ヤマハ発動機は「ジャパンモビリティーショー2024」(JAPAN MOBILITY SHOW BIZWEEK 2024)に研究開発中のパーソナル低速モビリティ向けプラットフォームを使用したコンセプトモデル「DIAPASON(ディアパソン)C580」を出展した。どんな乗り物なのか、担当者に話を聞いてきた。
ディアパソンC580の特徴は?
ディアパソンC580は、畑や不整地などのさまざまな路面環境で俊敏な移動性とスマートな使い勝手を提供する2名乗車の電動モビリティ。軽量・コンパクトなボディにより優れた電費を実現しているという。2024年1月の「東京オートサロン」や同年3月の「第15回国際スマートグリッドEXPO春」などにも出展しており、そこで得た共創パートナーからのアイデアも一部反映しているそうだ。
今回の展示モデルでは、安全性向上のためサイドシルを取り付けつつ、乗降性を確保するためシートの取り付け位置を少し下げ、居住性をキープしている。一方で、軽トラックにも搭載できるサイズ感を維持するため、全長は変えていない。
左側の運転席には、音叉が3本交わるヤマハ発動機のエンブレム付きステアリングを装着。ダッシュセンターにはバッテリーの状態やスピードを表示するデジタルメーター、右席前には電源スイッチをはじめホーンや照明のボタンが並ぶ。
モーターを駆動するバッテリーは、カセットタイプの「Honda Mobile Power Pack e:」(ホンダ モバイルパワー パックイー)を活用する。
ディアパソンC580の開発を担当するヤマハ発動機 技術・研究本部 共創・新ビジネス開発部の大東淳シニアストラテジーリードによると、こうした電動モビリティには「ガソリンスタンドも減ってきたので、自宅で充電できるという強みがあります」とのことだった。
使い方のアイデアが続々!
こうした小型EVの四輪モデルは、ナンバー付きとはいえ普通自動車運転免許が不要なので、免許を返納した方や、逆に高校生でも使うことができるのもメリット。すでに500人ほどの農家の方と使い方を話し合ったそうで、単なる移動体としてだけでなく、リアのヒッチにトレーラーをつなげて荷物を運んだり、フロントに雪かき機を取り付けたり、牛舎の中で牛の餌を左右に配り分ける装置を取り付けたり(騒音が出ないEVなので、牛のストレスにならないというメリットがある)と、さまざまなアイデアが出てきているという。
「極端な話、500人いれば500通りの使い方が出てくる。なので、売ったら終わりの大量販売ではなく、コミュニティの中で使い方を考えてシェアしたり、中古を再び活用するリファービッシュをしたりという循環型のモデルにしたい」と大東さんは話していた。
ディアパソンC580については来年には試乗会を行い、2026年の頭ごろには発売したいとのこと。価格は軽トラックと同程度にしたいという。