
『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。エヴァンの1974年アルファロメオ・スパイダーが遂に帰還!
愛しのアルファがようやく長いリハビリから戻ってきた。なかなか大変だったが、彼女(アルファ)は少なくとも家に帰ってきてくれた。でも、お気楽な気分でいられないこともある。なんでこんなことをしているんだろう、などと思ってしまうこともある。
【画像】サスペンションの部品交換も済ませ、元気に帰ってきたアルファロメオ・スパイダー(写真4点)
修理工場から戻ったアルファは、アルファのショップへと直行した。彼女は修理工場のホコリにまみれていて、とても汚れていた。1か所にいただけなのに、なぜこんなに汚れてしまったんだろう…と思うほどだった。しかし、ショップに移動したからもう安全だ。
火曜日。サスペンションまわりの作業をするためにアルファをリフトに乗せた。ここロサンゼルスでもまだ肌寒い日だった。
私の役目は後方支援というか…、背後でできる限りの手伝いをした。掃除や片付けぐらいならできる。スプリング、ショック、タイロッド、フロントエンドブッシュ、頑丈なスタビライザー、ステアリングのボックスシール。そしてリア側では、ショック、スプリング、新しいトレーリングアームブッシュ、トラニオン(円筒形の突起)のバーブッシュなどの作業がされた。ベニーはこの工場を一人で運営している。だから決して邪魔をしてはならない。これらの作業は、彼なら寝ながらでもできるのだ。見ていてとても勉強になった。
彼はたった1日で、この車全体の作業を終えた。たしか昼食は、コリアンバーベキューだった。
水曜日は、新品のブレーキパッドと新品のドライブシャフトとサポートパーツを取り付ける日だった。オリジナルのドライブシャフトはバランスがずれていて、リア側でガラガラという音がしていた。デフの故障ではありませんように、と私は祈っていた。私が片付け上手だって前に言ったよね?欠けていたパーツ、バランス、ワイパーなど、気が狂いそうになるほど小さなものをすべて元に戻した。そうこうしているうちに、あっという間に車の準備が整っっていった。
車というものは、自分の家の前に停めておきたいものだ。近所の人が出てきて、「新しいおもちゃを買ったんだね」とか、「おや、アルファロメオかい」とか、「本当にきれいな車だね」とか言われたいものなのだ。
一通り落ち着いたので、新たにパウダーコーティングされたタービナのアルミホイールとタイヤをタイヤショップに持ち込み、取り付けを依頼した。ホイールがひとつずつ装着されるたびに、アルファはどんどん格好良くなっていった。
ひとたびタイヤが装着されると、通りがかりの人たちは立ち止まり、コメントをせずにはいられないようだった。マフラーショップのオーナーだという男性は、修理工場がやった作業でまずかった点について指をさしながら指摘し始めた。かなりの時間イライラし続けたあげくに私は、良いことを言わないのならマフラーショップに戻ってくれ、と彼に言った。もう一人の男は、昔に友人が同じ車を持っていたそうで、そのせいで巻き込まれたあらゆるトラブルについてしつこく話してかけてきた。結局、若いブロンド美女が「ぜひ乗せてください!」と話しかけてくるようなことはなかった。アルファより仔犬のほうがウケがいいのかもしれない。
週末の暖かい日差しを浴び、アルファの素晴らしいエンジン音を聞きながら、私は家まで一人でドライブした。そして今、私はアルファを家の前の道に停め、コンパウンドを塗り込んでマッサージしながら、オーバースプレーの層がゆっくりと消えていくのを待っていた。すると、犬の散歩をしていた女性が立ち止まり、写真を撮っていいかと尋ねてきたのだ。私は突然の出来事に面食らったものの、深呼吸をして落ち着きを取り戻した。
夕食を終えて、私は窓の外を見た。アルファはまだそこにいる。ああ、とても調子が良さそうだ。
文:Evan Klein