また、演じる際に、キャラクターを成長させていく余白を残すことを意識していると語る。
「きっと立派な火付盗賊改方になると信じているので、あまり立派にやりすぎないというか、所作もセリフのしゃべり方も立派になりすぎないように、少し余白を残すことを意識しています」
蔦重と花の井(小芝風花)にカモにされ、視聴者から“カモ平”とイジられる愛されキャラとなっている平蔵。
隼人は歌舞伎の現場でも中村勘九郎らから「カモ平」とイジられたそうで、「それぐらいカモ平が浸透し始めているようでびっくりしています」と笑うと、「この作品は特に前半戦が重たいので、見ている方が肩の力を抜いて、『またカモ平が現れた』と思ってもらえたら僕の中では成功だと思いますし、そのカモ平がどう立派になっていくのか楽しみにしてもらいたいです」と語る。
蔦重が『一目千本』を制作した際、平蔵は花の井のために50両をつぎ込み、親の遺産を食いつぶしてしまうが、平蔵のおかげで本は無事出版され、賑わいを見せる吉原。花の井は「粋の極み」と評した。
平蔵はカモにされていることに気づいていない、隼人はそう解釈しているという。
「このあと蔦屋重三郎と会うシーンがあるのですが、本当にカラッとしていて、その件に関して一言も触れていない。もしかしたら全部わかっている可能性もありますが、1話からの作り方を考えると、きっと平蔵は思っていることがあったら言ってしまう。言わないということは、本当に粋を教えてもらったと思っているのかなと。計算高くないところが愛嬌につながって、嫌味のない感じのなるんじゃないかなと思います」
数々の名優が演じてきた平蔵役にプレッシャーもあったと明かす。
「やはり世の中的に池波正太郎先生の鬼平のイメージが強い。そして、中村吉右衛門さんや丹波哲郎さんなど、大御所のスター俳優たちが、しかも若くではなく、渋く演じている。皆さん40代とかからで、男の色気、男臭さがある平蔵というイメージがある中で、若い役者が演じるということはすごく怖かったですし、放送を見た先輩たちから『イメージと違う』『若いよね』『寝たばことか似合わなそうだよね』と言われました」
その上で、本作においては若い時代から成長していく平蔵を見せていきたいと意気込む隼人。「大河ドラマだからこそ、1年間かけてずっと放送していく中で成長させていける余白があるのではないかと。それを期待してくださっている方もきっといるでしょうし、自分自身もそこを意識して、平蔵という人物をどう立派に成長させていけるかというのが僕の中の課題です。プレッシャーや怖さはなくなり、あとは自分でやっちゃったものをどう回収して、どう育てるか」と語っていた。
1993年11月30日生まれ、東京都出身。二代目中村錦之助の長男。2002年2月歌舞伎座『寺子屋』の松王丸一子小太郎で初代中村隼人を名のり初舞台。古典歌舞伎だけでなく『スーパー歌舞伎II ワンピース』や新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』などにも出演。NHKのBS時代劇『大富豪同心』シリーズで主演を務めるなど、映像作品でも活躍している。
2月15日(土)[金曜深夜]
0:45~1:45 第1回「ありがた山の寒がらす」
1:45~2:30 第2回「吉原細見『嗚呼(ああ)御江戸』」
2:30~3:15 第3回「千客万来『一目千本』」
2月16日(日)[土曜深夜]
0:10~0:55 第4回「『雛(ひな)形若菜』の甘い罠(わな)」
0:55~1:40 第5回「蔦(つた)に唐丸因果の蔓(つる)」
1:40~2:25 第6回「鱗(うろこ)剥(は)がれた『節用集』」
※NHKプラスの配信でイッキ見も可能
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