何をそんな大げさな……と笑われてしまうかもしれないが、冷静に思い返してみても結構な衝撃だった。多分、今まで食べたどの焼きそばよりもウマかったからだ。

このたび、兵庫県に拠点を構える焼きそば専門店「長田本庄軒」が東京・西葛西に進出を果たした。もしかしたら関西方面では有名なのかもしれないが、東京でははっきり申し上げてまだ無名に近い。

そこでどんなものかと実際に食べてみたところ、いや~ビックリ。ガチで美味しかった!! だって、店内に製麺機もあるんだよ? そんな焼きそば屋さん行ったことある? ということで、さっそくその詳細をレポートしよう。

▼東京再上陸! 自家製麺で作る「長田本庄軒」の焼きそばがウマすぎ!

関西エリアに5店舗、台湾に1店舗を展開する「長田本庄軒」。かつては東京・立川にも出店したことがあったが、コロナ禍の影響などもあって2022年に撤退。かなりの悲しみの声が寄せられたそうだ。実際、三宮にある店舗は開店前から行列が絶えないような人気店で、1日で最大400人ものお客さんが訪れたこともあったという。す、すげぇ~……。

関東に暮らす人間としては、焼きそばがそこまで人気になること自体が珍しい気がする。もちろん焼きそばは大好きだが、どちらかというと屋台やサービスエリアなどで食べるものというイメージが強く、焼きそば専門店の数などはかなり限られている。

しかし6月21日、メトロセンター西葛西に長田本庄軒の新店舗がオープン! 満を持して東京に再進出することとなった。

  • トリドールジャパン ブランド・インキュベーション本部 そばBU ユニットリーダーの古川達也さん

長田本庄軒を手掛けるトリドールジャパンの古川達也さんはプレス向け試食会で、「焼きそば自体の認知度は高いが、ラーメンや蕎麦、うどんと違い、わざわざ外に食べにいくという食文化は根付いていない」と話し、「今夜は焼きそばを食べに行こう」という選択肢が普通になるまで焼きそば文化を広めていきたい」と展望を語った。

西葛西の新店舗はまさに昭和ライクな大衆居酒屋といった雰囲気。目の前が大きな鉄板となっていて、ここで焼きそばやどてやきなどを調理するのだという。生ビールやレモンサワーなども扱っているので、居酒屋的な使い方をするお客さんも多いらしい。メニューもお手頃なものが多く、しかも関東ではあまり馴染みのない料理名が並んでおり、そこはかとないワクワク感がこみ上げてくる。

それでは実食! まずはこちらの「ぼっかけ肉豆腐」から。お値段はなんと300円というハイコスパ。「ぼっかけ」とは神戸市長田区のソウルフードで、要するに「牛すじ肉とこんにゃくの煮込み」のことらしい。長田本庄軒では3種類の肉をとろとろになるまで数時間をかけて煮込んでいるとのことだ。

一口食べてみると……なるほど、出汁の味が染み込みまくりでめっちゃウマい。これはお酒も進むだろうし、ご飯にぶっかけても超ウマいに違いない。肉はトロットロで旨みが凝縮。こんにゃくにも味が染みまくっていて、食感も絶妙。ムギュッとした歯ごたえがいいアクセントになっている。

続いては「ぼっかけ焼きそば」を食べたいのだが……んっ? 何やら厨房が慌ただしそうに動き出したぞ?

茹でた麺を目の前の鉄板に広げ……

めっちゃくちゃ手早く調理スタート。超スピーディーにソースなどの調味料やぼっかけなどで味をつけていく。熱気やライブ感がハンパじゃない!!

ものの数分でぼっかけ焼きそばが完成……って、えっ!? このまま!?

なんと、鉄板のうえに置いたまま提供するというスタイルらしい。なにこれ、新鮮……。とりあえず、テンションがめっちゃアガる!!

実際に食べてみると……えっ、ウマい! いや、これ、ウマすぎる……! 濃厚でフルーティーさも感じる甘辛ソース、牛肉の旨みたっぷりのぼっかけエキスによる味付けは奥深くて最高。だがそれ以上に、麺のウマさが際立っている。歯ごたえもしっかりありつつ、もっちりした柔らかさもある。しかも、いい具合に焦げてパキパキ食感になっている部分もあるなど、実に表情豊かである。鉄板の上に置かれているので、最後まで熱々というのもかなり嬉しい。

焼きそばの中太麺は毎日店舗で粉から作っているそうで、長田本庄軒の焼きそばソースに合う麺がなかなか見つからなかったため、理想の自家製麺を粉から作ることにしたのだという。

焼きそばの麺は一般的に中華麺が使われるパターンが多いが、ラーメンや蕎麦と違い、焼きそば麺にはまだこれといった定義はないらしい。だからこそ、オリジナルの麺を作ったのだろうけど……えっ、ある? 店内に製麺機がある焼きそば屋さん、見たことある? なくない? 個人的には、ここまで気合いを入れている焼きそば屋さんは他に知らず、だからこそ「今までで食べた焼きそばで一番美味しいかも」と思わざるを得ないレベルである。

他にも、ふわふわオムレツを乗せた「ぼっかけオムそば」や「神戸 どてやき」など、関西ならではのソウルフードが多数ラインナップ。どてやきも実際に食べてみたが、長時間煮込んだ牛もつと、コク深い特製白味噌ダレの相性は最高。おつまみにも最適で、きっと生ビールやレモンサワーが湯水のように消えていくに違いない。

焼きそば好きのみなさんはもちろん、「感動するほど美味しい焼きそばは食べたことがない」というみなさんもぜひ一度、西葛西の「長田本庄軒」ののれんをくぐってみてほしい。「関西の方々は日頃からこんなに美味しいものを食べているのか」と嫉妬しちゃうこと請け合いだ。