フジテレビの動画配信サービス・FODと、短尺ドラマ配信アプリ・BUMPの共同制作ドラマ『30歳目前、人生設計狂いました』に出演する石川恋。「女性の消費期限は30歳まで」という言葉にとらわれ、30歳の誕生日を目前に婚約者の浮気が発覚し、人生の岐路に立たされる主人公を演じている。
翻って、自身はそうした“節目”を意識しないどころか、人生設計を立てない主義なのだそう。その背景には、芸能活動を始めた頃に「自分は何もできない人間だ」と痛感した挫折があった――。
「まだまだ何でもできる」と可能性を感じる
「芸能界にいると、30歳をすぎても結婚していない方はもちろん、子育てしながら仕事をしてる方もたくさんいらっしゃいますし、周りを見るといろんな可能性を感じるので、自分はあまりそういう考えにはとらわれていないです」という石川。一方で、「こういうドラマが作られるということは、そこに対して“節目”と考えている方が多いのかなと思います」と理解する。
そもそも、人生設計は立てない主義だ。
「自分が結婚する可能性・一生しない可能性、子どもを産む可能性・産まない可能性、それにセクシャリティの指向が変わる可能性だってあるかもしれない。仕事だって、今は俳優をやっているけど、いつか海外にも住みたいと結構現実的に考えていたりするので、お芝居よりもっと好きなことがこれから現れるかもしれない。そうやっていろんな可能性を感じて、まだまだ何でもできると思っているので、私は人生を計画通りに決めていくほうが怖いんです」
「人生そんなもんなんだろうな」と楽観的に
かつては義務教育から高校、大学へと進学する中で、そのまま周囲と同じように就活するという人生設計を持っていたが、スカウトをきっかけに芸能活動を開始。「それまでやっていたアルバイトを辞めて、何とかお仕事で稼いだお金で家賃を払えてご飯が食べられるようになったという状況に、ありがたく恵まれていたのもあると思うのですが、その頃から、自分のできる範囲内でその時やりたい方向に進む選択をするようになったと思います」と振り返る。
しかし、いざ芸能の仕事を始めると、「何もうまくいかなくて、しんどくて、もがいている時期もありました」という。
「学生時代は、勉強も運動もわりとできるほうだったし、友人もたくさんいて、すごく充実した生活を送ってきて、周りから評価してもらえることも多かったんです。それで、芸能界に入っても同じようにうまく進んでいくのかなと思ったら、自分は何もできない人間だと思わされることがたくさんありました。お芝居の現場に入ってみたけど、出来上がった作品をもう見てられないと思ったし、モデルの現場に行っても全然動けなくて、自分のやりたいと思っていたことが何もできないということばかりでした」
そんな毎日が続く中で、「疲れてしまったんですよね。でも、そこから、“人生そんなもんなんだろうな”って楽観的になってきたと思います」と思考を転換。
「何かと比べられる職業ですが、誰かに嫉妬している自分が気持ち悪いし、自分は自分にできることを頑張るしかないじゃないですか。“こうなりたい”と思っても、希望通りになることのほうが圧倒的に少ないですし、20代のうちに“こうなっておきたい”という目標はもちろんありましたけど、かなえられなかったこともたくさんあります。その中で、間違えたこともありましたが、自分ができる精いっぱいのことはしてきたつもりなので、後悔はないんです」