国内最大規模となるおもちゃの見本市イベント「東京おもちゃショー2024」(主催 : 一般社団法人日本玩具協会)が、8月29日から9月1日まで東京ビッグサイトで開催された。今年は国内外含め計192社による約3万5,000点のおもちゃを展示。8月29・30日はバイヤーズデー、8月31日と9月1日はパブリックデーに分かれ、ホビー業界関係者・一般来場者両方の注目を集めた。
当記事では、国内おもちゃメーカー大手のタカラトミーで65周年を迎えた「プラレール」など、鉄道ホビーを専門に見ていく。BANDAI SPIRITS「超合金」シリーズで監修中の製品も展示された。
今年で生誕65周年、プラレールからE8系など登場
まずは、今年で65周年を迎えた「プラレール」の展示商品を紹介。3月16日から山形新幹線で運行開始した新型車両E8系の入った「連結! E8系つばさ&トミカアーチ踏切セット」(価格6,380円。発売中)は、このセットだけですぐに遊べるオールインワンセットとなっており、限定カラーのS字レールも付属している。在来線区間に実在するアーチ踏切を含め、駅や情景パーツも同梱。遮断桿も可動する。「プラレール」は手ころがしでも遊べるが、電動の走行・ギミックには、それぞれに対応した乾電池が必要となる。
セットに入っているE8系は連結仕様となっており、実車同様、E5系と連結できる。異なる2編成が連結して走る姿は、実車もプラレールも見ていて楽しい。その際、牽引される側の動力車は電源を切り、単3形乾電池を抜いておくことをおすすめする。
会場展示の中には、9月28日発売予定の「レバーでアクション&サウンド! ビッグステーション」(価格8,800円)を中心に据えたレイアウトも見られた。この駅では、さまざまなレバーによる駅設備の操作と、90種類のサウンドでプラレール運転を楽しめる。地上線向けにY字ポイントレールも2本付属。高架駅にもレールを置けるほか、組み換えて長いホームにすることもできるので、遊び方次第で無限に夢が膨らむだろう。
2024年10月1日に東海道新幹線が開業60周年を迎えることから、「新幹線開業60周年記念 新幹線 N700S Wチャイム仕様」(価格5,500円)が9月14日に発売される予定。通常は3両編成のプラレールだが、このN700Sは4両編成。増結中間車両がサウンド車両となっており、走行音や東京~新大阪間のアナウンス、車内チャイムを流すことができる。車内チャイムは現行の「会いにいこう」だけでなく、2023年7月20日まで使用されていた「AMBITIOUS JAPAN!」も収録されている。
「新幹線開業60周年記念 0系新幹線ひかり1号&超特急ひかり号セット」(価格6,600円)も9月28日発売。開業当時に活躍していた0系と、当時の開業に合わせて発売された実車再現モデル「電動超特急ひかり号」のセットとなっている。「超特急ひかり号」は実車と異なる赤色塗装だが、これは当時のこどもたちに人気の色だったからという。
時期を同じくして、プラレールスケールになった東京駅丸の内駅舎(価格3,300円)も9月下旬に発売予定。東京駅で東海道新幹線のホームに近いのは八重洲口だが、丸の内駅舎の歴史ある雰囲気も欠かせない。駅舎の反対側はホームになっているので、3両編成のプラレールがぴったりホームに収まる。
手持ちのプラレールを活用して遊べるデジタルトイ「あそび・まなびをアクティブに! トミカ・プラレールパッド」(価格1万9,800円。発売中)は、本体を回す・傾ける、右手のレバーを操作するといったアクティブ要素や、こども向け学習アプリなど、全61種99アプリを内蔵。ミニゲームの成績に応じてアプリ内でカードがもらえるやり込み要素もある。
プラレール・トミカの活用方法としては、カメラ操作によって画面が連動する。動く情景を画面に流すことができ、その状態でカメラに車両を写すと、手もとのプラレール・トミカと画面が連動するしくみとなっており、サウンドを流すことも可能。カメラで撮影した車両を画面に登場させ、デジタルで楽しむこともできる。このように、レバー操作、回す・振るなど直感的な遊び方ができることと、手持ちのトミカ・プラレールを画面の中に登場させられることが評価され、「日本おもちゃ大賞 2024」デジタル部門で優秀賞を獲得した。
その他、4月から運行開始した273系「やくも」(価格2,860円。9月21日発売予定)、ひと通りの情景がそろった「プラレールベストセレクションセット」2024年版(価格6,380円。発売中)、「GOGOトーマス」シリーズなど、多数の商品が展示された。タカラトミー公式サイトにも詳細が掲載されているので、あわせてチェックしてほしい。
「プラレール リアルクラス」に寝台特急&新幹線リレー号が登場
続いて、「プラレール」をよりリアルにした「プラレール リアルクラス」の商品を紹介。従来のプラレールよりも造形・塗装に一層こだわり、飾る楽しみ・走らせる楽しみを両立させた同シリーズは、一部パーツを高さの違うものに交換可能で、内装や床下機器が表現され、クリアパーツも取り入れられている。
今年5月に開催された静岡ホビーショーの時点で、新製品2種類のティザーPVが公開されていたが、わかる人には正体がわかる程度で、商品名は発表されていなかった。どちらも7月13日に発売されたので、すでに知っている人も多いと思うが、その正体は寝台特急「あさかぜ」と185系「新幹線リレー号」。今回の東京おもちゃショーで会場に展示された。
最初に「プラレール リアルクラス ブルートレインあさかぜ」を見ていく。「あさかぜ」は1956(昭和31)年から2005(平成17)年まで東京~博多間で運行していた寝台特急。製品はEF66形50号機(1両)と24系25形100番代(3両)の4両編成となっている。
EF66形は、独特な前面形状、台座付きのナンバープレート、ライト横の手すりなど、細かな部分の立体感を再現。窓枠やワイパーにも銀色の色差しが施されている。交換可能な部品はパンタグラフ(ハイタイプ・ロータイプ)と飾り帯(ヘッドマークあり・なし)。パンタグラフは、高さに制限のある構造物に干渉する可能性があるため、その場合はロータイプに交換することが推奨される。飾り帯は、機関車の前後の片方がヘッドマークあり、もう片方がマークなしとなる。
客車は「オハネフ25-100」「オハネ25-100」と電源車「カニ24-100」の3両。「オハネフ25-100」「オハネ25-100」の内装は、通路部分と寝台部分を異なる部品で作り分けている。寝台部分に付属のはしごも取付け可能。担当者も、「あさかぜ」はとくにこだわって製作したとのことだった。
続いて「プラレール リアルクラス 185系特急電車(新幹線リレー号)」を見ていく。「クハ185」(2両)と「モハ185」「サロ185」(各1両)の4両編成となっており、1982(昭和57)年の東北新幹線大宮~盛岡間暫定開業時、上野~大宮間で運行していた「新幹線リレー号」などで活躍した185系を再現した。185系はこの「新幹線リレー号」塗装で3種類目にあたるが、内装が転換クロスシート時代を思わせる茶色となっている。
さらに今回、ユーザーが自身の好みに応じてカスタマイズできるように、ヘッドマークがシール貼付けになった。「新幹線リレー号」やイラスト付きの「あかぎ」「谷川」「はまかいじ」などのほか、白地に文字だけの「普通」「特急」「急行 伊豆」といったヘッドマークも収録している。発売済みの緑ストライプ・湘南ブロックの185系を持っていれば、このシールを貼って別の列車に見立てることもできるだろう。
会場では、東海道本線風のレイアウトを「あさかぜ」と185系(緑ストライプ)のプラレールが周回していた。どちらの実車も東海道本線を走行していただけに、「プラレール リアルクラス」だけでそれを再現できるようになっていたことは感慨深い。その他、4月に発売した「プラレール リアルクラス 201系通勤電車(JR西日本・オレンジ)」も、「あさかぜ」の隣に展示され、既存ラインナップもショーケース内に並べられていた。いずれも価格は7,700円。走行には単3形乾電池1本が必要となる。
余談だが、動力車のシャーシを「キミが運転! グリップマスコン」シリーズのIRシャーシに交換すると、「プラレール リアルクラス」もマスコン操作で運転できるようになる(201系のみ非対応)。実車のようなツーハンドルではないとはいえ、ひときわリアルに作られた「プラレール」をマスコン操作で運転してみるのも面白そうだ。
今度はビークルと合体「シンカリオン」、初代の「超合金魂」も
最後に「シンカリオン」関連トイを見ていく。現在、テレビ東京系列で放送中のアニメ『新幹線変形ロボ シンカリオン チェンジ・ザ・ワールド』は、「シンカリオン」シリーズの3作品目。これまでの作品とは異なり、ロボット形態に変形した新幹線は、さまざまなビークルと合体することで真価を発揮する。会場では、メインキャラクラー3人の特別ムービーも放映された。
「プラレール」の商品としては基本的に、「シンカリオン」単体(価格4,950円)、それに対応した「エルダビークル」単体(価格2,200円)と、2機のセット販売(価格6,930円)が多くなっている。会場でも、「シンカリオン」各機の新幹線形態、「エルダビークル」のビークル形態と、2機のビークル合体フォームがそれぞれ展示された。それらを組み換え、別のビークルと合体することもできる。「E5はやぶさ」「E6こまち」「E7かがやき」の3機が合体した「シンカリオンSRG」も展示された。
BANDAI SPIRITSの手がける「超合金魂」シリーズでは、1作目『新幹線変形ロボ シンカリオン』で活躍した「シンカリオン E5 はやぶさ」の開発も行われている。現在も版権元監修中であり、ダイキャストの重厚感も含めて監修が入っているとのことだった。
会場では、監修中の新幹線形態のみ展示されたが、最終的には、新幹線・ロボットの両形態ともに高い完成度を期待できるだろう。続報を待ちたい。