朝はごはんよりパンを食べる人が圧倒的に多く、オカンが「明日のパン」を口癖のように口にするほどパンが欠かせない大阪府民の生活。そんなパン好きの皆さんが愛し続ける特殊なパンがあるという。

街のミドル世代に昔から食べていたパンはと聞くと「サンミー!」と即答。「当時はダサいパンしかなかってん。でもサンミーは特別やってん」と思い入れたっぷりに語る。

おにいさん、おねえさんたちの集団が言うには「帰ってきたら置いてある。」ものだったそうだ。

「新喜劇と一緒、帰ったらついてる、気づけば右におった存在」生活に溶け込んでいたようだ。

サンミーとはどんなパンなのか?「菓子パンやね」「若干スイーツに足突っ込んでる」食事ではなくおやつなのだろう。

「平べったいパンにチョコが線状にまぶさってる」「中にクリームも入ってる」

そして「これぐらいの厚みなんすよ」と指で示すのはずいぶん薄い。「薄造りっす」

そこで大阪府のスーパーでサンミーを確認してみた。

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確かに薄いし、チョコがシマシマ状にかかっている。中を見ると、クリームがちょっとだけ入っていた。

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おいしそうではあるけど、そこまで食べたいものなのか?その魅力はなんだろう?

そこで、少年野球チームにサンミーを差し入れしてみた。子どもたち「いえ〜い!」と大喜び。一斉にサンミーをつかみ、むしゃむしゃ食べ始めた。コーチに監督、ママさんたちもおいしそうに食べている。

子どもたちに、チョコもクリームもたっぷり入ってる方がいいのではと聞くと「チョコが多いとクリームの味が負けるし、クリームが多いとパンの味がなくなるから、この割合がいい」と、なかなか説得力あることを言う。

そしてママさんが言うには「上だけケーキっぽい生地がのってる」へー!工夫してある。

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監督とコーチは「これで身体できてますね」「身体押したらチョコ出てくる」とまで言う。

再びママさんが商品名の由来を教えてくれた。「チョコとケーキ生地、クリームで三つの味、サンミーになったはず。漢字をカタカナにしただけ」意外にストレートなネーミングだ。

それにしてもなぜ、サンミーは大阪府民に愛されてきたのか。

三人組のおにいさんが言うには「オカンがサンミーを買ってたのがルーツ」なのだそうだ。

「オカンは買い物上手なので、1個のパンで味三つもあるやん、お得やん、と選ばれた」と解説する。

さらにべつのおにいさんが「サンミーだけでなくヨンミーもある」と教えてくれた。ヨンミーなんてギャグじゃないの?

そこでサンミーを製造販売するYKベーキングカンパニーの製品開発部長、山路忠義さんに聞いてみた。

四つの味でヨンミーという名前にしました。

イチゴを皮切りに、ぶどうにみかん、桃や宇治抹茶味など、これまで28種類が期間限定で発売されたという。

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さらに「2021年にサンミー生誕50周年をお祝いして5つの味を販売しました。」ん?ということは、サンミー、ヨンミーときて、まさかゴミー?

「商品名はファイブミー、あまりにもゴミーは・・・言いにくいでしょ」あーよかった。

そもそもサンミーはアメリカのデニッシュをヒントに1971年に誕生。高校の購買部で販売されて大人気になった。それ以降、大阪府民のソウルパンになったのだ。

大阪府民たちは、サンミーの思い出を青春時代と共に語る。特別に思い入れのあるパンのようだ。パンと青春、そういえばあなたも思い出すことあるんじゃない?