J.D. パワーは11月13日、「2024年日本自動車テクノロジーエクスペリエンス(TXI)調査」の結果を発表した。調査は2024年5月~6月、新車購入後2~13ヶ月経過した18歳以上のユーザー21,412名を対象にインターネットで行われた。
日本自動車テクノロジーエクスペリエンス調査とは
年に1回、新車購入後2~13ヶ月経過したユーザーを対象に、先進運転支援をはじめとする各種機能・装備について、購入した新車の装備有無や利用上の不具合経験、利用評価、今後の意向等を捉えた調査。機能・装備毎の不具合経験と利用評価を元にエグゼキューションインデックスを算出。さらに、すべての機能・装備別エグゼキューションインデックスと装備普及率を元に、各ブランドがどれだけ迅速、効果的に新しい機能・装備を市場導入しているかを示す総合イノベーションインデックスを算出している。今回で4回目となる。
ブランド別総合イノベーションランキングはレクサスが2年連続1位
先進機能・装備の充実度とユーザーの評価に基づいて算出するブランド別総合イノベーションランキングは、ラグジュアリーブランドでレクサス(612ポイント)が2年連続で1位となった。マスマーケットブランドでは4年連続でスバル(546ポイント)が1位となった。
各種先進機能・装備の装備率、登録車は引き続き上昇も、軽自動車では限定的
先進機能・装備の装備率推移をみると、登録車では、調査対象とした20機能・装備中、15の装備率が前年を上回り、1車両に搭載される機能や装備の数が引き続き上昇していることが確認された。装備率の伸びが最も顕著だったのは「自動運転支援」で、2023年の43%から7ポイント増の50%であった。
一方、軽自動車については、前年から上回った機能・装備は5つにとどまり、登録車に比べると装備率の上昇は限定的であった。一般的に、先進機能・装備の充実化は車両の魅力を高めるが、同時に車両価格の上昇をもたらす。登録車/軽自動車の先進機能・装備に対するメーカーの考え方の違いが表れる結果となった。
電動車関連機能・装備は利用評価が高く、かつ次回ニーズも高い
利用者が極端に少ない「ARディスプレイ」と「指紋認証」を除く18機能・装備について、利用評価(エグゼキューションインデックス、1,000点満点)と次回装備意向(「必ず欲しい」の回答割合)を元に分類を行った。
利用評価と次回装備意向が共に高かった上位3機能・装備は、「外部給電」(エグゼキューションインデックス:832ポイント、次回装備意向:48%)、「ワンペダルドライブ」(838ポイント、44%)、「充電スケジュール管理」(831ポイント、45%)であった。いずれも電気自動車やプラグインハイブリット車等の電動車特有機能であり、ユーザーがこれらの機能を高く評価し、必需機能と感じていることが分かる。
一部の機能・装備については廃止も含めた再考が望まれる
一方、利用評価、次回装備意向共に低かった3機能・装備は、「ジェスチャーコントロール」(692ポイント、15%)、「顔認証」(775ポイント、18%)、「リモートパーキングアシスト」(767ポイント、23%)であった。特にジェスチャーコントロールは18機能・装備の中で、利用評価、次回装備意向共に最も低かった。
これら3機能・装備はいずれも不具合指摘項目の中で「動作が不安定/不正確」の指摘が最も多い。すなわち、ユーザーが思う様に操作できない/機能しないとの評価である。ユーザーにとってストレスのない操作性や機能性の実現が望まれるが、ニーズ自体が低いことを考慮すれば、過剰装備や車両の高価格化を避けるための機能廃止という選択肢もありそうだ。
スマホのデジタルキーには、"キーがスマホでなければならない理由"が必要
「スマートフォンのデジタルキー」(801ポイント、25%)は相対的な利用評価は高いものの次回装備意向が低い。スマートフォンを車のキーとして使用する利点や必需性が十分に感じられていないことに加え、利用料金がかかることを利用中止や未利用の理由として挙げる傾向もみられる。デジタルキーの利点拡大や訴求の再考が望まれる。
ドライブレコーダーは「分かりにくさ/使いにくさ」の改善が望まれる
「ドライブレコーダー(自動車メーカー/ディーラーの純正品)」の装備率は72%で、次回装備意向も59%と高く、今や自動車オーナーにとっての必需装備といえる。しかしながら利用評価は773ポイントと、18機能中16番目の評価だった。低評価の要因として「分かりにくい/使いにくい」といった不具合指摘が多く、機能について不満や不具合を指摘した人の36%が「きちんと説明を受けないと使えない」と回答している。いざという時に直感的に操作、利用できるような改善が望まれる。