ワニブックスは8月22日、『日本人3.0 新しい時代のルールと必須知識』(1,210円/小笠原泰著)を発売した。本書は、新しい時代のルールと必須知識をわかりやすく解説し、変化の激しい不確実な環境に適応する生き方を紹介している。
著者は、日本企業と個人のグローバル適応の第一人者である小笠原泰氏。2009年より明治大学国際日本学部教授となり、NHK「白熱教室JAPAN」で放映された大学の講義が話題を呼んだ。
今回発売された『日本人3.0 新しい時代のルールと必須知識』は、政治・国家、社会システム、企業、生き方・考え方など、これからの時代に生き残るために必要な知識を伝えている。
本稿では同書の中から、"『最新』の日本人になれる人の特徴"を抜粋して、紹介。「『最新』の日本人になれる人、なれない人」を分かりやすく対比している。果たしてあなたはどちらにあてはまるだろう。
◼「最新」の日本人になれる人とは
少し難しい話をします。
加速化するデジタル・テクノロジー革新とグローバル化の中で、「本心では多様化に反対で、変わりたくない、変えてはいけないと変化に抗あらがう国家・政府」と「生き残るためには急速に変わらざるをえないことを理解し、価値を創出するための多様化組織への痛みを伴う変身を始める合理的な企業」の間に、「リスク・テイクの判断を迫られ、変わらなければいけないと思いつつ、頭と体が動かない・動かしたくない個人」が存在している。それが、いまの日本の現実です。
この構図の中でパワー(実質的支配力と権威)は、国家から企業と個人にシフトしています。このパワーシフトの中で、「日本人3.0」という議論を展開していきたいと思います。最初から結論じみていますが、「『最新』の日本人になれる人、なれない人」について見ていきましょう。
わかりやすいように対比形式で記載します。
●「国を積極的に必要としない」と「国を積極的に必要とする」の差
●国家に対し「参加意識か」と「帰属意識か」の差
●「判断して行動する」と「論じるだけ」の差
●「リテラシー(知的武装)を高める」と「教養(蘊うん蓄ちくを語る)にこだわる」の差
●「地雷原を走破する」と「地雷原を避ける」の差
●「変化を機会と見る」と「変化を危険と見る」の差
●「危機こそ自己変革の好機と思う」と「危機は怖いので見たくない」の差
●「安全性が大事か」と「安心感が大事か」の差
●「見たことのない海外に行きたい」と「知らない海外には行きたくない」の差
●「競争は歓迎」と「競争は避けたい」の差
●「願いより夢が大事」と「夢より願いが大事」の差
●「トップを伸ばすのが先」と「底辺を引き上げるのが先」の差
●社会と政治の慣性に「流されない意志を持っている」と「気づかず流されている」の差
●「あくまで個人で見るか」と「平均とカテゴリーで見るか」の差
●「大きいこととただ新しいこと」を「重要視しないか」と「重要視するか」の差
●「一億総何々」という表現に対して「違和感あり(おかしい)」と「違和感なし(当然だ)」の差
●「勘・経験・度胸」を「過去の遺物と思う」と「まだ意味があると思う」の差
●ラグビーワールドカップ日本代表のメンバーを見て、「日本代表として違和感がないと思う」 と「日本代表とは、なんか違うと思う」の差
●事なかれ主義に対して、「違和感あり(なんか変だ)」と「違和感なし(そりゃそうだ)」の差
●「自分の意見を言う、間違いは間違いと言う、衝突も辞さない」と「意見しない、刃向かわない、ぶつからない」の差
●「生き残るのは個人と考える」と「生き残るのは国と考える」の差
●自分は「マイノリティで問題がない(多様化の行きつくところを知っている)」と「マジョリティであることを必要とする(多様化は嫌だ)」の差
●日本語を母国語にするかぎり日本人は日本人であるが、「日本語の世界の限界を理解しようとする」と「理解(自覚)しようとしない」の差
●「常識は疑ってかかる」と「常識にはまず従う」の差
●「現実を直視して向き合う」と「根拠のない楽観主義で現実を見ない」の差
●「格律(カントの定義では各人の採用する主観的な行為の規律)を持つ」と「道徳律が普遍的であると信じて、それに従う」の差
●ストレスを感じた時に、「ストレスの原因を解決しようとするか」と「ストレスを忘れようとするか」の差
いうまでもありませんが、以上に挙げた2つの分類のうちの前者が、「『最新』の日本人になれる人」であり、後者が「『最新』の日本人になれない人」です。要するに最新の日本人になれるか、なれないかは、過去の切断をできるか、できないかの違いです。
つまり、「『最新』の日本人になれる人」とは、過去との断絶を気にしないということです。少し難しく表現すると、いままで学んだことを意識的に否定する「脱学習」ができる人といえます。
「これじゃ、日本人じゃないだろう」という読者の方もいるかと思いますが、私の日本人の定義は「母国語が日本語であること」なので、日本語を母国語とするかぎり、「これでも、日本人」です。
簡単に言うと、社会が課す制限、いわゆる"リミッター"を外して、自分のOSのバージョンアップを志向する人と、しない人の違いでしょう。この「『最新』の日本人になれる人、なれない人」というのは典型的な分類であり、実際にはここまで典型的な人はかなり少ないはずです。
ここで重要になるのは、読者の皆さんが、2つのうちのどちらの分類にあるかということではなく、どちらの分類を見ているかということです。
書籍『日本人3.0 新しい時代のルールと必須知識』(1,210円/ワニブックスPLUS新書)|
同書では、本稿で紹介した以外にも、「日本人3.0」になるために今からできることや、「メンタル」「社会システム」などの必須知識を解説。気になる方はチェックしてみてはいかがだろうか。