日本コカ・コーラは3月10日、ブランド初のフルリニューアルを果たした「新・二代目檸檬堂」を全国発売する。関係者は「約1年半の開発期間をかけ、100回以上の試作を重ねて"五味のバランス"と"レモンのうま味"を極めました」とアピールする。都内では新商品発表会が開催された。

  • 日本コカ・コーラのレモンサワー専門ブランド「檸檬堂(れもんどう)」がフルリニューアル

リニューアルのポイントは?

全国発売から5年が経ち、ブランド初のフルリニューアルとなった「檸檬堂」。こだわりの製法を継承しながら、五味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)のバランスに着目することで味覚設計を大幅に進化させた。さらに、加熱したレモンから抽出したレモンピールエキスを隠し味に使うことでレモンのうま味を最大限に引き出した。

  • 「檸檬堂 定番レモン」。アルコール分5%、果汁率10%。メーカー希望小売価格は、350mlが176円、500mlが231円

  • 現行品のパッケージと比較。「新・二代目」のロゴが追加されている

「檸檬堂 レモン濃いめ」は、レモン2個分の果汁を使用。これまでの美味しさを活かしながら"うま味"をバランスよく加えることで、奥行きのある味わいに進化させた。このほか「甘くない檸檬堂 無糖レモン5%」「甘くない檸檬堂 無糖レモンとすだち7%」もパッケージが新デザインとなっている。

  • 「檸檬堂 レモン濃いめ」はアルコール分7%、果汁率21%。メーカー希望小売価格は、350mlが176円、500mlが231円

イメージキャラクターとして、俳優の市原隼人さんを「二代目檸檬堂店主」に起用。「売るぜ! 檸檬堂」というキャッチとともにプロモーションを展開していく。

  • テレビCMのイメージ。二代目檸檬堂の特徴について熱く語る市原さんがユニークで笑いを誘う

レモンの"うま味"とは?

日本コカ・コーラ マーケティング本部の福満静儀氏は、2019年10月に全国発売された「檸檬堂」がこれまで消費者に広く受け入れられてきたと強調する。「ほかのレモンサワーとは違う、差別化されたブランドだ、と好評をいただいてきました」と福満氏。

  • 日本コカ・コーラ マーケティング本部 アルコール事業本部 事業本部長の福満静儀氏

そのうえで、新たなステージに進むべく「新・二代目檸檬堂」を展開する。「これまで大切にしてきた価値観を継承しながら、新たな時代のニーズに応えていきます。より多くのお客様のアルコールのある生活に寄り添えるような、そんなブランドを目指していきます」(福満氏)。

  • ターゲット層に想定しているのは、20~40代の消費者。メリハリ消費を実践しつつも、家飲みにはちょっと良いお酒を選ぶ傾向のある人たちに向けての提案となる

続いてコカ・コーラ 東京研究開発センターの矢野寛明氏は、中味をリニューアルした背景について説明。「檸檬堂をより美味しくリニューアルするには、どうしたら良いか――。長い時間をかけて試行錯誤した結果、たどり着いた発見が"加熱したレモンを使う"ことでした。一般的に、レモンにはフレッシュな香りが求められています。加熱すると香りが消えるため、本来ならご法度な製法です。けれどレモンを加熱することで、ふくよかで奥深い味が引き出せたんです」と矢野氏。それこそがレモンの"うま味"だった。

  • コカ・コーラ 東京研究開発センター 製品開発部 サイエンティストの矢野寛明氏

発表会にゲスト登壇した、和食料理人「鈴なり」の村田明彦氏は「私も料理で試してみたんですが、たしかに火入れしたレモンはマイルドでうま味が増すことが分かりました。ただ五味の中で、うま味だけが突出してもあまり美味しくはなりません。5つの味のバランスを見極めることが大事で、開発に際しては相当な苦労があったのではないでしょうか」と思いやった。

  • 味博士 OISSY 代表の鈴木隆一氏(左)と、和食料理人「鈴なり」の村田明彦氏(右)

また味博士 OISSY 代表の鈴木隆一氏は、鶏肉、クリームチーズに加熱あり / なしのレモンをかけたときのうま味を比較した実験の結果を公表。それによれば、加熱したレモンをかけたときの方がうま味が0.4~0.5ポイントほど向上しており「当初の予想よりも大きな差が出ました」と驚いた表情を見せた。

  • 加熱したレモンをかけた方が料理のうま味が増した。この実験では、0.2以上あれば人間の味覚で認識できるレベルとのことだった

そこで最後は、実際に「新・二代目檸檬堂」を試飲することに。鈴木氏は「主張しすぎない、良い塩梅でうま味が含まれていますね」、村田氏は「初代檸檬堂も好きな味でしたが、二代目はさらに角がとれてマイルドになりました。ずっと飲み続けたい味です」と笑顔を見せていた。

  • フォトセッションの様子