マイホームを建てようとした時、建設中の資金繰りが気になりませんか。住宅ローンが実行されるのは基本的に住宅の引き渡し後ですが、注文住宅のように住宅の引き渡し前に「土地購入費」、「着工金」、「中間金」などの費用がかかってきます。つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの期間に引き渡し前にかかる費用を一時的に借りるためのものです。今回はそんなつなぎ融資について、その定義やメリットデメリットを含めて解説していきます。

つなぎ融資とは何か?

つなぎ融資とは、住宅の引き渡し前の資金不足を補うために利用される、短期的な融資の一つです。

住宅ローンの融資は、基本的に住宅が完成し引き渡しされた後に実行されます。つまり建設中に住宅ローンを組むことはできず、完成前に別の費用がかかった場合は自分で資金を用意しなくてはなりません。

特に、注文住宅を建てる場合は、土地の購入費や建築費用が段階的に発生してくる為、住宅の完成前の費用をつなぎ融資を利用することでカバーをすることできます。

ただし、つなぎ融資で借りた資金は、住宅ローンのように毎月一定額ずつ返済していくのではなく、住宅ローンの実行時にまとめて返済するのが一般的とされています。

つなぎ融資の仕組み

つなぎ融資の申込みから実行されるまでの流れを大まかに解説します。

1.まずは資金計画を立て、住宅メーカーや不動産会社に相談
家を建てるのに、必要なさまざまな資金、現在の収支状況なども含め、建築にかかる資金計画をしっかり考えることが大切です。予算が決まったら住宅メーカーや不動産会社に相談しましょう。

2.住宅ローン審査(本審査)とつなぎ融資の審査申し込みを行う
資金計画が決まったら、住宅ローンとつなぎ融資の両方を同時に申し込みをすることをおすすめします。なぜならつなぎ融資は、住宅ローン審査が通っていないと利用することができないためです。審査には事前審査と本審査があり、事前審査が通った段階で融資を実行する金融機関もあれば、本審査が通らないと融資を実行しない金融機関もあるので事前に確認しておく必要があります。 審査の申し込みにあたって必要な書類は、
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーなど)
・収入証明書
・土地・建物に関することがわかる資料
・印鑑・印鑑登録証明書
・住宅ローン申込書 などが主に挙げられます。ただし、取り扱う金融機関によっても異なります。

3.つなぎ融資で土地の購入費用や中間代金を支払う
本審査が通ったら、金融機関とつなぎ融資の契約を締結します。 融資を受けることができたら、土地購入代金や着工金、中間金等をハウスメーカーに支払います。

4.つなぎ融資の返済を行う
住宅が完成し、住宅ローンの実行がされる際につなぎ融資の返済を行います。
つなぎ融資の返済に関しては3つのパターンが挙げられます。
・つなぎ融資を借り入れた時点で利息を全額前払いを行う
事前に利息分を差し引いて、融資が行われるので足りない部分は自己資金で賄う必要があります。
・住宅ローンの実行時に元金と利息を一括で返済する
住宅が完成するまで、つなぎ融資の元金と利息を返済する必要がないため、経済的な負担は抑えられます。ただし、住宅ローンの借入額は大きくなります。
・つなぎ融資の利息分だけ住宅ローン実行時までに返済する

先述の通り、つなぎ融資は一括で返済するのが一般的ですが、金融機関によっても取り扱いが異なるので注意が必要です。

つなぎ融資のメリットとデメリット

つなぎ融資を利用するメリットとしては、第一に住宅の建築中の一時的な資金不足を防ぐことができることが挙げられます。

住宅引き渡し前の必要な自己資金を自身で準備する期間も短縮することができます。
その為、建築工事の進行をスムーズに進めることができるでしょう。

つなぎ融資は便利な一方、無担保で融資を受けることができる為基本的には金利が高く設定されています。

住宅ローンの金利は多くは1%前後ですが、つなぎ融資の金利の多くは2%〜4%と高めです。なお利息は、融資期間に応じて日割りで利息がかかってくるので、工事期間が長くなってしまった場合はその分利息も大きくなります。

また、住宅ローン契約とは別でつなぎ融資の契約をする為、事務手数料や印紙代などの諸費用も別途かかることに注意が必要です。

つなぎ融資を選ぶ際の注意点

つなぎ融資を受ける金融機関を選ぶ際には、かかってくる金利や各手数料に着目して事前に確認しましょう。

注文住宅の購入の際には段階的に「土地購入費」「着工金」「中間金」などの費用がかかり、つなぎ融資の入金を複数回に分けて支払いをする場合は、最大何回まで可能なのか金融機関にあらかじめ確認しましょう。

金融機関によって融資額の上限、受け取り回数の上限を設けている場合があります。
資金計画と各金融機関の条件が合致しているのか確認することがポイントです。
つなぎ融資を検討する際は、複数の金融機関を比較してシミュレーションをしてみるのが良いでしょう。

まとめ

住宅の購入には大きなお金が必要になり、一時的な費用負担のカバーを行ってくれる便利な「つなぎ融資」について解説しました。一般的に無担保で借りることができること、段階的にかかってくる費用をカバーし、家計の収支状況の悪化を防ぐことができるメリットがあります。
便利な制度ですが、金利が高めに設定されていることや金融機関によっては融資限度悪天候などの不測の事態で工事期間が伸びるとその分、利息や事務手数料などがかかってしまうこと、住宅ローン控除には利用ができないことなど注意点も挙げられます。

住宅を購入する際は、まずはつなぎ融資の利用が必要なのか資金計画の段階で事前に確認しましょう。ファイナンシャルプランナーと今後の家計の収支状況を予測し、自己の資金で賄うことができるのか、融資を受ける必要がある場合は各金融機関の融資条件をしっかりと比較してみましょう。

この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介


小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社