11月から「フリーランス新法」が始まると聞き、どういう内容なのか気になる方も多いでしょう。フリー株式会社がフリーランス新法に関する認知度などを調査したところ、内容を把握していない方も多いことが分かりました。この記事では制度に関する認知度の調査結果を紹介するとともに、制度の概要や知っておくべきポイントを解説します。

  • ※画像はイメージ

フリーランス新法の認知度は?

フリー株式会社は、フリーランス新法に関する認知度などについて、以下の内容で調査を行いました。

調査概要
・調査期間:2024年9月2日~9日
・調査方法:Webアンケート方式
・調査対象:法人経営者、勤務者172人(27.6%)・一人法人、一人社長84人(13.5%)・個人事業主368人(59.0%)
・回答者数:624名

個人事業主の制度の認知度は法人より低い

法人では6割以上が制度を認知していますが、個人事業主では5割未満と少なくなっています。認知している層でも、理解まで進んでいる方はまだ少ない状況です。

ただし、昨年11月時点の調査では「名称を聞いたことすらない」と回答した方が法人・個人事業主ともに4割前後いたため、それに比べれば認知は一定程度進んだといえます。

新法への対応が義務だと知っている人の割合は?

法人は6割以上が義務だと知っていますが、個人事業主では5割未満です。フリーランス新法をよくわかっていない個人事業主は、理解を進める必要があります。

フリーランス新法についておさらい

今回の法律の正式名称は「フリーランス・事業者間取引適正化等法」です。フリーランスの方が安心して働ける環境の構築を目的としています。

適正に取引をするため、法人・個人事業主ともに押さえておきたいポイントについて解説します。

書面などによる取引条件の明示が必須になる

フリーランスはこれまで、口約束などで仕事を請け負うこともあったと思います。しかし、フリーランス新法では口約束はNGです。

フリーランスに業務を委託する場合は、以下のような取引条件をメールなどで明示することが必要です。

  • 給付の内容
  • 報酬の額
  • 支払期日
  • 業務委託事業者・フリーランスの名称
  • 業務委託をした日
  • 給付を受領する日/役務の提供を受ける日
  • 給付を受領する場所または役務の提供を受ける場所
  • 検査完了日(検査を実施する場合)
  • 報酬の支払方法に関して必要な事項(現金以外の方法で報酬を支払う場合)

フリーランスの方は業務を受注する際に、上記の項目が明示されているかを確認し、曖昧な場合はクライアントに尋ねましょう。

報酬支払い期日の設定および期日内の支払い

報酬の支払期日は、データや物品などの納品日から数えて、60日以内のできるだけ短い期間内で定めます。納品日から60日を超える支払い期日の設定はできません。また、一度決めた期日までに必ず報酬を支払う必要があります。

7つのNG行為

フリーランスに対して1カ月以上の業務を委託する場合、以下7つの行為が禁止されます。 1.成果物や物品の受領拒否
2.あらかじめ定めた報酬の減額
3.返品
4.買いたたき
5.購入・利用の強制
6.不当な経済上の利益の提供要請
7.不当な給付内容の変更・やり直し

募集内容の的確な表示

広告などでフリーランスの募集情報を提供する場合、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはなりません。また、募集情報を正確で最新の内容に保つ必要があります。

育児・介護との両立

フリーランスに対して6カ月以上の業務を委託している場合、育児介護と業務を両立できるように配慮しなければなりません。オンラインでの業務対応を認めたり、就業時間を短縮したりといった取り組みが必要です。

ハラスメント対策

フリーランスがハラスメント被害を受けないために、相談対応のための体制整備などの必要な措置を取らなくてはなりません。具体的には社員を対象としたハラスメント研修の実施、相談窓口や担当者の設置などがあります。

中途解除などの事前通知

6カ月の業務を委託していて、その業務委託に関する契約を解除または更新しない場合、少なくとも30日前までにその旨を通知しなくてはなりません。電子メール、書面、FAXなどで伝える必要があります。