スシローを運営するFOOD & LIFE COMPANIES(フードアンドライフカンパニーズ)は、2024年9月期連結決算を発表。それによれば、売上利益ともに年間累計で過去最高を更新した。関係者は「国内スシロー事業における増収増益がグループ全体の業績を牽引する形となりました。2024年5月に公表した上方修正の数値についても全てクリアしています」と説明している。
■全セグメントで黒字化
2024年9月期業績は、売上収益が3,611億円(前年同期比19.7%増)、純利益が146億円(同81.9%増)だった。財務経理担当者は「グループ全体で1,155店舗と、前期比プラス32店舗になりました。国内スシロー事業、海外スシロー事業、京樽事業、その他(杉玉)事業の各セグメントにおいて、しっかりとした業績を確保できています」と説明する。
来期(25年9月期)の業績予想では、売上収益で4,080億円(同13.0%増)、純利益で150億円(同2.5%増)を見込む。出店数は100~110店舗としている。
代表取締役の水留浩一氏は「売上利益ともに過去最高の数字を残すことができました。全セグメントで黒字化も達成しています。会社として良い状態まで持ってくることができたのかな、と思います」と評価。そのうえで、10月1日からスタートした新体制に言及し「ここにおります、山本に社長CEOの役割をバトンタッチしました。引き続きのご支援をよろしくお願いします」と呼びかけた。
社長執行役員 CEOの山本雅啓氏は、中期経営計画の進捗状況について説明。海外事業については売上比率を40%まで引き上げる方針だが、順調に進捗していることを強調する。
「海外事業における売上比率は、現状で25%を超えたところです。先期は中国大陸の天津(5月)、北京(8月)にスシローを初出店しました。北米には杉玉モデルの店舗を4月にオープンしていますし、インドネシアにも11月にスシローを初出店しました」(山本氏)
国内事業においては引き続き、リモデル、店舗ポートフォリオの最適化に注力していく。たとえばスシローにおいては、オートウェイターの設置による店舗体験の進化・省人化を拡大する。このほか持続可能な事業運営の基盤構築として、養殖・フードテック活用による水産資源の好循環化、サプライチェーンマネジメント・AI活用によるさらなるフードロス削減なども進めている。山本氏は「既存の各提携先での開発に加えて、7月にはウニ養殖事業者のウニノミクスと資本業務提携しました」と説明する。
最後に、組織行動指針として「One Company」というキーワードを掲げた。国内事業と海外事業の連携を強化して一体経営を図り、現場と本社の各機能を連携してシームレスなものにし、本社の部門間にある壁も取り払って一丸となった事業推進を目指す。「お客様の体験価値をより良いものにするため、オープンな環境づくり、プロとしての誠実な判断、敬意を持ったコミュニケーションを大事にしていきます。私も率先し、役員たちも一致団結してOne Companyの企業風土を作っていきます」とした。
国内スシロー事業については、専務執行役員の新居耕平氏が詳細を説明。商品品質の向上、既存店の設備投資を強化していく、と語る。FY25のスローガンには「すしに真っすぐ! スシロー」を掲げた。
「すし屋としての誇り、意気込み、覚悟があります。今後も愚直に、真面目に、誠実に取り組んでいきたいという思いからスローガンを掲げました。今期も、ひとつひとつの素材、すしに、真っすぐに向き合って取り組んでいきます」(新居氏)
このあと、国内事業(京樽・みさき・杉玉)について専務執行役員の堀江陽氏が説明。重点的に取り組む課題として、京樽・みさきについては「収益性の改善」を、杉玉については「提供価値の差別化」を掲げた。「コロナ後に大きく伸長したのが杉玉ブランドです。前期(FY24)は大きく飛躍して87店舗まで拡大できました。今期もお客様に杉玉での食事を面白がってもらえるような展開を考えています」(堀江氏)。
また海外事業については、副社長執行役員 海外法人の加藤広慎氏が説明。中国大陸における店舗事業について「ALPS処理水放出や中国経済鈍化の影響により苦戦した期間もありましたが、足元では回復基調です」とし、今後については「環境変化を見極めながら、拠点ごとに戦略を立てて事業を推進していきます」と話した。