日本最古の公立植物園、今年100周年を迎えた京都府立植物園で、観覧温室を光と音とプロジェクションで演出する「LIGHT CYCLES KYOTO(ライトサイクル キョウト)」が開催されています。ふだんは閉館しているナイトタイムの温室で待っているのは、見慣れた昼間の姿とは全く異なる表情を見せる植物たち。まるでSF映画かおとぎ話の中に入り込んだかのごとき不思議な感覚に包まれながら、“夜に輝く植物”たちに出会ってきました。
京都駅から地下鉄で約16分、北山駅の出口を上がってすぐのところに京都府立植物園はあります。日本最古かつ最大級のこの植物園では、現在約1万2,000種類の植物を栽培。年間入場者数は86万人超と、国内の公立植物園ではトップクラスの規模と人気を誇っています。特に同園の顔ともいえる観覧温室は、池に浮かんだ金閣寺のイメージと北山連峰のシルエットを取り入れた、これぞ京都! な趣。広さは約4,694平方メートル、高さの最高14.8メートルと大スケールで、回遊式の460メートルに及ぶ順路を進むにつれて景観も変わり、一巡すると熱帯の様々な植生が観賞できます。
ライトアップとは別次元の没入感!
そんな日本最大級の観覧温室が、開園100周年を記念して、ただいまファンタジックなアート空間に大変貌中。プロジェクトを手がけたのはカナダに本社を構える、世界最高峰のマルチメディア・スタジオ、「Moment Factory(モーメント・ファクトリー)」です。“光と音を通じて植物たちの声を可視化し、次世代に向けて自然との深いつながりを育む”没入型エンターテインメント。……そう聞くと、なんだかワクワクしてきませんか?
観覧温室に足を踏み入れるとそこは、植物たちが自ら意思や感情を持ち、躍動しているかのような摩訶不思議な大空間。ここで栽培されている多種多様な植物たちは、光と音の演出によって昼間の姿とは全く異なる表情を見せ、どんどんその姿を変化させていきます。
熱帯地域のようなモワリと湿り気を帯びた空気が肌に触れ、森や花の香りが鼻をくすぐる。植物も人間も一様に光と音を浴びるうちに、人が知らなかった“植物の世界”に迷い込んだような、それどころか自分も植物の一部になってしまったような不思議な感覚。これは、ライトアップとも全く異なる、別次元の没入感!
熱帯雨林や砂漠など、4つのゾーンを旅するように巡る
熱帯の高木が栽培されたゾーンでは、降り注ぐ木洩れ陽のような光の筋の美しさにうっとり。パパイヤやマンゴーなどの熱帯果樹の栽培エリアでは、熱帯雨林の森の奥に入り込んでしまったような気分に。光の渦が投影されて深海の生物みたいになった、乾燥地の植物にも出会いました。無数の光を眺めながら音のリズムに身を委ねていると、こちらもだんだんとトランス状態になってきます。
植物たちは信号によるコミュニケーションを図っているそうで、そんな“植物たちの繰り広げる会話”も、浴びるように体感。今回、温室には約40分ほど滞在したのですが、太古と未来とファンタジーの世界をめまぐるしく行き来するかのような不思議な体験でした。
夜の京都府立植物園の観覧温室で、まったく新しい植物の魅力を体験できる没入型エンターテインメント「LIGHT CYCLES KYOTO」は、12月26日まで開催です。
■information
「LIGHT CYCLES KYOTO(ライトサイクル キョウト)」
会場:京都府立植物園
期間:12月26日まで(18:00~21:30)/月曜休
料金:大人2,500円/小中学生1,200円/未就学児は無料