JR東海は25日、電線と支持物(電柱など)との間に電気が流れないように絶縁している「磁器がいし」に関して、専用塗料塗布作業を廃止できる「コーティングがいし」を東海道新幹線に導入すると発表した。鉄道での「コーティングがいし」の導入は国内初という。

  • 東海道新幹線N700S

東海道新幹線では多くの磁気がいしを使用しているが、海水に含まれる塩などの汚損物質が付着し、表面が濡れた場合に、汚損物質や水分を通して電気が流れるため、磁気がいしの絶縁性能が低下するという。

こうした汚損による絶縁性能の低下を防止するため、現在は5万個以上の磁気がいしにシリコーンを主成分とする専用塗料を塗布している。ただし、高所での塗布・塗替作業となるなど身体的負担が大きく、ひとつひとつ手作業で行っているため、多大な労力がかかっているという。JR東海は将来の労働力人口減少を見据え、業務改革の一環として、この作業を廃止できる「コーティングがいし」の活用に向けて、日本ガイシと実証試験を重ねてきた。

  • 従来の塗布作業の様子 (JR東海提供)

  • フィールド試験の様子 (JR東海提供)

「コーティングがいし」は、あらかじめ工場で磁気がいしにシリコーンゴムをコーティングしたものとなる。東海道新幹線沿線の塩害区間をはじめとする過酷な環境下で性能を評価すべく、2017年から長期間の実証試験を行ってきた。その結果、十分な絶縁性能を有していることが確認できたという。

「コーティングがいし」の導入により、身体的負担の大きい専用塗料の塗替作業がなくなり、東海道新幹線の保全作業の省力化につながるとともに、塗替作業に要するコストを削減できる見込み。2025年度から順次、対象箇所へ導入を予定している。