ホンダ車の艶感を増す新クリア材って何だ!? その正体を探ってみたら

2025年2月6日に発売するフリードのハイブリッド仕様「e:HEV」の一部改良モデルには、新たなクリア素材を採用するという。

【画像】ホンダ車が順次採用していく新クリア材の採用車

これが一番のトピックで、あとは原材料価格や物流費などの高騰に伴う価格改定により車両価格が一律16万5000円アップしたのと、一部の安全装備・運転支援機能のメーカーオプションの設定グレード拡大くらい。

こう書くと、単なる値上げだけじゃ納得しないだろうから、(ほんの少しだけ)一部改良を施しました的な理由づけに感じるかも。

ただ、ニュースリリースによると、クリア材の変更は、「従来のアクリルメラミンクリア素材から、より機能が向上したクリア素材へ変更」とある。その結果「ボディーの艶感が増し、耐久性は1.5倍以上向上」するそうで、ホンダ車の魅力がいっそう高まりそうな改良内容でもある。

ここで気になるのが“新クリア材”の正体。従来のアクリルメラミンクリア素材は、アクリル樹脂とメラミン樹脂を混合したクリア塗料であることがわかるが、新クリア材は具体的な素材名はわからない。

そこでホンダ広報部に確認してみた。「これまでよりも機能性に優れたクリア材に変更しました」と、具体的な素材名は聞き出せなかった。どうやら他メーカーでも使われる素材のようで、ホンダの独自開発だったり特段優れているというものではないらしい。

とはいえ、素材がどうというよりも、“より機能が向上した”ことが、ユーザーにとってのメリットになるはず。

艶感が増すことについては単純に見た目に美しく、所有欲を満足させるだろうし、従来比で1.5倍以上の耐久性向上は、長く乗り続けたいという向きには有益なはず。車両の保有年数が長くなっている昨今の時勢に沿っているともいえる、うれしい改良である。

この新クリア材はe:HEVのみの採用となり、設定する全ボディカラーが対象となる。ちなみに現時点でガソリン車は従来の塗装で継続販売されるもよう。“艶感”が欲しい人はe:HEVモデル一択だ。

しかし、同じ車種でグレード体系も似通っているのに塗装だけ違うというのもどうなのか。これについては「フリードに限らず順次拡大展開していく(前出の広報氏)」とのことだ。

■じつは他車種で先に発表していた

その拡大展開の流れでいうと、じつは2025年1月10日のシビック タイプR 特別仕様車「レーシングブラックパッケージ」の発表時に、シビックRSについて、外板塗装に艶感と耐久性が向上したクリア材を採用したことを発表している(同時に価格を419万8700円から 439万8900円に改定)。そこで「国内で発売を予定している他モデルについても、新しいクリア材への変更を予定しています」とあり、それが今回のフリード e:HEVだったわけだ。

フリードとシビックは埼玉製作所で生産されている。同じ塗装ラインを流れるのであれば、どちらも新クリア材で塗られるというのは、なるほどと納得できる。でもシビックもRSのほかにハイブリッド(e:HEV)やガソリンモデルがラインアップしており、それらは従来のクリア材が塗られるというのは、塗装設備をそれぞれ用意するか、つど塗料を入れ替えなければならないなど効率的ではなく、なかなかに不可解である。

両車はくしくも(?)、一部改良と同時に価格改定を行っている。ということは今後も、新クリア材への置換(など一部改良)のタイミングで価格改定を行うのか、もしくは価格改定の動機づけとして新クリア材採用がうたわれるのか、はたまたこっそりと採用拡大が推し進められるのか。いずれにせよ今後の動向に注目だ。

〈文=ドライバーWeb編集部〉