マイナビが「2024年度(2025年卒)新卒採用・就職戦線総括」を発表しました。
この総括レポートは、2025年に卒業予定の学生を対象とする、企業の採用活動と学生の就職活動をまとめたものです。
人材不足、採用難という環境の中、企業の新卒採用意欲は引き続き高止まりで、インターンシップに対する取り組みについては、企業側にも学生側にも少し変化が起き始めているようです。
企業の新卒採用意欲は高止まり
2025年卒の採用予定数については、2024年卒と同じく「前年並み」が最多で74.8%(対前年1.3ポイント増)。「増やした」については18.5%(対前年2.5ポイント減)となりました。
また、2024年4月の新卒入社者数(実績)と比較してみても、「前年並み」が最多で63.1%(対前年1.7ポイント増)、「増やした」が27.1%(対前年1.6ポイント減)となっており、むやみに予定数を増やさず、25年卒の採用予定数(目標値)を設定している状況が伺えます。
企業のインターンシップ・仕事体験実施率が増加
多くの企業が引き続き採用に積極的になる中で、インターンシップを実施する企業が増加しています。企業のインターンシップ・仕事体験実施率は、コロナ禍で一時低下したものの、2025年卒については61.3%と初めて6割を超えました。
また、学生の参加率も85.7%と過去最高となっています。
インターンシップ・仕事体験は8~9月の実施割合が増加
インターンシップ・仕事体験を実施する時期については、少し変化があるようです。2025年卒に関しては、8月の実施が65.8%(対前年5.5ポイント増、9月の実施が60.4%(対前年6.6ポイント増)となり、夏期休暇期間の実施が増加しました。
一方で、1月の実施が51.8%(対前年0.3ポイント減)、2月の実施が56.3%(対前年4.3ポイント減)と、採用広報解禁前の実施は減少傾向です。
インターンシップ・仕事体験参加目的は「特定の企業」の理解へ
インターンシップ・仕事体験に参加する目的についても、変化の兆しが見られます。「特定の企業のことをよく知りたいため」が65.6%(対前年2.9ポイント増)となる一方、「視野を広げるため」が43.7%(対前年1.5ポイント減)、「自分が何をやりたいのかを見つけるため」が34.1%(対前年2.2ポイント減)となっています。
インターンシップや仕事体験に参加する意義として、「視野の拡大(展望化)」と「志望業界や企業の絞り込み(焦点化)」が指摘されますが、過去3年の数値変化を見てみると、「特定企業のことをよく知りたい」、つまり「焦点化」の傾向が強まっているようです。
企業選択のポイントは「安定性」重視の傾向が強まる
学生の企業選択のポイントについても、コロナ禍以降、変化してきているようです。ここ数年は「安定している会社」が増加し、2025年卒では49.9%(対前年1.1ポイント増)となりました。また、「給料の良い会社」も23.6%(対前年2.2ポイント)と、3年連続で上昇しています。
今回は、「2024年度(2025年卒)新卒採用・就職戦線総括」をもとに、2025年卒の採用環境の変化について見てきました。
企業の採用意欲が引き続き旺盛であることに変わりはありませんが、インターンシップを実施する企業と参加する学生が増加していること、定められた基準を満たすプログラムを実施するために、学生の夏期休暇期間に実施されることが増加傾向であることがわかりました。