『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。オーナーのマークは今年の初め、元旦のドライブにモデルTを選択。そして知る人ぞ知るパブ・ミーティングへ…。
【画像】パブ・ミーティングに参加した、筆者のフォード・モデルT(写真3点)
元旦は、古い車を引っ張り出して走らせるのにうってつけの機会だった。友人から、ヘレフォードシャーの田舎でひっそりと開かれるパブ・ミーティングの情報を聞き、モデルTを走らせて、まだ走ったことのない裏道を探検することにした。
と、早速車を動かそうと思ったものの、バッテリーが思ったように動いてくれない。かろうじてエンジンを回すものの、始動させるには力が足りなかった。幸い、アルヴィス12/50のバッテリーが手元にあった。アルヴィスのバッテリーはフォードのものよりかなり大きかったが、なんとかピックアップベッドの下にあるフォードのバッテリー台に収めることができた。正直なところ、フォードのバッテリーは2.9リッターエンジンには少し小さいのだが、これまで交換することなく使っていた。今回はようやくその必要性を感じたというわけだ。
次にやるべきことは、隣村のガソリンスタンドで給油することだった。まだ時間も早く、道は閑散としていた。しかし、驚いたことに、偶然にもオースティン・セブンと、アルヴィス12/50サルーンの2台が村のパブの外に停まっていた。そこに私のフォードを加え、古い石橋を背景にして写真を撮ると、この風景はまるで1930年代の旅行者のスナップのようだった。
パブ・ミーティングは午後1時という、ちょうどいい時間に始まる予定だったが、私は正午過ぎにゆっくり向かうことにした。というのも、私はモデルTではできるだけ小道を走るのが好きで、ヘレフォードシャーにはそうした道が豊富にあるからだ。
ここ数日、雨が多く降っていたが、モデルTは20世紀初頭のアメリカの未舗装の泥道を走るために作られた車なので、英国の田舎道が水浸しでも何ら問題なく走れる。昨年、点火タイミングのずれで散々な目に遭ったが(UK版『Octane』244号と247号にその話が載っている)、今回はエンジンが再び安定して動いているのを確認したので、不安になることはなかった。
結局、「ニュー・イン」という名の古い木造パブに到着したのは私が最後だった。このパブは15~16世紀に建てられたもので、ユーモアたっぷりの名前だ。最初に会ったのは、『Octane』の購読者のエリオットで、私のモデルTをすぐに認識してくれた。彼は、100ポンドで購入したシトロエン2CVで5年間も妻と世界を旅したという非常に面白い人物だ。彼は地元の人なので、さらに興味深い人たちを紹介してくれた。
数時間、旧友との再会や新しい出会いを楽しんだ後、ついに雨が降り出し、人々は徐々に帰路につくことに。私は無事に、もちろん濡れながらではあるが家に帰り、モデルTを納屋にしまい、乾かすことにした。家に入って自分を乾かす前に、まずオイルパンをエンジンのサンプの下に置き、サンププラグを外して熱いオイルを一晩かけて抜いておいた。我ながら馬の世話をする騎手のようである。
翌日は、ギアボックスのスクリーンフィルターを掃除し、新しいオイルを入れるつもりだ。モデルTは良い車であり、それだけの手入れをしてあげる価値がある。
文:Mark Dixon