――『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』や『SHUT UP』などこれまで手掛けられた作品の中で、本間さんが大事にしていることは?

ドラマはフィクションでありエンタメだけど、“社会と地続きであること”というのは大事にしています。あとは自分がドラマや映画に励まされたり救われたりしてきたので、自分が作る作品も、誰かにとってそうなれたらいいなというのは思って作っています。

――『晩餐ブルース』の制作を通して見えてきた、“これから挑戦したいこと”があったら教えてください。

この作品で、ということではないのですが、いつも作品を作るときに、“社会性とエンタメ性の両立”みたいなものを目指しているつもりです。エンタメ性という部分で私には足りないものがある気がしていて、そこをもっと磨いていきたいですね。

――本間さんの言う“エンタメ性”とは?

見終わったあと、シンプルに“面白い! なにこれ! ”となれることです。『SHUT UP』の場合、その社会問題に対してアンテナを持っている方は熱を持って見ていただけたかもしれませんが、そういったアンテナがそこまで立っていない方にも楽しんでもらえたのか? と考えることがありました。その社会問題に関心がない人が見ても楽しめて、ドラマを楽しんでいるうちに社会性にアンテナが向くというのがエンタメの力だと思うし、私の理想とする形です。

――ヒットコンテンツを次々と生み出す本間さんにとって、地上波放送と配信をどのようにとらえられていますか?

私自身、配信をとても活用させてもらっています。特にテレ東は、地上波放送では見られない地域のある放送局なので、TVerのおかげで全国の方に見てもらえるチャンスを与えてもらっていて、本当にありがたいですね。

――これから『晩餐ブルース』をご覧になる方へ向けて、ひとことメッセージをお願いいたします。

人生につまずいた大人たちと、おいしいご飯が出てくるドラマです。忙しない日々の中で、頑張っている自覚がないまま頑張り続けている人が立ち止まれるような場所になれたらうれしいです。

●本間かなみ
派遣社員での勤務を経て、2022年テレビ東京入社。ドラマプロデューサー。これまでのプロデュース作品はドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『うきわ―友達以上、不倫未満―』『今夜すきやきだよ』『SHUT UP』など。