出産や子育てには多くのお金がかかりますが、国や自治体の支援制度を利用することで、経済的な負担を軽減することができます。ここでは、あまり一般的でない、子育てに関する助成金制度をご紹介します。

これらの制度は申請することでお金がもらえるため、まずは「こんな制度がある」というのを知ることが第一です。ここでは制度の紹介に加えて、簡単に要件や申請方法も記載しているので、利用できそうな制度を見つけてみてください。

  • 意外と知られていない!? 申請しないともらえないお金【子育て編】

    【子育て編】申請しないともらえないお金9選

子育てに関する申請しないともらえないお金

出産や子育てに関する経済的な支援は、国がさまざまな制度を設けていますが、ここで紹介する助成金制度は自治体が実施するものが多いため、お住まいの地域が実施しているかどうか、自治体の窓口やWebサイトでご確認ください。また、支援の詳細な要件もあわせてご確認ください。

  • 【画像】一目でわかる! 申請しないともらえないお金9選

    一目でわかる! 申請しないともらえないお金~子育て編~

1. 子どもの紙おむつを購入する

子育て支援として、紙おむつやおしりふきなどの子育て用品の購入補助を行っている自治体があります。神奈川県中井町や福島県猪苗代町では、毎月3,000円のオムツ代を支給。また、神奈川県厚木市では紙おむつを無料で毎月自宅まで配送する「紙おむつ等宅配事業」を実施しています。

<神奈川県中井町の場合>
【制度の名称】子育て応援紙おむつ補助事業
【補助金額】最大5万4,000円(3,000円×18回)
【対象者】町内に住民登録している妊娠34週以降の妊婦、生後1か月から1歳6か月未満の子どもを養育している世帯
【申請方法】申請書を自治体に提出

2. チャイルドシートを購入する

道路交通法によって6歳未満の乳幼児にはチャイルドシートを使用することが義務化されています。チャイルドシートは1万円程度のものから、高いものだと7万円程度します。いくつかの自治体ではチャイルドシートの購入費の助成を行っており、1万円を限度に助成しているところが多い印象です。

<埼玉県越生町の場合>
【制度の名称】幼児用補助装置(チャイルドシート)購入費助成
【補助金額】購入価格の2分の1を補助。1台につき1万円が上限
【要件】6歳未満の幼児をもつ保護者が安全基準に適合するチャイルドシートを購入
【申請方法】必要書類(領収書・品質保証書・運転免許証・自動車車検証・印鑑・振込口座)をそろえて申請

3. ベビーカーを購入する

子育て用品として欠かせないのがベビーカーですが、高級ベビーカーも登場し、中には10万円以上するベビーカーもあります。費用がかさむベビーカーに補助金が出ると大変助かるのではないでしょうか。東京都では、「出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファースト~」として、ベビーカーに限らず、10万円相当の育児用品などを購入できる「子育て応援ギフト」を実施しています。

ここでは愛知県西宇和郡伊方町の例を取り上げます。

<愛媛県西宇和郡伊方町の場合>
【制度の名称】ベビーカー購入助成事業
【補助金額】ベビーカー購入費用の半額を助成(町内の取扱店舗で購入:最大1万5,000円、町内の取扱店舗以外で購入:最大1万円)
【対象者】伊方町在住の令和2年10月1日以降に出生した者の保護者
【対象製品】製品の安全性を認証するSG基準または欧州統一安全規格に適合しているベビーカー
【申請期限】対象乳幼児の出生の日から2歳の誕生日の前日まで
【申請方法】申請窓口に申請書を提出

4. 電動自転車を購入する

子育て支援を目的に、電動アシスト自転車の購入に補助金を出す自治体は多数あります。その多くは、幼児2人同乗用自転車の購入を対象としています。助成を受けるには、その自治体在住であること、その自治体の対象店舗で購入すること、安全基準を満たしていることなどが条件となっています。

また、年度ごとに予算が設けられているため、申請が遅くなると補助金事業が終了していることがあるため、早めに申請しましょう。

<東京都葛飾区の場合>
【制度の名称】子ども2人乗せ自転車等購入費助成事業
【補助金額】購入金額の2分の1を助成(上限額:5万円)
【対象者】葛飾区に在住し、小学生未満の子どもを1人以上養育している者
【要件】助成対象製品を葛飾区内の対象となる自転車販売店で購入すること
【申請方法】令和7年3月31日までに、オンラインまたは郵送で申請する

5. ランドセルを購入する

ランドセルの価格は年々上昇しており、家計への負担が重くなっています。文部科学省は「就学援助制度」を設けて、低所得世帯への支援を行っています。「就学援助制度」はランドセルを含む学用品だけでなく、通学費、修学旅行費なども支援の対象となっています。

また、ランドセルの現物支給を行っている自治体もあります。茨城県では15の自治体でランドセルの無償配布が実施されています。

<文部科学省の制度>
【制度の名称】就学援助制度
【補助金額】各区市町村によって異なる
【対象者】児童の保護者で、世帯の所得が各市区町村が定める基準額以下の人
【補助対象品目】学用品費、体育実技用具費、新入学児童生徒学用品費等、通学費、修学旅行費、学校給食費、クラブ活動費、PTA会費など
【申請方法】各区市町村によって異なる
※詳細は各区市町村教育委員会にお問合せください。

6. 子どもの眼鏡を購入する

8歳までの子どもに、治療目的で眼鏡を購入した場合、助成を受けられます。治療目的とは、弱視、斜視、先天白内障術後の屈折矯正などによって眼鏡およびコンタクトを作った場合です。視力矯正用の眼鏡は対象にはなりません。加入している健康保険と自治体から助成を受けられます。

【制度の名称】小児弱視治療用眼鏡等の療養費支給
【対象者】健康保険に加入している9歳未満の被扶養者
【助成金額】健康保険7割(未就学児は8割)+自治体の「子ども医療費助成金」(※)
支給上限40,492円
※自治体により異なります
【補助対象】弱視、斜視、先天白内障術後の治療用として用いる眼鏡およびコンタクトレンズ
【申請方法】眼科医発行の作成指示書の写しおよび検査結果、治療用眼鏡の領収書、療養費支給申請書を保険組合に提出

7. 子どもの歯を矯正する

歯の矯正は、原則保険適用されません。ただし、矯正が審美目的ではなく、噛み合わせの異常など、治療と見なされると保険が適用されます。保険適用がされる場合は、さらに保険治療の自己負担分を助成する「こども医療費助成制度」が利用できます。こども医療費助成制度は対象年齢や所得の要件などが自治体ごとに異なります。

保険適用とならない場合でも、子どもの歯の矯正は、今後の成長を健全にする目的が含まれているため、医療費控除の対象となる可能性が高くなります。歯列矯正は高額となる傾向があるため、還付金が受け取れる可能性があるため気になった方は確認してみましょう。

【制度の名称】医療費控除
【控除額】(医療費-保険金等で補填される金額)-10万円 ※上限200万円
【対象となる医療費】医療機関で支払った治療費や薬代など ※国税庁のサイトで要確認
【対象範囲】納税者本人とその家族のために支払った医療費
【申請方法】確定申告をする

8. 子どもを塾に通わせる

子どもを塾に通わせたい、習い事をさせたいけれど、家計の負担が気になる保護者は多いと思います。大阪市では、小学5年生~中学3年生を対象に、塾や習い事の費用を月1万円上限に助成しています。

東京都では学習塾の受講料などを上限20万円まで無利子で貸付する「東京都受験生チャレンジ支援貸付事業」を実施。一定の条件を満たすと返済免除となり、利用した人の99%が返済を免除されているそうです。

<大阪府大阪市の場合>
【制度の名称】大阪市習い事・塾代助成事業
【助成金額】月額1万円を上限に助成
【対象者】大阪市内に居住している小学5年生~中学3年生を養育している人。2024年9月まで所得制限あり。10月からは所得制限撤廃予定
【対象事業者】この事業に登録された学習、文化、スポーツに関する指導を行う事業者
【申請方法】対象者に大阪市から申請の案内が届く。申請書を使って申し込み

9. 子育て世帯がリフォームする

子育て世帯や若者夫婦世帯が、高い省エネ性能を有する新築住宅を購入した場合や一定のリフォームを行った場合に、補助金が支給されます。たとえば、リフォーム工事によって、長期優良住宅の認定を受けた場合は最大45万円の補助が受けられます。

<リフォームの場合>
【制度の名称】子育てエコホーム支援事業
【要件】エコホーム支援事業者と工事請負契約等を締結し、リフォーム工事をする
※リフォームの場合は、一般世帯も補助を受けられます
【補助金額】リフォーム工事内容に応じて上限30万円、45万円、60万円(子育て世帯・若者夫婦世帯)
※補助額の合計が5万円未満の工事は補助の対象外
【対象となるリフォーム】(1)開口部の断熱改修、(2)外壁、屋根・天井または床の断熱改修、(3)エコ住宅設備の設置など
【申請方法】申請は工事施工業者が行うため、「住宅省エネ2024キャンペーン」サイトから、補助金利用を相談できる事業者を検索

まとめ

国や自治体は少子化対策として、積極的に子育て支援を行っています。そのため、ここで紹介したもの以外に、自治体独自のユニークな支援を実施している場合があります。お住まいの自治体ホームページを閲覧したり、子育てセンターの窓口で相談したりすると、新たな支援制度を見つけることができるかもしれません。

補助金を受けるには申請が必要なので、そこが面倒に感じるかもしれませんが、家計の負担軽減のために利用できるものは積極的に利用してみましょう。