河毛監督は、80年代のトレンディードラマの時代から活躍する“レジェンド”とも言える存在。“働き方改革”が進む今、ドラマ作りの現場では、「助監督の数がとても増えましたよね。僕がやっていた時は、助監督は3人だったんだけど、今は途中で抜けて別の番組へ行っちゃうこともあるから、何人いるか分からないくらい(笑)」と変化を感じている。
今でも現場に立ち続ける河毛監督自身の変化を聞くと、「朝ごはんはちゃんと食べるってことと、撮影中に飲みに行かなくなったくらいですね。昔は撮った後に飲みに行って、そのまま撮影に行っていたこともあったからね(笑)」とヤンチャな時代を回想。
それを踏まえ、「この仕事における体力ってなかなか難しくて。例えばバリバリの体育会系出身で体力があるって人が続くかというと、実はそうでもなかったりするんですよ。身も蓋もないかもしれないんだけど、要はどれだけ現場が好きかってことだと思いますね」と実感した。
どうしても入れたかった昔の新宿の映像
今作は放送終了直後にFODで次話が配信されるなど、かつての地上波だけの放送スタイルとは全く異なっている。そこでの意識は、「配信は締め切りが早いから大変というだけで、別に配信だからこう演出しようとかは全然考えてないですね。むしろ“地上波ギリギリだよ!”ぐらいがいいと思っていて、内容とかフォーマット的には別に何も変えていないので、配信大歓迎です」と受け入れている。
そんな中で、今作において河毛監督のこだわりがより感じられるのは “エンディング映像”だ。最近のテレビドラマは、終盤の劇中にキャスト・スタッフなどのエンドロールが流れ、そこに主題歌が重なるスタイルが多いが、今回はかつてのテレビドラマらしく、次週への期待感が高まった瞬間、エンディング映像にサザンオールスターズの主題歌「恋のブギウギナイト」が流れ出す構成になっている。
「たぶん毎分視聴率的なことで今の形になっていったと思うんだけど、僕的にそれはあんまりよろしくないと思っているんです。音楽構成がめちゃくちゃになっちゃうし、セリフも歌もどっちも聴きづらいことになっちゃうので、やっぱりちゃんとエンディング映像があるべきだと思いますね。そこに流れる昔の新宿の映像はどうしてもやりたくて、プロデュース部が頑張ってくれて、配信も含めて権利的に使えるものを探してもらいました。さっきも言ったように、新宿のカルチャーの変遷をそこで表現したかったんです」