
三菱自動車工業(以下、三菱自動車)は、2025年2月2日に日産自動車大学校の京都校にクロスオーバーSUV「アウトランダーPHEV(プラグインハイブリッドEV)」を寄贈したと発表した。
近年、クルマを安心安全に運転するのに欠かせない自動車整備士不足が深刻化しており、その担い手の確保に苦慮しているという現状がある。
今回、三菱自動車が日産自動車大学校へ車両を寄贈したのは、整備士を目指す学生の育成や採用の活性化を目的とした共同施策の一環として行われたものだ。
じつは三菱自動車には、日産自動車大学校で取得した日産自動車の社内資格を、三菱自動車の社内資格としてみなし認定する施策があるという。
こうした施策を生かし、今後のさらなる連携強化に向けて、京都校にアウトランダーPHEVを寄贈することとなった。
“日産”と付く自動車整備の専門学校であることから、将来日産ディーラーの整備士を目指す学生も多い。当然、教材には日産車が用いられ、講義や実習が行われる。国家資格の取得とともに、日産自動車の社内資格を持って卒業、就職できるのも強みである。
それらの資格を三菱自動車の車両整備を行うディーラーや販売特約契約を結ぶ販売会社でも生かせる。三菱自動車は将来の就職先として選択してもらえ、日産自動車大学校の学生は就職先の選択肢が広がるといった両者にとってのメリットが期待できるものだ。
そして今回寄贈されたアウトランダーPHEVは、エンジンや駆動用バッテリー、モーター、ジェネレーター、インバーターなど、内燃機関と電動車が持つそれぞれの構造を併せ持つことから、最適な教材として活用できる。ふだん触れる機会のない他社の機構や技術を知れるし、実際に教材として使用されることでより多くの知識が得られ、整備士としてのスキルやモチベーショを高められる。今後は施策の展開と合わせて、他校にも寄贈を検討しているという。
日産自動車大学校は全国に5校(栃木校、横浜校、愛知校、京都校、愛媛校)あり、自動車整備の国家資格取得を目指す学科に加え、モータースポーツ系や車体系(板金・塗装)の過程を持つ自動車整備専門学校だ。
今回の寄贈にあたり、三菱自動車の五十嵐 京矢国内営業本部長は、
「日産自動車大学校様と当社は、整備士を目指す学生の育成や採用の活発化のため、今年度より共同施策を進めてまいりました。その中で、この度当社の最重要モデルである『アウトランダーPHEV』を寄贈することができ、大変意義深く感じています。学生の皆様に、普段触れることのない機構や特長を存分に味わっていただき、冒険心をくすぐるとともに学びを深めてくれる、『アウトランダーPHEV』がそんな教材になることを願っています。メーカーの垣根を越えた取り組みが、自動車業界の発展に寄与できるよう、これからも共に歩んでまいります。」
とコメントした。
〈文=ドライバーWeb編集部〉