カンロは2月7日、「2024年決算・2025年経営方針発表会」を開催。説明会にはカンロ 代表取締役社長の村田哲也氏、取締役常務執行役員 CFOの阿部一博氏が登壇した。
売上高 グミ・飴ともに伸長
カンロの2024年度の売上高実績は、前年比9.5%増の317億7800万円、営業利益は前年比26.4%増の42億8400万円となっている。売上高の増収要因としては、グミ(ピュレグミプレミアムなど)、飴(のど飴・じゅるるなど)ともに伸長したことが挙げられている。
対前年における飴の増収増益の要因に関しては、商品の絞り込みと人員増強などの生産体制整備により、のど飴需要の増加に対応したことや「金のミルク」などの価格改定も寄与したことが考えられるという。一方でスティック/コンパクト形態は苦戦を強いられる結果となった。
グミに関しては、9月末に松本工場グミ棟の拡張完了し生産性が向上したこと、「ピュレグミ」「カンデミーナグミ」が堅調に推移していることが要因として挙げられている。さらに「グミッツェル」の好調も継続しており、数量増加と価格改定で増収に貢献しているという。
なお、キャンディ市場の小売販売金額における2024年1~12月の実績は、飴(ハードキャンディ)が前年比11.1%増の1236億円、グミが前年比17.1%増の1138億円と好調。錠菓・清涼菓子、ソフト、キャラメルなどを含めて全カテゴリーで拡大する結果となった。
2025年度の業績予測
2025年度の業績予想(通期)としては、売上高は過去最高を更新、利益項目は微増もしくは前年並みとなる予想で、売上高は前年比5.7%増の336億円、営業利益は0.8%増の43億2000万円となる見込み。
売上高の増収要因としては、松本工場グミ棟拡張の通年稼働、人員増強などによる生産体制整備と飴・グミ主力ブランドの伸長が考えられるという。
営業利益については、包材等原材料価格の高止まり、賃上げ・人員増強などにより売上原価率が上昇したことや、物流コストの上昇などが減益要因となったが、増収による限界利益の増加と広告宣伝費の減少によりそれらの減益要因を吸収する形となった。
「Kanro Vision 2.0」を推進
続いて登壇した村田氏は、同社の課題について「国内シェア拡大に向けたグミ生産能力の増強とさらなる成長に向けた事業戦略の推進と人材戦略の遂行が課題となっている」と述べた上で、「価値創造」「ESG経営」「事業領域の拡大」「人財と組織」という具体的な課題を挙げた。
これらの課題を踏まえて、同社では「Kanro Vision 2.0」として、「Sweetな瞬間を創り続けることで人々の社会に笑顔を。」というビジョンを掲げている。
さらにこのビジョンの実現に向けた4つのバリューとして「Sweetな瞬間を創造する」「事業基盤を変革する」「未来へ紡ぐ」「創発的な組織の更なる進化」を設定することで、常に生活者に寄り添いニーズに応える柔軟性とゆるぎないビジョンに向かう企業を目指していきたい考えだという。
今回発表された中期経営計画2030では、Kanro Vision 2.0を元に、国内グミ事業を中心にさらなる成長を実現するとともに、持続成長のための事業領域拡大・ビジネス拡張を進める構え。
具体的には、Sweetな瞬間を創造するための「国内グミ事業でさらなる成長を実現」「商品開発強化と機能性深による高価値化で国内飴・グミ事業を拡充」、事業基盤を変革するために「グローバル事業の拡大」「マルチチャネル・D to C化の推進」の4つを進めていく。
特に、グミ事業の成長を支える戦略投資の実施として、朝日工場(長野県東筑摩郡朝日村)において、2027年7月を目途にグミラインを新設するという。これにより、2ラインから3ライン体制になり、生産能力は約5割増となる見込み。
今後は、Kanro Vision 2.0の実現に向けて「顧客の拡張・深化」を通じて事業基盤を変革するという。コア事業となる既存商品においては、ブランドの基軸として差別化戦略の強化を行っていく一方で、新たな商品や収益モデルとしてデジタル事業を推進することによって国内における周辺市場の取り込みを実施する。加えて、新規マーケットとして海外進出に向けてグローバル事業の推進にも注力していく。
2030年に向けた事業別の売上高目標としては、コア事業では売上高410億円を目指す。さらにデジタル事業では収益性と売上成長を見据えたビジネスモデルを確立することで、15億円の売り上げを目指すという。
併せて、事業を通じて社会課題の解決に寄与しながら、企業価値を向上させることで、人と社会の持続的な未来に貢献するべく、サステナビリティの取り組みにも力を入れる。
具体的には「糖の価値創造・社会貢献」を通じた健康福祉の増進、食の多様性への配慮、「事業を通じた環境負荷削減」を通じた温室効果ガス排出量の削減、「食の安全・安心」を通じた食品の安全衛生と責任あるマーケティングと表示、「人権の尊重・ダイバーシティの推進」を通じて人権の尊重、多様な人材の活躍を目指していく方針。