女優の生田絵梨花が地上波連続ドラマ初主演を飾るABCテレビ・テレビ朝日系ドラマ『素晴らしき哉、先生!』が、18日(毎週日曜22:00~)にスタートする。今作は、不本意にも担任を持たされ、辞め時を逸してしまった2年目の高校教師・笹岡りおが、なんだかんだ生徒のために奮闘を続ける中で人間として変ぼうを遂げていく成長物語。

りおは、泣いたり笑ったりと感情を素直に出す人間らしさ全開のキャラクター。「殻を破りたいと思っていました」と打ち明ける生田は、自身の新境地となりそうなこの主人公の役作りにどう挑んでいるのか。苦手だという感情表現について、殻を破ってくれた仕事についても話を聞いた。

  • 生田絵梨花

    女優の生田絵梨花 撮影:泉山美代子

“荒ぶった一面”見せるときも

――台本を読んだときの印象を教えてください。

まずは、「出番が多い!」とビックリしました(笑)。作品全体としても台詞量の多い会話劇なのですが、映像作品でこんなにたくさんの台詞に挑戦するのは初めてです。覚えられるかなと心配だったのですが、頭にスッと入ってくる台詞ばかりで。先生としてだけではなく、一人の人間としてのりおの姿に、「こういうことあるな」、「私もこう思っていたけど口にできてなかったな」と共感できて、どんどんページを読み進めてしまう台本でした。

脚本・演出の宅間(孝行)さんは俳優でもあるので、実演しながら「こういう感じでどう?」と役作りのヒントをくれることも。キャラクターに合わせて話し方のクセをつけたりと、いろいろな表現パターンを提案してくださるので、勉強になります。

  • 生田絵梨花

――生田さんから見て、りおはどんなキャラクターですか。

プラスにもマイナスにも、感情がぐわんぐわんと揺れ動く正直な女性だと感じました。教師という職業柄、感情を抑えることもあれば、爆発する瞬間もあって。教師の方に限らず、どんな方にも共感していただけるキャラクターだと思います。

――似ていると感じるところは。

私は、人前ではシャンとしてしまう性分なのですが、気を許している相手の前だと荒ぶった一面を見せることもあって(笑)。その両方を、りおの教師としてのスタンスと、一人の人間としての生き方の表現に活かせたらと考えています。

――「シャンとしてしまう」のは、無意識なのでしょうか。

私のいろいろな姿を知っている友達からは、「テレビつけたら、いくちゃんが人間のふりしてたよ」と言われることがあります(笑)。全く完璧ではないのに、できるように装ってしまったり、つくろってしまったり。理想的な自分であろうとしてしまうクセがあると自覚しています。

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殻を打ち破りたいと思っていた

――生田さんといえば、その、シャンとしているパブリックイメージがあると思うので、殻を破る役どころになりそうですよね。

自分でも、殻を打ち破りたいと思っていました。本音をなかなか言えなかったり、感情を表に出せなかったりすることはすごく多いですし、自分のイメージのギャップに戸惑ったり悩んだりすることがあったので。りおという役を通して、感情を正直に表現したり、素直に受け取ったり、そんな自分になれたらいいなとワクワクしています。

――感情を表に出せないのはなぜでしょうか。

人からどう見られているかを気にしてしまうと表に出せなくなってしまうので、感情表現自体がすごく苦手なんです。うまく表に出せず、固まってしまったり、力んじゃったり、空回ってしまうことがあります。

――その中で、今回は座長を務めますが、心がけていることを教えてください。

特別に何かできているわけではないのですが、とにかく皆さんが居心地の良い現場でお仕事に向き合えるように、ポジティブなことはたくさん共有できたらいいなと思っています。

――どんな座長になりたいですか。

座長としての経験値はないので、まずは、りおとしてやれることを誠実にやっていくということ、あとは、日常の生活感あふれるシーンが多いので、一人で閉じこもってしまわないように、心をオープンにして、皆さんと接していきたいです。

――確かに、心をオープンにして関係値を作っていかないと、会話劇を成立させるのは難しいです。

でも、皆さんと自然体でいられるような現場なので、そこは安心しています。ワンカットの長回しで撮影するシーンもあるので、現場の空気感を丸ごと収めて届けられるんじゃないかなと思います。

生田絵梨花

『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役が大きな経験に

――まさに生田さんにとって、殻を破るような役どころになると思いますが、これまで、殻を破れたと感じたお仕事はありますか。

いろいろなお仕事でそう感じさせていただいていますが、ミュージカル『レ・ミゼラブル』のエポニーヌ役はすごく大きな経験になりました。それまで、コゼットのようなお嬢様の役が多かったので、真逆のエポニーヌをやり遂げることができて、役の可能性を広げていただけたなと。この高い声も、褒めていただける長所でもあり、イメージが固定されてしまうという悩みでもあったのですが、エポニーヌを演じたことでグッと幅が広がったような感覚があります。

――では最後に、今作の見どころを教えてください。

この作品やりおをきっかけに、見てくださった皆さんが「私は本当はこう思っていたのかも」と、無意識に抑えていた気持ちを発見できたり、心の奥に溜まっていた感情を放出できて、少しでも生きやすくなれば、うれしいです。

――「こう生きていいんだ」と、りおが視聴者の皆さんのお手本になるような。

お手本かどうかは分からないのですが(笑)。皆いろんな気持ちを抱えながら頑張っているんだ、すべて完璧じゃなくて大丈夫なんだ、という安心感につながれば。そんな作品を届けられるように、撮影期間もがきたいなと思います。

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■生田絵梨花
1997年1月22日生まれ、ドイツ出身。乃木坂46の1期生として活躍し、2021年末で同グループを卒業。女優としても幅広く活躍し、代表作はミュージカル『レ・ミゼラブル』『ロミオ&ジュリエット』、映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』『Dr.コトー診療所』、ドラマ『PICU 小児集中治療室』『こっち向いてよ向井くん』などに出演。2017年に第8回岩谷時子奨励賞、2019年に第44回菊田一夫演劇賞を受賞した。また、ソロアーティストとして全国ツアーを今年開催中。NHKの音楽番組『Venue101』ではMCを務めている。2024年は、ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』に出演。『素晴らしき哉、先生!』で地上波連続ドラマ初主演を飾る。
スタイリスト:有本祐輔(7回の裏)、ワンピース:Arobe、他スタイリスト私物、ヘアメイク:北原果(KiKiinc.)