8月23日、トマト加工品の国内最大手・カゴメが「2024年 秋冬新商品発表会」を開催した。

同社の食品企画部や飲料企画部の担当者らが登壇した本発表会。近年、食卓での高まっているという「野菜」スープ領域の新商品や、「野菜生活100 Smoothie ビタミンスムージー」のリニューアル内容などが紹介された。

■主菜や主食になるスープ商品に注力

食品・飲料それぞれから、2024年の上期の振り返りや生活者の動向が紹介された本発表会。直近の傾向などを踏まえてこの秋冬に上市される新商品、ブランド別のプロモーション施策の内容について発表された。

食品企画部のプレゼンでは、物価の上昇が続く中で普段は節約しつつ、たまのぜいたくを楽しむ"メリハリ消費"が継続していると説明。前年から夕食の皿数=おかずの品数が減少し、調理が簡単で短時間の食事で済むワンプレート化・主食化の流れが顕在化した結果、スープが副菜から主菜へ、主菜から主食へと変化しているとの見解が述べられた。

「スープはダイエット中に食べるメニューとして野菜サラダに次いで第2位という調査もあり、ダイエット目的での需要も拡大しています。とくに具だくさんスープのようなものを食事代わりにするダイエット食としても浸透しています」とカゴメ食品企画部 袴田祥人氏は語る。

  • カゴメ食品企画部・袴田祥人氏

ワンプレート化との親和性が高い洋食メニューや、トマトソース・トマトケチャップといった洋風調味料の食卓での出現頻度も前年対比で伸長。オムライスは前年より1割増となっているほか、同じくトマトケチャップを使うナポリタンやハンバーグといったメニューも好調に推移しているという。

「『カゴメトマトケチャップ』は今年2月、3年連続となる3回目の価格改定を実施させていただきましたが、’24年上期は金額ベースの前年比で111%と好調に推移しています。子育て世帯の流入により、数量ベースでも使用量の増加が見て取れる状況です」

野菜摂取手段の多様化に向けて、同社の食品事業ではスープを重要な領域と捉え、カゴメならではの「野菜」スープに挑戦する。「この秋冬から新商品『ごはんにかけるスープ』を発売します。既存のカゴメのスープ商品にはポタージュの通販商品があり、2019年以降、右肩上がりで拡大を続けていますが、こちらは一般のスーパーマーケットなどのチャネルで販売する家庭用スープです」

  • 今秋発売する「ごはんにかけるスープ」シリーズ

ラインナップは「海老と完熟トマトのビスク」「濃厚ボルシチ」の2種類。カップスープや粉末スープが圧倒的に大きな存在感を放つ市場で、伸び率が近年最も高いという電子レンジ対応のレトルトパウチ商品だ。

「コーンポタージュやミネストローネなど類似の味がNB商品では多いなか、本商品はビスク・ボルシチという外食を意識したメニューと、レトルトパウチという伸長性の高いゾーンを掛け合わせた提案となっています」

また、プラントベースのシリーズからは「ごろっとお豆のチリトマトスープ」「ごろっと根菜のスープカレー」を新発売する。しっかりと植物性タンパク質も摂ることができ、250gという内容量、野菜や豆の具材感で高い満足感を実現したという。

「さらに、お中元・お歳暮などのフォーマルギフトや日頃のカジュアルな贈答シーンに向けた『こだわり野菜を楽しむプレミアムポタージュ』も展開します。こちらは野菜のプロであるカゴメが野菜の品種と産地に徹底的にこだわった、4種類のポタージュスープのギフトセットです」

  • 4種類のポタージュスープのギフトセット「こだわり野菜を楽しむプレミアムポタージュ」

■トマトジュースは前年比146%の売上を達成

続いて飲料企画部の発表では、野菜飲料市場が5年ぶりに前年超えに反転している状況について解説された。その牽引役となっているのが2桁以上の伸びを見せたトマトジュースで、いずれのチャネル・容器容量でも前年を超え、全体の底上げに貢献しているようだ。

「『カゴメトマトジュース』『野菜一日これ一本』『野菜生活100』という主力の3ブランドいずれも前年を超えており、とくに『カゴメトマトジュース』は価格改定後の金額ベースで前年比146%(上期)。数量ベースでも102%と前年を超えています。『野菜生活100』シリーズでは緑黄色社会さんとのキャンペーンを春から展開。"朝を味方に。"というメッセージの共感度も高く、コンビニ様での朝の売上は10%増となりました」

  • カゴメ飲料企画部・西村晋介氏

「野菜生活100」の「グリーンサラダ」「レモンサラダ」は発売後、それぞれ青汁、レモン炭酸からスイッチするかたちで、既存の野菜飲料とは異なる客層やシーンを獲得できていることも特徴だという。

「『野菜生活100 Smoothie』から3月に発売した『ペリーざくろ~1日分の鉄分~』は女性を中心に支持され、『Smoothie』ブランド全体も前年比117%と大きく伸長しています。『にんじん"ヒーロー化"戦略』において発売した『にんじんジュース』も予算比130%と好調ですが、β-カロテンの美容や健康といった価値の浸透は下期以降の課題です」

トマトジュースが146%と大きく伸びた背景としては、健康・美容といった機能価値の浸透によるトライアルの増加に加え、甘くないピュアな素材の安心感や飲用感といった味覚価値がリピートにつながっていると分析。

「野菜一日これ一本」シリーズでは新商品「トリプルケア」と、秋冬限定で発売した「冬野菜Mix」で新規客を獲得し、多忙化を支えるリーズナブルな野菜摂取手段として支持されているという。

この秋冬には「野菜生活100 Smoothie」ブランドの既存商品「ビタミンスムージー」をリニューアル。1日分のビタミン価値に加え、β-カロテンの価値を訴求する商品のひとつとして強化する。

「パッケージの変更だけでなく、中身の部分では国産にんじんピューレーの活用によるおいしさも今回のリニューアルで実現しました。にんじんの繊維がリッチな独自原料を使用し、ビタミンスムージーのおいしさとβ-カロテン量をアップさせており、にんじん由来の栄養価値を向上させています」

今年発売20周年を迎えるブランド「野菜一日これ一本」からは、昨年に続き「冬野菜Mix」が季節限定品として再登場。「20周年大感謝菜」キャンペーンを展開し、冬場の緑黄色野菜不足の解消や秋冬の健康生活を応援する。

「トライアル・リピートともに好調なトマトジュースでは、ポッカサッポロフード&ビバレッジ社様との共同企画で、『キレートレモン』と『カゴメトマトジュース』を1 : 1で割る"キレトマ"という新たな飲み方を提案。お風呂上がりなど飲用シーンの拡大につなげていきます」