTsugiの対象施設から選択可能。カード会員本人だけでなく、従業員や取引先に贈呈することもできる。昨今、インバウンドの増加などで宿泊費が高騰している。そうした際にギフトを出張の宿泊代とすることで、出張旅費を抑えることができると須藤氏はアピールする。
ビジネス・マッチングサービスでは、オンラインや対面のイベントを実施して、会員同士が交流して情報交換できる場を提供する。ビジネスパートナーを探したり、自社製品のPRの場にしたりと言った活用が考えられる。15,000社以上の企業・個人事業主が登録し、今年は全国で毎回200人規模のイベントを開催する予定だという。
アメックスは、米国での創業が1850年で、今年で創業175年となった。日本でも1917年に事業を開始して108年目。1980年には日本初のゴールドカードを発行。85年にはコーポレートカード、2003年にはビジネス・ゴールド・カードを発行した。
さらにすでに2023年にリニューアルしたビジネス・プラチナ・カードに加え、ビジネス・グリーン・カードも存在しており、3種類から選択できるようになっている。今回は、このビジネス・ゴールド・カードを刷新した。
人手不足や働き手の高齢化といった問題を抱える事業者においては業務効率化に向けたデジタル化は急務だと須藤氏。中小企業・個人事業主の限られた人材、予算、リソースの中で、経理作業などを効率化するための決済手段として、アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードをアピールしていく考えだ。