女優の山本美月が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、19日に放送される『人力車に魅せられて4~22歳 涙の上京物語~』。大学を卒業し、2024年春に人力車の俥夫(しゃふ)を目指して歩み出した女性・みゆさん(22)の姿を見つめた作品だ。
持ち前の明るさと、学生時代に陸上で培った体力を売りに期待の新人として入社したものの、失敗の連続に涙の日々。みゆさんはもちろん、支える優しい家族の姿も映し出されていく。収録を終えた山本が「みゆさんと同じ目線というよりも、お母さんに注目して見ちゃいました」と自身の変化を明かした。
デビュー当時を思い出す「怒られながらガムシャラに」
2022年に放送された『人力車に魅せられて』シリーズ1と2でもナレーションを担当した山本。その際は、コロナ禍で職を失い、俥夫になると誓うも卒業検定に何度も落ち続けるアツシさん(当時31)に、自身が壁に直面した時を思い出していた。
今回の舞台も、東京・浅草で人力車の事業を展開する、赤いはんてんがトレードマークの「東京力車」。浅草一多く女性俥夫が活躍する「東京力車」で奮闘する若き女性の夢に迫った。
「ゆみちゃんは華もあるし、アイドルみたい。絶対ファンがつきますよね!」と、興奮気味に話し始めた山本。みゆさんは、浅草の商店街の人々にも積極的に話しかけていく、笑顔のまぶしい“愛され”タイプの女性だ。しかし、研修生の約7割が俥夫になれず脱落する厳しい世界で、次第に笑顔が失われ、涙の日々が多くなっていく。覚悟が足りなく映ってしまう言動に、先輩から叱責される。
「自分も、怒られながらガムシャラにやってました。思い出しましたね。たぶん、同じような時期を思い出して、共感する人も多いと思う。私も、デビューしたての頃など、監督から何度も何度も、それこそ一歩動いただけで『違う、違う』と言われて何が違うか分からない時期を経験しました」とうなずく山本。
一時、落ち込んでしまったみゆさんだが、山本は「私は『帰れ』と言われても『帰りません』と言えるタイプでした。そこで気持ちがすっきりするまで帰りたくない。何かあったら、その場で言っちゃいます。文化系で育ってきているのに何か体育会系の部分があるんですよ。結構怒られているほうだと思います。そのたびに毎回、闘って泣いてました」と、負けず嫌いな一面をのぞかせた。
愛ある指導に「すぐ的確な指摘ができるのってすごい」
みゆさんを思うがゆえに愛ある厳しい指導をする先輩俥夫側へも心が向いたそうで、「アツシさんのときもそうでしたが、社長も含めて、本当にみなさんの愛が素晴らしいですよね。今回登場する研修担当の雲雀(ひばり)さんも、至らない部分をちゃんとその場で指摘してくれる。私なんて、相手に対してモヤっとしたことがあっても、すぐ言葉にできないことがあります。でも『東京力車』のみなさんは、失敗した人に対してすぐ的確な指摘をしているので、すごいなと尊敬します」と、周囲の指導にもあらためて感服した様子。
女優デビューを果たしてから今年で15年目に入った山本自身、先輩として立つことが増えてきた。
「私の場合は明確な後輩がいるわけではないんですけど、どんどん現場で年下の人が増えてきていて、景色が変わってきているのは確かです。全員が先輩に見えていたのに、『大学に行きながら助監督やってます』という人がいたり。現場全体を俯瞰(ふかん)で見られるようにもなってきましたし。若い時には、何も見えていませんでしたね」と、最近感じている現場での変化を語った。