――今日は緊迫したシーンの撮影でしたが、振り返ってみていかがでしたか?
神尾:才次郎が仇(かたき)を取りに来るというシーンだったので、緊迫した中でも憎しみなどをちゃんと表現しようという風に思っていました。緊迫感のあるシーンになってたらいいなと思っております。
椎名:巧佐衛門と才次郎が14年ぶりに再会するシーンから始まったんですけど、寒風吹きすさぶ中、色濃い2人の関係をうまく表現できたんじゃないかなって思います。
山本:台本を読ませていただいたときに、個人的にはこのシーンが一番難しくなる課題のシーンだなと思っていたんです。基本的に、山下監督はすごく細かく演出をしてくださる方なので、身を委ねる思いなんですけど、実は、父上(巧佐衛門)と目を合わせてお芝居するのは今日が初めてだったんです。なので、ちょっと感慨深い1日になりました。
椎名:親子ですからね(笑)。こうやって近い距離で目線を合わせるっていうのは今日が初めてで、僕も「ああ、娘だな…」っていう感じでした。
山本:(笑)
――神尾さんは初の時代劇ドラマということで、手応えはいかがでしょうか?
神尾:自分では本当に分からないんですよね。才次郎の気持ちで精一杯やっていますけど、これが時代劇として正解なのかどうかっていうのは全然分からないので、「監督がOKっておっしゃったらOKだろう!」というふうに、気持ちの中で整理をつけてやっていました。
――神尾さんが才次郎という役どころを演じる上で大事にしてることは?
神尾:やっぱり過去の事件のことはずっと頭の片隅にないと、才次郎という役は成り立たないと思うので、それは忘れないようにしようと。あとは、巧佐衛門といるときの才次郎、英里殿といるときの才次郎という、それぞれの才次郎の雰囲気の違いはちゃんと大事にしていきたいなと思っています。
――以前、「大先輩の椎名さんに負けないようにっていう気持ちで頑張りたい」というお話もありましたが、実際に椎名さんと共演されていかがでしょうか?
神尾:やっぱりオーラがあります(笑)。面と向かうと風格をさらに感じるんですが、それに飲まれないようにしようっていうのは常々思ってやらせていただいてます。でも本当に優しくて、迷ってることがあったらアドバイスしてくださるんです。ところどころで言ってくださるので、それがすごく僕はありがたいです。本当に大先輩ですけど、いい方と共演できたなと思っています。
――椎名さんはどんなアドバイスをなさったんですか?
椎名:いやいやいや…飯食いに行こうか、とかね(笑)。やっぱり初の時代劇で、しかも主演という、かなりハードルが高いというところが見受けられるので。京都でも指折りの名監督である山下監督のご指導のもと、京都の時代劇の専門スタッフと言っても過言ではない皆さんの中で揉まれてる神尾くんの姿が非常に愛おしいんですよ(笑)。でも僕はあんまり、芝居として「もうちょっとこうしたほうがいいな」っていうのは言ってないよね。アクションのところとか、1つ2つぐらいかな。
神尾:ちょっとパニックになりかけたときなんかに。
椎名:やっぱり周りの時代劇のプロの方々が細かく教えてくださるのでね。僕も今日初めて、たすきをパッと取るという所作があって、「こうするんだ」みたいな。 僕ももう長くやってますけど、毎回毎回勉強させてもらってます。だから、一緒に頑張っていきましょう。
神尾:はい! 頑張ります。ついていきます。
大分に縁「しっかりといい作品を」
――椎名さん演じる巧佐衛門は、最終的にすごく素敵な人物だということが判明しますが、演じる上で難しい面などはありましたか?
椎名:かなり難しいですよ。それは赤神先生の書かれた原作を拝読してからずっと思っていることですし、これまでやったことがないような役ではありますしね。だからこそ、原作の巧佐衛門に近づきたいと思って、毎シーン毎シーン、この14年間の思いというものを考えながら挑むようにしております。巧佐衛門は清濁併せ呑んでいるところがありますが、魅力的な人物なので、気は抜かないように最後まで演じていきたいと思います。
――山本さんはどういったところを大事にして英里を演じられてますか?
山本:私も演じたことのないキャラクター、役柄でして、とにかく所作もそうですけれども、デビュー作(映画『太秦ライムライト』)を太秦で撮影させていただいたにもかかわらず初めてのことがかなり多くて…。ここにいる3人はどこか背負っていることが多いのですが、英里はほぼ唯一、皆さんと一緒にいる女性ではあるので、数少ない中でも明るくできるところは根っから明るい英里でいて、けど、どこかはかなさも見えるようにしています。
――大分のファンと、あとできれば広く多くの方に見ていただきたいので、皆さんへメッセージをお願いします。
椎名:大分といえば、私は初めて家族旅行で飛行機に乗せてもらったのが大分でした。別府に行ったんですよ。また、初めて映画祭に呼んでいただいたのが「湯布院映画祭」。だから非常に大分にはご縁を感じているんですが、今回はそういった大分の皆さんにまず先にお届けできるということなので、しっかりといい作品を作ってお届けしたいと思います。
山本:ありがたいことに、神尾さんと一番最初の撮影を大分でさせていただきまして、それがとても素晴らしい期間だったと、すごく実感しております。大分のシーンは、個人的にはすごく複雑なシーンではあったんですが、そこで見た景色や感覚みたいなものが今まさに思い出されていて、撮影で生きているのを実感しています。大分の方は景色を見たら大分ってすぐに分かられるのかなと思うんですけれども、そういった撮影背景も含めながら見ていただければと思っております。
神尾:初めての時代劇なので、もしかしたら時代劇をたくさん見てらっしゃる方々にはちょっとつたない部分もあるとは思うんですけど、僕なりに精一杯、竹田市の歴史からできたこの物語をしっかり演じているつもりではありますので、本当に多くの方に見てもらえたらいいなという気持ちです。



