小学館クリエイティブは1月28日、あがり症のプロカウンセラーである佐藤健陽氏・加藤隆行氏による「緊張やわらぎメソッド『失敗したらどうしよう…』が『まぁなんとかなる!』に変わる80の方法」(1,694円)を発売した。
本書では、自己紹介やプレゼン、オフィスでの電話など、緊張がともなうさまざまなシーンに対して、その緊張をやわらげるための考え方と解決法(メソッド)を紹介している。
シーン1
プレゼン中に喉が詰まり、声が出なくなることがある。本書によると、このような状況では、喉の詰まりの改善に取り組むのではなく、求められている自分の役割や目的に集中することが大切だという。話すべき内容やプレゼンの流れに集中することで、自然と緊張が和らぐとされている。意識のベクトルを、自分の状態ではなく、この先の状況に向けると緊張は自然とゆるんでいくという。
また、本書では「やわらぎメソッド」として、会話のスローダウンを意識することが推奨されている。たとえば、「ゆっくり話す」と何度か唱え、自分に浸透させてから話す方法や、いつでも思い出せるようにパソコンなどに「ゆっくり話す」とメモを貼る方法が紹介されている。さらに、緊張で話が止まってしまったときには、「待たせてもいい」と考えることで、緊張をゆるめることができる。
シーン2
自己紹介の番になったとき、ホラー映画のようなショックが迫ってくる気がする……。このような場面で必要なのは、安全の確保とエネルギー消費。本来、交感神経が活性化されると、危険時に対応するためのエネルギーは骨格筋に供給される。緊張は止めると苦しくなり、発散すると解放されるため、ジタバタさせた方がラクになるという。
やわらぎメソッドでは「全身拡散法」が紹介されている。まず、心臓やみぞおち、お腹など、緊張を強く感じる部位を特定する。次に、その部位の緊張を意識して、全身へと広げていくイメージを持つ。同時にゆっくりと呼吸をしながら、その感覚を呼吸へ溶かしていくことで、緊張をゆるめることができる。
シーン3
静かなオフィスで電話を取るとき、自分の声を周囲に聞かれたくない……。そんなときは、他者の目を想像で遮断するという方法がある。「シャドーロール」という競走馬につける装具があるが、これは、馬の視界を制限して前方に意識を集中させるもの。その視界の制御として、メガホンの逆の形が視界を覆うイメージをし、目先に集中し、相手の話に耳を傾けることができる。
やわらぎメソッドでは「グラウンディング」が紹介されている。まず、お尻が椅子の座面についている感覚をじっくり感じる。次に、足の裏が床についている感覚を確かめ、大地とのつながりを感じる。そして、足の裏から大地へエネルギーを送り、大地からエネルギーを受け取るイメージを持つことで、緊張をやわらげることができる。
このほかにも本書では、「オンラインの打ち合わせで自分が話す時、みんなに見られると緊張する」「いきなり自分に会話のバトンが渡されると、頭が真っ白になる」「成果報告の原稿を一言一句暗記したのに、結局声が震えて失敗した」「上司に『ちょっと話がある』と言われてから、会議室に入るまでが怖い」「人と話すのを避けていたのに、昇進して部下と話さざるを得なくなった」など、たくさんの緊張シーンを紹介している。
緊張克服のための3タイプ
また各メソッドは、緊張克服に大切な「心」「体」「社」という3つのタイプで分けられている。症状だけに囚われるのではなく、多角的な視点から自分に合う方法を探してもらえるよう工夫が施されている。自分に当てはまるシーンからメソッドを探すだけでなく、冒頭にある3タイプのチェックリストを使って、チェックの多いメソッドを重点的に取り入れていくという使い方もおすすめだという。さらに、コラムページでは本編を裏付ける緊張に関する解説を掲載している。