「どんぐり食べたい」
「どんぐり買ったよ」

こう聞くとペットのリスや鳥の話? と思うかもしれません。しかし、実は……。北海道のローカルな食文化に関する話題として、「どんぐり食べたい」「どんぐり買ったよ」といった日常会話と、それに共感する声がSNSで話題を呼んでいます。

「どんぐり食べたい」
「どんぐり買ったよ」
って日常でいってるけど本意が通じる人は限られてますね(笑)
北海道あるある?
(@kotton105910)より引用

  • 提供:しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん

投稿したのは札幌在住のブロガー、しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん。「どんぐり」とは札幌を中心に店舗を展開するパン屋さんのことです。

この投稿には、「どんぐりでちくわお願い、とか……」「どんぐりあるから行こうっ!! って言うよ 美味しいパン多すぎる」「確かに言ってるwww」「本州じゃ通じない会話になりますね」「札幌圏あるある」など、札幌市民の中では普段よく言うフレーズだというコメントが寄せられています。

また「目玉焼きとベーコンのパンが食べたくなりました」「ちくわパン も大好きだけど半熟卵 乗ったパンも大好き!」「最近カリカリのブロッコリーにハマってます」と自分の推しパンを紹介する読者も。

さらには、「ちょっと前なら『北欧買いたい』、『北欧買ったよ』って日常会話もあったのかしら」「最近は『ペンギン食べたい』という物騒なのもありますねw」など、別のパン屋さんも紹介する読者までいます。

「HOKUO(製パン)」「ペンギンベーカリー」ともに北海道にあるパン屋さんです。

パン屋さんランキング

人気のどんぐりですが、札幌市民にはどのようなイメージを持っているのでしょう。しょーこさんに聞いてみました。

――どんぐりに対して、どのようなイメージがありますか。

しょーこさん: 親しみやすく入りやすい店舗ですね。また「ちくわパン」をはじめ、オリジナリティあるパンがあり楽しくなるパン屋さんです!

――北海道や札幌には幾つもパン屋さんがあります。しょーこさん個人の「パン屋さんランキング」を教えてください。

しょーこさん: 一口にパン屋さんといっても種類はさまざま。その中で、楽しさやおいしさ、値段等を総合して考えると次のような順位でしょうか。

どんぐり:札幌の主要施設の入りやすい場所にあり、バラエティ豊かおいしさは折り紙付き。

夜のしげぱん:夕方から朝まで開いているススキノのパンやさん。パンに人の名前がついており何パンかわからないのもあり楽しい。営業時間やパンの名称が他のお店と差別化されているのがユーモラスで好きです。

おかめや:ジャンルは違いますが食パンで1番好きなのはこちらのパンやさん。工場販売店で並び出来立てもっちりの食パンをいただくと「幸せ度MAX」!

シロクマベーカリー:北海道産小麦100%のクロワッサンや天然酵母の食パンがあり、北海道愛が感じられるパン屋さん。札幌中心部の水族館「AOAO Sapporo」内にも出店していますね。

HOKUO:1980年から1990年に大人気で道外にも進出しましたが2022年に全店閉店。クラウドファンディングで現在は1店舗あります。お手頃価格で昔と変わらない味なので時々行きますよ。

  • 提供:しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん

  • 提供:しょーこ@札幌クリップ(@kotton105910)さん

どんぐりの「オリジナルパン」

しょーこさん含めた絶大な人気を誇るどんぐりですが、お店のHPを見たところ、オリジナルパンにはかなり力を入れているようです。

どんぐりの広報担当さんにその理由を尋ねました。

――今までに約1万種のパンが誕生したと説明されています。新しいパンはどのような過程を経て生まれるのでしょうか。

広報担当さん: どんぐりでは、スタッフ誰でも自由に商品開発をして良い事になっています。社員、パートさん、アルバイトなど立場は関係ないんです! 新しいパンを思いついたら自分で材料を用意して作るか、製造のスタッフにお願いして形にしてもらいます。その後店長やリーダーの試食を経て、改良などをしてレシピに起こしてお店で販売という流れです。また「商品出し」と言って、テーマに沿って新商品を考えて出し合う店舗内企画があったりもします。

広報さんによると、利用者からアイデアを募集して形にする企画もあり、「こんなパン食べてみたいな:という想いを形にするためにできるだけ応えているそうです。新しいパンの開発にはめちゃめちゃ積極的ですね。

ではどのくらいのスピード感で開発するのでしょう。

――最短でどのくらいで商品化した実績がありますか。

広報担当さん: 最短は、当日に出しますよ! 綺麗に焼き上がらなかった商品の加工や、アイディアを思いついたからお客さまに判断してもらう意味ですぐに販売して確認しています。もちろん、たくさんの商品が生まれる中、手作り具材を使ったり、化学調味料を使わなかったり、お客さまのアレルギーなどにも注意し、気を配っています。おいしいだけでなく、お客さまにとって安心な物をお届けすることも大切です。

――最後に「どんぐり=オリジナルパン」という声をよく目にします。「オリジナルのパン」はどんぐりにとってどんな存在でしょうか。

広報担当さん: お客さまに楽しんでもらうための、方法の一つです。どんぐりはお客さまにわくわくしてもらう事をとても大切にし、その考えから新商品をたくさん出して、「いつ行っても違うパンがあってわくわくする」と思ってほしいので、新商品開発も積極的に行っているのです。

もはや食べ物というか食を通したエンターテインメントになってるような印象。

SNSで展開されたやりとりも、どんぐりという言葉にそれぞれの想いを寄せ、個々のユニークな視点から笑いを共有している気がします。

旅行で訪れる際に、どんぐりのオリジナルパンを食べ、そのローカルな愛着の一端を感じ取るのも面白いかもしれませんよ。