JR西日本は、刃物を持った暴漢に対処するための防護用具「防刃傘」を開発したと発表した。11月以降、乗務員室への搭載を開始。今年度中に近畿圏を走る列車への配備を完了(予定)する。

  • 刃物を持った暴漢に対処するための防護用具「防刃傘」を開発した

「防刃傘」は防護専用の傘として開発され、刃物で切れにくい特殊な防刃素材の生地を使い、一般的な傘よりフレームの本数を増やすことで強度を高めた。柄を太く長くすることで強度を高めるとともに、暴漢と一定の距離を保てるようにしている。

先端部分は短くし、暴漢がつかみにくい形状に。さすまた等の道具と比べてコンパクトに収納でき、アクリルの盾より軽いため、誰でも扱いやすいという。「防刃傘」を広げ、刃物を振り回す犯人と対峙している間に、乗客を別の車両に避難させる使い方を想定しているとのこと。

  • 11月から乗務員室への搭載を開始し、今年度中に近畿圏を走る列車への配備を完了する予定

導入の背景には、2023年7月にJR関西空港線の車内で起きた、乗客と車掌が刃物で切り付けられた事件がある。以降、JR西日本は近畿圏の列車で防犯カメラの搭載を進めているほか、新幹線や特急「はるか」において、防護盾、耐刃手袋、耐刃ベストなど整備。他の在来線でも耐刃手袋などの整備を順次進めてきた。今回はさらなる対策として、乗務員の声を参考に「防刃傘」の試作と検証を重ね、実用化に至ったと説明している。