気づけば今年で50歳。高解像度の鏡で自分を映すと、老いた事実からは目をそらすことはできない。だけど、まだまだこの先も人生を楽しみたい!! そう思っていた矢先、「遅咲き守り」というお守りが、群馬・草津温泉のとあるお寺で授かれるという情報をゲットした。

  • 光泉寺の遅咲き守り

よし、行こう。草津温泉へ行こう。もうひと花咲かせるのだ! アラフィフライターの筆者はそんな野望を胸に、天下の名湯・草津温泉へと旅立った。

■湯けむりに包まれる草津温泉へ

  • 湯けむりがたちのぼる草津のシンボル「湯畑」

新宿からバスに乗り、草津温泉へ到着。目の前に広がるのは、草津温泉名物の「湯畑」と、立ちのぼる湯けむり。草津独特の硫黄の香りが漂い、温泉地ならではの情緒を感じる。

筆者は草津温泉が大好きで約3年前にも訪れているのだが、当時遅咲き守りについては知らなかった。「ゆっくりでも成功できる」そんな前向きなメッセージが込められているなら、参らずにはいられない~!!

■「遅咲き守り」を求めて光泉寺へ

  • 光泉寺へ続く石段

目指したのは湯畑近くにある「光泉寺(こうせんじ)」。このお寺は鎌倉時代に開かれ、古くから草津温泉の守護寺として信仰を集めてきた。

光泉寺へ行くには長い階段を上る必要があり、ちょっとした運動になるのもポイント。

  • 光泉寺の本堂

石段を上りきると視界が開け、荘厳な本堂が現れた。目を引くのが、一般的なかわらではなくアルミ製の屋根。これは、草津温泉の強酸性の湯気によって金属がさびないようにするための工夫なのだとか。

実際、草津の街には鉄がさびついた看板や建物も多いが、光泉寺の屋根はピカピカ。この土地ならではの知恵に感心した。

■遅咲如来堂と遅咲き守り

  • 遅咲如来堂

本殿で参拝を終えると、こぢんまりとしたかやぶき屋根のお堂を見つけた。これが「遅咲如来堂(おそざきにょらいどう)」。名前の通り「遅咲きでもいい、夢を持ち続けることが大切だ」という願いが込められた場所だ。

堂内には、300年の時を越えて姿を現したという神秘的な「釈迦如来像(しゃかにょらいぞう)」が安置されている。静かに手を合わせると、年齢を重ねても挑戦し続けることの大切さを諭されているような気持ちになった。

  • お守りやお札をいただける授与所

そんな釈迦如来像にちなんで生まれたのが遅咲き守り。本殿脇の授与所にていただくことができる。

  • 遅咲き守り(各800円)

遅咲き守りはかわいらしい桜の刺しゅうが施されたお守り。ピンクとグリーンの2色があり、グリーンの方が人気だという。

  • やっぱり最後は神頼み

せっかくなら! とお守りを2個手に取り、心を込めて願いをかけた。

「人生の折返し地点を迎えてしまいました。もう大器晩成や遅咲きにかけるしかないんです(笑)! どうかひと花咲かしたいのです!!!」

  • ここでしか引けない遅咲きみくじ

ちなみに、光泉寺には遅咲きの人を応援するおみくじもある。引いてみたらまさかの小吉。なんとも微妙な結果だ……。

「他人の目を気にせず、自分の信じた道、信じたやり方をつらぬく時。それで失う縁もあるが、去る者は追わず、来る者は拒まずの気持ちで」

去る者追わず……アラフィフライターの筆者には厳しすぎる話だけど、生きるってそういうことなのかも。はいっ! 受け入れてわが道を行きます!!

  • 天空に最も近い五重塔

境内には"天空に最も近い"と書かれた五重塔もある。草津の温泉街に五重塔? しかも天空に最も近い?

少し驚いたが、草津温泉の標高は約1200m。東京スカイツリーのほぼ2倍の高さの場所に五重塔があるのだから、まさにその言葉通り。

またここでは、天空に最も近い五重塔をモチーフにしたお守りや御朱印帳もいただける。

  • かわいらしい手のひらサイズの五重塔おみくじも発見

■温泉街を楽しみながら、自分と向き合う

  • こしあん派に人気の「富貴堂(ふうきどう)」の温泉まんじゅう

光泉寺を後にし、温泉街をゆっくり歩く。レトロな雰囲気のあるカフェで温泉まんじゅうをほお張り、伝統工芸のお店をのぞき、地元の人と話す――。若い頃ならスルーしていたかもしれない、こうしたゆったりとした時間がとても心地よかった。

  • 華紋の「上州牛のすき焼き」(4,600円)

夜は地元の食材をふんだんに使った料理を堪能することに。2024年8月にオープンしたばかりのすき焼きの店「華紋(かもん)」で、上州牛のすき焼きに舌鼓を打つ。

ここのすき焼きは、砂糖の代わりに"わたあめ"を使用。鍋がグツグツしだすと、イリュージョン的な速さで消えてなくなるのが面白い。

焼き肉もステーキももちろん良いけれど、風情を感じるなら、やっぱりすき焼きに違いない。

「ああ、ウマい。細胞が喜んでいる……」

アラフィフのくせに、どうやら胃袋は元気そうだ。すき焼きをたらふく食べた筆者は、おなかいっぱいになりながら帰路についた。


草津温泉は、単なる温泉地ではなく心と体を癒やし、自分と向き合うきっかけをくれる場所だった。アラフィフになっても、新しい挑戦はできる。遅咲きでもいい。いや、遅咲きだからこそ味わえる景色があるのかもしれない。人生の新たな一歩を踏み出すために、ぜひあなたも草津温泉を訪れてみてほしい。