第一三共ヘルスケアは2月2日、都内でがん治療による肌トラブルに悩む患者さんへのQOL向上への貢献を目指すセミナーを開催、がん治療経験者が参加し、肌のセルフケアやカバーメイクについて学んだ。

治療と仕事の両立に悩む「働く女性」をテーマにした肌ケアセミナーを初めて実施

本セミナーは乳がん・婦人科がんに向き合う方向けのSNS「ピアリング」上で募集が行われ、20名以上が参加。第一三共ヘルスケアが2022年から実施し、8回目となる。今回は初めて「働く女性」をテーマにした内容を実施した。

  • 第一三共ヘルスケア 広報部の上吉川奈央さん

冒頭、第一三共ヘルスケア広報部の上吉川さんは「日本では生涯のうち2人に1人ががんを経験すると言われているが、特に現役世代の30代~40代においては男性よりも女性の方が罹患率が高く、仕事と治療の両立が大きな課題となっている」、そして、抗がん剤治療に肌トラブルにお悩みの方が多いこと」、さらに「肌ケアを行った方の多くが、気持ちの面でもポジティブな変化を感じたということがわかってること」を解説。特に女性において治療と仕事の両立が課題になっているということを受け、働く女性をテーマとしたセミナーを初めて開催したと話した。

第一部では、「抗がん剤治療中から取り入れたいスキンケア」について、看護師の東島愛美さんが登壇。

  • IQVIAサービシーズ ジャパン 看護師の東島愛美さん

東島さんは大学病院で臨床看護師を経験後、現在は看護師や医療関係者向けのスキンケア勉強会など、 皮膚トラブルに関するスキンケアの情報提供活動を行っている。

最初に皮膚の構造から、乾燥肌の状態について説明を行い、「なぜ洗浄剤は弱酸性が良いのか」や肌を洗う際のポイント、バリア機能を考えた保湿剤の塗り方などを解説。

「クリームや外用薬などの軟膏を使用している場合、基剤の油分が肌に残っていると油が酸化して刺激の原因になったり、雑菌の繁殖の原因になったりする場合がある」という説明では動画で汚れの落ちにくさを検証。着色したワセリンを塗布した腕で行った実験では、泡と手だけで洗うよりもタオル(ミノン やさしく洗う弱酸性タオル)を使用した方が汚れが落ちていることがわかり、参加者からは驚きの声があがる場面も。

  • 参加者はメモを取りながら真剣に聞き入っていた

さらに、「放射線治療に伴う色素沈着は放射線照射によって皮膚の基底細胞が影響を受け、ターンオーバーがうまくできないことで生じる」ことや、「手術跡の種類別の対応法」などについて話し、「ケロイド状に跡が残ってしまった場合でも皮膚科で治療することができます。悩んでる方がいらっしゃいましたら、主治医の方に1度ご相談いただければ」と看護師ならではの視点で語りかけた。

  • 会場にはミノン製品がずらりと並び、手に取って試すことができた

静脈とリンパの流れを正常に促す「巡活マッサージ」を体験

第二部では、「肌ケア体験」を一般社団法人アピアランス・サポート東京 相談室室長の村橋紀有子さんが実施。

  • アピアランス・サポート東京 相談室室長の村橋紀有子さん

一般社団法人アピアランス・サポート東京では、行政や医療機関と連携し、治療による副作用で脱毛や爪の変色、肌のくすみなど様々な外的変化で悩む人の苦痛を軽減、治療生活の質を高めるための活動を行っている。

「治療に入る前は様々な皆さんもご不安があったと思います。例えば、脱毛したら会社の同様になんて話そうかとか、ジェルネイルはこのまま続けていいのかなとか、脱毛した眉毛を毎日描くのは大変とか……」と村橋さんが話すと参加者は大きくうなずき共感。

特に副作用への対策として日常的に肌ケアを取り入れることの大切さを説き、「ケアを怠ると肌に負担がかかりやすくなるのでこまめなケアをすることが肌を守るカギとなります」と呼びかけた。

具体的には「巡活マッサージ」と呼ばれる、静脈とリンパの流れを正常に促す方法を提唱。静脈とリンパの流れを促すことで「むくみの解消」「小顔づくり」「リフトアップ」などの健康的な表情につながると話した。

  • セルフケアの際に押さえたいポイント「耳珠」「耳垂」「マンディブラーノッチ」もわかりやすく解説

最初にハンドケア、続いてフェイスケアを参加者も一緒に実践。

  • ハンドケアをする参加者の様子

  • 村橋さんがモデルと共に解説、参加者も一緒に実践した

特に「肌は摩擦が厳禁」と繰り返し、「特にいまの時期は本当に乾燥しているので、ローション・ミルクはふんだんに手がもちっとするぐらいまで使ってくださいね。乾燥しているかも、と思ったら追いローションをしてください」と“適量”について補足する場面も。押さえるべきポイントや手の動かし方などを丁寧にレクチャーした。

  • 肌ケア体験ではミノンの「アミノモイスト モイストチャージローション」と「全身保湿ミルク」を使用してセルフケアを学んだ

ここまでで午前の部は終了。お昼休憩をはさみ、午後の部ではカバーメイク講座、座談会や質疑応答がおこなわれた。

治療中のQOL向上……今後は全国各地での実施を

セミナーの実施について、第一三共ヘルスケア 広報部の上吉川さんに話を聞いた。

  • 第一三共ヘルスケア 広報部の上吉川奈央さん

――第一三共ヘルスケアとしてがん患者さん向けの肌ケアセミナーを実施したのはどういった想いがあったのでしょうか。

「がん治療は近年、薬剤や治療がかなり進歩しています。ただ、患者さんにとっては抗がん剤や放射線治療の影響で皮膚のバリア機能が落ちるなどの肌トラブルが起こりやすいんです。患者さんも医療従事者の方も、どうしても治療を優先してしまう中で肌ケアは手薄になってしまいがちですし、情報が少ないといった悩みがあることに気付きました。

がん治療中の生活の中でも肌が痒かったり見た目が気になったりするとQOLも下がってしまいます。第一三共はがんに強みを持つ創薬型製薬企業ですので、第一三共ヘルスケアとしても肌ケアを通じて、がん患者様を含む皆様のセルフケアをサポートし、健康を守るお手伝いができればと考えています。

特に『ミノン』は敏感肌向けの方向けに開発されたもので、0歳から100歳まであらゆる敏感肌の方にお使いいただけます。もちろんがん患者さんにも使っていただけることから、『ミノン』を使用したセミナーを開催しております」(上吉川さん)

――セミナーに参加した方からはどんなお声がありますか?

「『セミナーを受けたことで、肌トラブルに対する対処法を知ることができた』というお声も多いですが、なにより『同じがん患者さんとお話することができて、気持ちが前向きになった』、『セミナーをきっかけに外に出る気持ちになることができた』というお声を多くいただいています。がんを告知されるとどうしても気持ちが塞ぎ込んでしまいますし、外見への変化が起きることもあり外出したくなくなってしまう方が多くいらっしゃいます。セミナーで外に出るきっかけができたことや、お気持ちに変化があったという声は嬉しいですね」(上吉川さん)

――今回8回目の開催でしたが、今後はどのように展開していきたいですか?

「これまでは基本的に大都市圏で行うことが多かったのですが、今後は幅広い地域で開催できればと思っております。多くの皆さんから『参加したい』という声をたくさんいただいていることもあり、そのお声に応えていきたいですね」(上吉川さん)