日本テレビ系大型特番『24時間テレビ47』が、8月31日18:30~9月1日20:54に放送される。「愛は地球を救うのか?」というテーマの刷新、メインパーソナリティー体制の見直し、“目的別募金”の新設といった大きな改革に注目が集まっているが、これまでの資産やノウハウを生かした企画も展開される。

コロナ禍の2020年や昨年に続き、5回目の総合プロデューサーを務める吉無田剛氏に話を聞いた――。

  • 『24時間テレビ』(C)日テレ

    『24時間テレビ』(C)日テレ

日テレに眠る欽ちゃんのアーカイブ映像を活用

今年のスペシャルドラマ『欽ちゃんのスミちゃん ~萩本欽一を愛した女性~』(8月31日21:00すぎ~)は、『24時間テレビ』第1回総合司会の萩本欽一と、亡き妻・澄子さんの愛を描くストーリー。「視聴率100%男」と言われていた萩本がチャリティー番組をやることに、当時は「偽善だ」と書き立てる記事もあったというが、そんな中、どのような思いで『24時間テレビ』の仕事を引き受けることになったのか。それを調べていくうちに、「全く知らない欽ちゃんがそこにいたんです」と発見があり、ドラマ化することになった。

これが成立した背景には、今作に「企画監修」として参加している日テレのディレクター・田中裕樹氏の存在が大きい。『全日本仮装大賞』の演出も手掛ける同氏は、長年にわたり萩本と交流。今も毎週のように萩本の元に通って信頼関係を築いており、今作の台本作りにおいては、萩本から今まで話したことのない貴重なエピソードを引き出して反映させているほか、セリフの言い回しもリアルに仕上げている。

ドラマパートに加え、萩本へのインタビューや、日本テレビに眠るアーカイブ映像も織り交ぜたドキュメンタリードラマのパッケージになっており、「『愛は地球を救うのか?』というテーマにおいて、誰かのことを思って支えるという愛がチャリティーの根源だとしたときに、欽ちゃんの愛って何だったんだろう?という部分を掘り起こしています」と見どころを語った。

  • 波瑠(左)と伊藤淳史=『欽ちゃんのスミちゃん ~萩本欽一を愛した女性~』より (C)日テレ

コロナでスタートした深夜帯事前収録を継続

コロナ禍でも放送を乗り切ってきた『24時間テレビ』。そこで蓄積したノウハウは積極的に活用しており、その一つが深夜枠だ。かつては『しゃべくり007』などをベースにした生放送のバラエティを展開してきたが、昨年に続き、事前収録した『上田と女が吠える夜』のスペシャルバージョンを放送。パリ五輪メダリストもゲストに多く出演し、放送当日に生放送の臨場感も出しながら収録したものを撮って出す形式で準備している。

一方でコロナ前に戻すのは、メイン会場内アリーナでの対面募金だ。

「かつては武道館、今は国技館のステージの雰囲気を感じながら、出演者の方に直接募金を手渡すことで、チャリティーへの思いを一つにしてもらうという空間は、『24時間テレビ』の素敵な財産でもあるので、5年ぶりに復活させたいと思います」

近年はキャッシュレス募金が進んでいるが、「全国の高齢者の方々や、小さなお子さんのニーズにも応えたいという象徴として会場内での募金があると思うので、全国のネット局や協賛社ブースでも実施します」という判断。ただ、台風10号の影響により、中京テレビ(名古屋)では、各募金会場での中継・イベントを中止することを決めた。

  • (C)日テレ

能登被災地関連企画を9月1日に放送する意味

今年は例年より1週遅い時期での放送になった。その理由は、直前のパリオリンピックに多くのスタッフのリソースを割いた直後よりも、1週間余裕をもたせて空けることで、制作体制が整えられること。また、年々夏の暑さが過酷になっていく中、1週間繰り下がることで気温が下がるデータがあることも挙げ、チャリティーランナーをはじめとする出演者やスタッフの負担を少しでも軽くする効果が期待できる。

その結果、47年の番組の歴史上初めて、放送日が9月にかかることに。今年は、「Song for 能登! 24時間テレビチャリティーライブ」(神奈川・ぴあアリーナMM)をはじめ、土屋太鳳や長嶋一茂の参加企画など、能登半島地震の被災地に関連したコーナーも多いことから、「防災の日にあたる9月1日に放送することも、意味のあるものなると考えています」と話している。

  • 土屋太鳳と輪島高校和太鼓部 (C)日テレ