新宿・歌舞伎町を舞台に展開される救急医療エンタテインメントドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ系 7月3日スタート、毎週水曜22:00~)。脚本を手がけるのは、 今年1月クールでも『不適切にもほどがある!』(TBS)が大きな話題となった宮藤官九郎氏だ。今作に込めた思いやW主演の小池栄子と仲野太賀の印象、そして今の時代にテレビドラマ脚本を書くにあたっての意識などを語ってくれた――。
ホストやキャバ嬢、ホームレス、トー横キッズ、外国人難民など、様々なバックボーンを持つ“ワケあり”な登場人物たちが交錯する社会の構図をテーマに、ユーモアを織り交ぜながら“命”の尊さを投げかける今作は、主演の1人である仲野太賀が「ここまでユーモアをはらんだ社会派ドラマは、宮藤さんじゃないと書けない」と言うように、真骨頂が見られる作品になりそうだ。
そんな宮藤氏が、今作に込めた思いやW主演の小池栄子と仲野太賀の印象、そして今の時代にテレビドラマ脚本を書くにあたっての意識などを語ってくれた――。
『タイガー&ドラゴン』での作り方を応用
今作が医療ドラマ初挑戦で、「僕、こう見えてあんまり病気にならなくて、ケガもしないんで、意外と病院に行ってないもんですから、医療について意識の低いところからスタートしたんです」と打ち明ける宮藤氏。
それでも、「医療監修で入ってくれている先生がいろんなアイデアをくれるんです。“こういうケガで危険な状態なんですけど、大学病院とか救命センターじゃなくて町医者でやれるような、しかもレアな処置ってありますか?”とか漠然なことしか言ってないのに、“こういうケースがあります”という案をすぐくれるんです」と、助けられているという。
このように、アイデアからストーリーを構築していく手法は、「『タイガー&ドラゴン』(05年、TBS)の作り方と近いですね。あれは落語からドラマのストーリーを考えていたので、今回はその落語の部分が医療に代わっているという感覚です」といい、「今のところは、自分としてはすごく順調に書けているような気がします」と手応えを語る。
池袋、木更津、歌舞伎町…実在の街を舞台に「身近に感じてもらいたい」
これまでも、ゴールデンの連ドラデビュー作『池袋ウエストゲートパーク』(00年、TBS)、『木更津キャッツアイ』(02年、同)など、実在の街を舞台にした作品を書いてきたが、「池袋は大学生のとき通り道だったけど、あんまりよく知らない街だったんです。でも原作を読んで、こういう街にはこういう人たちが住んでるんだろうなって感じられたのが面白くて、それがあって『木更津キャッツアイ』もやったので、今回も“歌舞伎町の角を曲がったらあの病院があるんじゃないか”とか、“トー横に集まってる若者の中に、登場人物がいるんじゃないか”というように、身近に感じてもらえるといいなと思って考えました。自分の生活と関係ない物語だと思われたら、損だなと思っちゃうんで」と、視聴者と地続きになることを意識。
そのために、実際に現地を歩くなど取材して、自らが感じたことを脚本に生かしており、「昔から、なるべくウソの数を減らしたいというのがあって。実在の人の名前など固有名詞をセリフに入れたりするのは、僕らが普段している会話と同じような会話を劇中の人たちもしているのを見せたいというのがあります」と明かす。