コロナ禍を経て在宅勤務やリモートワーク、はたまたバケーションしながらワークするワーケーションなど働き方が多様化し続けているものの、やっぱりオフィスに行って働きたいと思われる居心地のいい空間づくりは、人材確保や離職率軽減のためにも大きなテーマになっています。

でも何から始めたらいいのやらと悩む企業のために、コクヨ北海道販売では同社の社員が実際に働いているフロアをショールームのように公開。

毎年リニューアルを重ねながら働きやすいオフィス環境を提案しています。

そこで今年のリニューアルを終えたばかりというオフィスを見学し、同社が考える最先端のオフィスのあり方などを体験してきました。

  • 築50年を超えたビル3階に広がるオフィスフロア、毎年リニューアルを重ねている

アフターコロナでオフィス回帰?

同社が公開している「札幌ライブオフィス」が始まったのは2017年。以降、自分たち自身が直面していた課題を解決するために若手社員中心のプロジェクトメンバーによって毎年リニューアルし続けています。

経営管理部 部長 寺澤亨さんは「コロナ禍ではオフィス規模は縮小傾向でしたが、アフターコロナに転換してからはスタッフをやはりオフィスへ迎えようという企業が増えています」と話します。

オフィスのリニューアルを考えている企業から特に注目されるのが、フリーアドレス席とラウンジなどのコミュニケーションスペースの活用方法についてだそうです。

同社ではライブオフィス開始時から段階的にフリーアドレスを導入し、現在は全社員完全にフリーアドレス化を実現しています。

「社員はその日の仕事内容や気分で席を決めます。部署や世代を超えたやりとりがスムーズになったという感想をよく聞きますね。また外へ出かける営業スタッフが多い企業では、社員全員分の座席は不要です。当社でもベースワークエリアは社員数の半分程度の座席数にして、ラウンジやミーティングスペースを活用して全社員分の座席を確保しています」(寺澤さん)

フリーアドレスでの働き方は言葉だけではなかなか伝わらないため、経営陣を引き連れてライブオフィス見学する企業担当者が多いそうです。

通信環境が整っていない、部署によってはどうしても固定席が必要などの課題が持ち上がるケースが多々あるそうですが、新しい働き方への関心は確実に高まっていると話します。

  • 打ち合わせや執務など多目的に活用できるラウンジエリア、ソファ席はリラックスできるので社員に人気

  • 高さを自由に変えられるデスクやチェアは隣の人と目線が合わないし、歩いている人とコミュニケーションを取りやすい

  • 数名で集まれるプロジェクトエリア、圧迫感をなくすため壁ではなくカーテンで仕切っている

  • 仕事に集中したいときは遮音性にも優れたソロブースへ

食堂はランチだけじゃもったいない!

今年のライブオフィスで、同社がもっとも力を入れたのが食堂のフルリニューアルでした。

プロジェクトメンバーの一人でアカウント営業部の中村勇希さんは、こう説明します。

「12時から14時は社員のランチに利用されますが、それ以外の時間は社員同士をはじめパートナー企業やお客さまとの打ち合わせスペースとしても自由に活用できます。オフィスとは違う雰囲気の中、よりリラックスしながらのコミュニケーションの機会が増えるのではと期待しています」(中村さん)

人数に合わせてフレキシブルにレイアウトできるよう、動かせるテーブルや椅子を採用。ファミレス席と呼ばれるセミクローズドなボックス席やカウンター席など目的によって使い分けできるように工夫されていました。

  • 壁を取り払って床面積を広げた食堂

  • ファミレス席と呼んでいるボックス席

  • カフェのようなカウンタースペース

オフィス見学の学生が目を輝かせる!

会社説明会では「快適な執務空間を提案し、販売する会社」とアピールしながらも、リニューアル前は旧態依然としたオフィスだったこともあり、見学会を実施していなかったと明かす寺澤さん。働く人のコミュニケーションの様子をリアルに伝えるのは簡単ではなかったと振り返ります。

ところがリニューアルに着手し、同社への就職希望者のオフィス見学をスタートしたところ、目を輝かせる学生が多く、入社志望度を高める効果につながっているそうです。

さらに若手社員からは「お客さまに提案しているような働き方を自分たちが実践していることに魅力を感じる」「仕事内容に合わせて席を決められるフリーアドレスのメリットをあらためて実感」という声も寄せられています。

最先端のオフィスとは、結局は働く人への思いやりをどこまでカタチにできているのかということ。その点に気づくと、オフィスのさらなる進化がとても楽しみになった「札幌ライブオフィス」見学でした。