――第一線でご活躍される皆さんですが、「隠居生活」に憧れはありますか? それとも、「生涯現役」という思いでしょうか?

水谷:還暦を過ぎた頃に、欲も得もない生活がいいなと思ったことがあったのですが、実はその頃にこの『無用庵』に出会ったんですね。「これはちょうどいいや」と思って、僕も半兵衛と同じような人生をこれからたどるのかな…なんてことを想像しながら、この仕事を続けています。

岸部:僕はもう隠居でもいいような年齢に近づいているので、隠居の雰囲気でこのドラマを楽しんでいます(笑)

檀:私はあまり隠居を考えたことはないんですけど、20代の頃、「早くおばあちゃんになりたい」と思っていました(笑)。縁側でお茶を飲みながら、ぼんやりした生活をしたいなという憧れがありまして、20代から80代ぐらいに一気に飛びたいなって。欲も何もなく、日々時間をゆったり過ごす、そういう生活をしたいなと思っていたんです。

水谷:今はどうですか?

檀:その思いは常にありますね。欲があんまりないんです。

水谷:我々でよければお付き合いしますよ。縁側でお茶を(笑)

岸部一徳「俳優にとって幸せな現場」

――今後の第9弾、第10弾に向けての意気込みは、いかがでしょうか。

水谷:これはできることなら、かなうことならば、やりたい作品ですね。そういう意味で隠居は考えにくいかもしれませんが、本当にいつをもって最終回にしていいのか、辞め際を失う作品ってあるんですよ。これはまさにそうかもしれません。“どう辞めたらいいんでしょう?”っていうぐらいの作品ですね(笑)

――ライフワークのような感じでしょうか?

水谷:そうなりつつありますね。

岸部:実際のところは分からないですけど、ずっと続くことができればいいなと、いつも思いますね。素晴らしい監督・スタッフ、共演者と一緒にできる機会っていうのがなかなかないので、このドラマは俳優にとって幸せな現場なんです。それに、いくつになっても勉強できる場なので、こういう現場を失いたくない。もっとやりたい、もっと続けたいという気持ちは、どうしても出てきます。

檀:1年に1回、丁寧に丁寧に撮っている作品なので、続くことならいつまでも続いてほしいです。この松竹撮影所の時代劇のスタッフの皆さんから本当に学びの多い現場ですし、水谷さん、一徳さんとご一緒させていただくのは私にとって宝物のような時間で、それが第8弾まで続いたというのは、本当にうれしいことです。誰一人欠けることなく、来年、再来年とつながっていけば、こんな幸せなことはないなと思います。

水谷:奈津はいいことを言いますね(笑)

  • 今回は水谷豊、岸部一徳、檀れいのほか、半兵衛の悪行退治に力を貸す元御庭番衆・藤兵衛に田山涼成、半兵衛なじみの料亭女将のお咲に中山忍、半兵衛の息子で目付・日向新太郎に田中偉登、その妻・おふみに松風理咲、奈津の母・郁に市毛良枝、半兵衛の理解者でもある火付盗賊改・長谷川平蔵に榎木孝明、半兵衛を高く評価している老中・松平定信に杉本哲太など、レギュラーキャストが今回も集結。さらにゲストとして、菅原大吉、勝村政信、金子貴俊、火野正平、梶原善、内田慈らが出演。水茶屋店主役の小川菜摘、半兵衛らが面倒を見る小川村の農民・おせき役の橋本マナミもそろって華を添える。そして、東北地方から江戸に出てきたインチキ修理屋・弥吉役で宮城県出身の狩野英孝が出演する。

【編集部MEMO】
BS朝日では、『無用庵隠居修行』シリーズを一挙再放送する。
『無用庵隠居修行』9月2日(19:00~)
『無用庵隠居修行2』9月3日(19:00~)
『無用庵隠居修行3』9月9日(19:00~)【4K】
『無用庵隠居修行5』9月13日(19:00~)【4K】
『無用庵隠居修行6』9月16日(19:00~)【4K】
『無用庵隠居修行7』9月17日(19:00~)【4K】